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少年2人のひと夏の恋と永遠の別れを描いた純愛ラブストーリー『Summer of 85』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:131/171
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ラブストーリー
同性愛
死別

【あらすじ】

セーリングを楽しもうとヨットで1人沖に出た16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル)は、突然の嵐に見舞われ、転覆してしまう。そんな彼に手を差し伸べたのは、ヨットで近くを通りかかった18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)。運命の出会いを果たした2人だが、その6週間後にダヴィドは交通事故で命を落としてしまう。

永遠の別れが訪れることなど知る由もない2人は急速に惹かれ合い、友情を超え、やがて恋愛感情で結ばれるようになる。アレックスにとってはこれが初めての恋だった。互いに深く想い合う中、ダヴィドの提案によって「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てる2人。

しかし、ケイト(フィリッピーヌ・ヴェルジュ)の出現を機に、恋焦がれた日々は突如終わりを迎える。嫉妬に狂うアレックスとは対照的に、その愛情の重さにうんざりするダヴィド。

2人の気持ちはすれ違ったまま、追い打ちをかけるように事故が発生し、ダヴィドは帰らぬ人となってしまう。悲しみと絶望に暮れ、生きる希望を失ったアレックスを突き動かしたのは、ダヴィドとあの夜に交わした誓いだった─。

【感想】

フィルマークスではかなりの高評価なんですよね、この映画。ただ、個人的にはそこまで、、、でした(笑)でも、美しい描写が印象的な映画ではあります。

<同性愛の描かれ方に注目>

本作は少年同士の色恋沙汰を描いたラブストーリーです。特徴的だなと思うのは同性愛の描かれ方です。ほとんどの映画では「道ならぬ恋」といった扱いが目立ちますよね。その当人たちも「自分は間違っているんじゃないか」と苦悩することも多いと感じます。

しかし、本作ではそんな描写は一切ないんですよ。普通に男女が恋に落ちるぐらい自然に、少年2人が恋に落ちています。もはや男女という分け方の概念がないぐらいに。舞台は1985年なので、今よりもLGBTは生きづらい時代だったかもしれません。そう考えると、本作での少年2人の恋の描かれ方はとても現代的、、、いや、ある意味現代以上に未来な感じさえしました。

<ストーリー自体はシンプル>

そうは言っても、ものすごく練られたストーリーでロマンチックかというと、正直僕はそうは思いませんでした。アレックスとダヴィドが恋に落ち、やがてダヴィドはケイトに心惹かれ、アレックスから離れます。それに嫉妬したアレックスが彼の元を飛び出し、追いかけたダヴィドが……という感じなので。

アレックスはダヴィドに対する独占欲が強かったんですよね。一方、ダヴィドは気軽に遊びたかった。付き合う相手は一人では満足せず、いろいろつまみたかったんでしょう。そういう方向性のズレが悲劇を生むきっかけとなってしまいました。まあ、日常生活における恋愛でもよくある話ですかね(笑)ただ、人間ドラマ自体はけっこうあっさりしていて。なので、個人的には感情移入はできず。。。ただ、アレックスがケイトに諭される場面は共感できましたね。

「アナタは実際は恋をしていなかったんだよ」
「顔と体は理想だったかもしれないけど、心は理想じゃなかった」
「アナタが思うダヴィドはいなかったんだよ」

って。相手じゃなくて、恋そのものに焦がれていたっていう感じが、若さ溢れる感じで、この歳になってみると、懐かしさと微笑ましさがありました。

<その他>

恋愛のように「相手がいて成り立つこと」って難しいですよね。自分だけががんばっても、想いを募らせても、意味がないから。面倒な部分もある反面、人としての深みは増していくかもしれませんが。アレックスにとってはこれが初恋だった様子。この先の彼の人生にとって、大きな意味を持つ恋愛だったと考えると感慨深いなって感じます。

こういう書き方をすると、すごく薄っぺらい感じになってしまいますが、主演の2人は綺麗な顔をしているので、海の見える風景も相まって、とても美しい雰囲気の映画ではあります。目の保養にはいいかもしれません。


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