見出し画像

一生が一日で終わる世にも奇妙な恐怖のビーチ『オールド』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:62/177
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

スリラー
世にも奇妙な物語

【あらすじ】

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している——。

「私の息子を見かけませんでしたか?」
「ママ、僕はここにいるよ!」

母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?

海岸に打ち上げられた女性の死体、次々に意識を失う人々、砂浜に残された謎のメッセージ——。

不可思議な出来事に直面する彼らは、やがて自らが急速に年老いていく事に気づく…。果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

【感想】

スケールのデカい"世にも奇妙な物語"って感じの映画です。設定が面白くて、こんな発想ができるM・ナイト・シャマラン監督の才能に脱帽です。

<ロケーションの綺麗さと奇妙な事象の対比>

まず、ロケーションがいいんですよ。あおーいそら、しろーいくも、ひろーいうみ。この上なく夏らしい風景です。しかも日本と違って綺麗な海ですからね。これ観ているだけで夏を感じることができます。

でもそこで起こるのは、現実では考えられないことの数々。そのビーチ、なんと時間の経過が早まるんです。30分で1年が過ぎます。つまり、24時間経つとほぼ50年経つことになります。子供ですら立派な中年ですよ。ましてや大人だったら。。。

見た目的には、子供の変化が顕著ですね。小さかった子供たちはあっという間に大人の姿になりますから。それはお腹の中にいる子供にも影響を及ぼすんです。大人はすでに成熟しているので、あまり変化が見られません。まあ、ここは子供と同じだけ時間経過の跡を表現してもよかったんじゃないかなって思いますけどね(笑)とはいえ、彼らも老いてはいきますよ。

<脱出不可のビーチという密室感>

そんなビーチからは早く逃げるべきです。ところが、ビーチから外へ出ようとすると意識を失ってしまうんですよ。。。ここから逃げ出す術がありません。このままだと1日後には全滅です。オープンな海なのに、逃げ道のない密室感は恐怖の象徴ですね。

<極限状態が作り出すスリルと余命が生み出す人の心>

ビーチにいる人々に起こる不可思議な現象。それをきっかけにして起こる人間同士の不和。そこには不安、緊張、恐怖など、夏映画にふさわしいヒヤッと感が満載です。

しかし、時間が早く進む分、その大切さを噛みしめることができるのもこの映画の面白いところです。大人たちも老眼や難聴を急速に患うことで、老いを感じずにはいられません。それはつまり、死期も悟るということです。今まで言えなかったことや思っていたこと。それらを伝えるシーンはちょっと心温まりましたね。スリラー映画の中における唯一のヒューマンドラマなシーンでした。

<その他>

ツッコミどころはあるにせよ、設定が面白いですし、108分と尺も短いので、サクッと観られるのもこの映画のポイントです。『世にも奇妙な物語』が好きならオススメできるので、ぜひ観てみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?