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設定と怪演に精神をえぐられる『女たち』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:54/106
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
母親の介護
失恋
親友の自殺

【あらすじ】

主人公の美咲(篠原ゆき子)は、母(高畑淳子)の介護をしながら地域の学童保育所で働いている。東京の大学を卒業したものの、就職氷河期世代で希望する仕事に就くことができず、恋愛も結婚も、なにもかもがうまくいかず、40歳を目前にした独身女性である。

娘を否定し続ける毒母、そんな母に反発しながらも自分を認めてもらいたいと心の奥底で願う娘。そこに「介護」という現実がのしかかってくる。お互いに逃げ出したくても逃げ出せない。

あるとき、美咲が唯一心の拠り所としている親友・香織(倉科カナ)が突然命を絶ち、いなくなってしまう。美咲にとって、養蜂家として自立する香織は憧れだった。

美咲の心もポキリと折れ、崩壊へと向かっていく。

【感想】

これは体力持っていかれますね。。。ここまで主人公を苦境に立たせる必要があるのかってぐらい、主人公が悲惨すぎでした。。。

<不幸の幕の内弁当>

とにかく、主人公の置かれた状況が辛すぎです。父を亡くし、介護が必要な母親が罵声を浴びせてくる毎日。ヘルパーの男性(窪塚俊介)との恋愛もうまくいかず、さらに、親友は突然自殺。。。

心が休まる場所もなく、相談できる相手もおらず、美咲の心の闇がどんどん大きくなっていく過程は、観ているだけでこちらの心も蝕まれ、体力も精神力も消耗するほどでした。夢や希望という綺麗事を一切入れず、現実と絶望だけが重くのしかかる彼女を見ていると、むしろこっちがどうかしてしまいそう。

<キャストの演技が凄まじすぎる>

設定でもうお腹いっぱいなんですが、ストーリー自体はちょっと弱いんですよね。香織が死んだ背景がよくわからず、美咲と母親の関係性も突然変わるところは腑に落ちません。でも、その気になる部分を凌駕してしまうのが、キャストの演技なんです。特に、美咲と母親はのやり取りは凄まじいのなんのって。

美咲が鬱憤を爆発させて、母親に想いの丈をぶつけるシーンなんか、人って感情をあそこまで表に出せるものなのかって驚きましたから。そして、なんといってもやっぱり、母親を演じた高畑淳子さんの演技はとんでもないです。過去いろんなドラマや映画において、この方の演技にはいつも驚かされるのですが、今作では今まで以上に圧倒されるものがありました。右半身が麻痺している役どころなんですが、表情から口調、体の使い方に至るまで、
あまりにもリアルすぎて。。。

<ガス抜きは大事>

今回、美咲が病んでしまったのには、不幸が重なりすぎたっていうのもあると思うんですけど、その苦悩を他に話せる状況になかったからだと思うんですよね。ポイズンじゃないですが、言いたいことを言えない人ってのは世の中にはたくさんいると思います。状況的にも、性格的にも。だからと言って、言いたいことを何でも言ってしまっていいのかっていうと、それはそれで炎上してしまう可能性もありますが、やっぱり心に溜めていることは、ほどよく外に出した方が精神衛生上いいですし、相手に伝えるという点でも必要なことなのかなって思いました。

<その他>

ちなみに、本当にちょい役なんですが、久しぶりに小出恵介さんが観れるのもポイントです(笑)


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