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声優だけにお互いの心の"声"が垣間見える『声優夫婦の甘くない生活』

【基本情報】

 原題:Golden Voices
製作年:2019年
製作国:イスラエル
 配給:ロングライド

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:127/202
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

1990年、イスラエルへ移民したヴィクトル(ウラジミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)は、かつてソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹替で活躍した声優夫婦。しかし、夢の第2の人生のはずが、新天地では声優の需要がなかった。

生活のため、ラヤは夫に「香水を売る仕事」とウソをついてテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮。一方、ヴィクトルは違法な海賊版レンタルビデオ店で、新作映画を盗撮してはそれを吹き替えるという職を得る。

ようやく軌道に乗り始めたかに見えた日々。しかし、妻の秘密が発覚したことをきっかけに、長年気付かないふりをしてきたお互いの「本当の声」が噴出し始める。

【感想】

予告の時点で面白そうだなと思って期待していたこの映画。やはり、設定がすごく秀逸で邦画じゃ味わえない世界観だなと思いましたが、、、個人的には、ちょっと惜しかったなという感じでした。

この映画の面白いところは、新天地における夫婦それぞれの仕事で、正直夫の仕事はまあそうだよねって感じなんですが、妻の仕事っぷりがとてもおかしいんですよ。だって、62歳なのに22歳のバージンっていう設定で、電話してきた男とエロトークをするんですよ?!しかも、この女優さんがすごくて、声が若いから目をつむると確かに若い子の声に聞こえるんです。

さらに、相手によっては声を使い分けることもできて、主婦の設定にすると、ちょっと声を低くして妖美な感じにもできるから、まさに自由自在。

毎日のように電話してきた男に会おうと言われて、その場に行ってしまうところとか、一昔前の出会い系を彷彿とさせてドキドキもしました!

しかし、そんな彼女の声に惚れたのに、今やそれを下劣な売り物にしていることに怒った夫との関係性が悪化していくってのがこの映画のクライマックス。声優だけに、お互いの心の“声”が垣間見える展開はうまいなと思いますね。

しかし、ちょっとあっさりしすぎていたというか、全体的に淡々としていたかなって印象があるんですよね。設定がいいだけに、もっと笑ったりだとか、意外にも感動したりだとか、そういう感情の振れ幅が大きくなることを期待したし、できたはずなんですけど、案外ススーって進んじゃったから、やや物足りなさを感じました。

いや、本当に設定はよかったんですよ。それだけでも観る価値はありました。だけど、感情の動き思った以上に少なかったのが少し残念なところですね。。。


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