前作まんまな『帰ってきたムッソリーニ』

2019年公開映画152本中61位。

あのムッソリーニが現代に蘇った!!という映画。
なんだけど、2015年の『帰ってきたヒトラー』のリメイクで、
マジでそのまんまだった(笑)

リメイクだと構成や設定が異なることも多いけど、
今回はほとんど同じ。
大きな違いといえば、ヒトラーよりもムッソリーニの方が、
タイムスリップしたことを受け入れて、
まわりに適応する力が高かったということぐらいかな。

そんなことはさておき、
とにかく現代のイタリアにやってきたムッソリーニ。
売れない映像作家が「これはネタになる!」と
彼のドキュメンタリーを撮ろうと行動を共にすることに。
ムッソリーニは「現在の国民の声を知りたい」と、
いろんな人に現在のイタリアについてインタビューするも、
出てくるわ出てくるわ不満の嵐。
(なんか日本っぽかったけどw)

そんな状況の中で、テレビに出て有名になり、
大胆かつ芯の強い発言で多くの人々の心を掌握し、
いつしか再びイタリアを支配しようと考え始める、、、
という話です。

基本はコメディなので、
ムッソリーニが現代の街に戸惑う姿は滑稽だし、
他の登場人物とのやり取りも笑える。

と思いきや、政治的な主張は至って真面目で、
彼の言葉は普通に聞き入ってしまうほどの謎の説得力と、
自分に絶対の自信がないと言えないようなセリフの数々が魅力的。

彼の持つカリスマ性がそうさせるのか、
やはり人の上に立つべき人は、
時代が変わっても発揮するパフォーマンスは変わらない
ということがよくわかる。

ただ、前作のヒトラー版は面白かったものの、
今回はまったく同じ話ということもあり、
新鮮味がない分、前作の面白さよりは劣るかなあ。
(もちろん、設定や人物のやり取り自体は秀逸なんだけど!)

僕は元々世界史専攻でもなければ、
あまり歴史や政治に興味がないタチで、
ムッソリーニもファシズムも名前を知ってるぐらいだから、
これは単なるファンタジー映画としか見れず、
きっとこの映画の機微な面白さには気づけないと思う。

逆に、ムッソリーニの人物像やファシズムが何たるかをわかっていると、
もっと楽しめると思うし、本国イタリアの人には大ウケだそう。

結局、知識や教養があってこそのエンターテインメントなんだよなー。
僕にはそこが欠けているから、大した感想も書けない。。。

日本でも『帰ってきた織田信長』とか『帰ってきた坂本龍馬』とか、
普通に作れそうだけど、どうだろうか。
歴史コメディはけっこう需要ありそう。

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