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自分の中に巣くう心の闇にリアルな怖さを感じる『ダニエル』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:15/20
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

サイコホラー
精神疾患
ドラッグ
セックス

【あらすじ】

両親の離婚により孤独な幼少期を過ごしていたルーク(マイルズ・ロビンス)。唯一の心の支えは、自分以外には見えない“空想上の親友”ダニエル(パトリック・シュワルツェネッガー)だった。しかし、ある事件によって母親からダニエルと遊ぶことを禁じられたルークは、自ら彼を封印することに。

時は経ち、ルークは大学生になるが、精神病を患っていた母親の症状が悪化し、自分も同じようになるのではと不安が高まっていく。

カウンセラーに悩みを打ち明けたルークは、ダニエルが助けになる可能性を助言され、長年封印していた彼を呼び起こす。内気で冴えないルークとは異なり、美しく自信に満ち溢れた青年の姿で現れたダニエルは、「僕は君の一部だ」と優しく寄り添い、力強く刺激的な言葉でルークの背中を押し続ける。

彼の言う通りにしたところ、恋人だけでなく、いい感じの女性も手にし、まるで別人のようにルークの生活は一変した。

そんなある日、ルークがダニエルの指示に従わなかったところ、激高したダニエルに体を乗っ取られる事件が発生。再びルークはダニエルを封印しようとするが、ダニエルはもはやルークの手に負える存在ではなくなっていた……。

【感想】

人間の精神的な弱さを題材にした内容で、ホラーに分類されてはいますが、どちらかと言えばサスペンスに近い雰囲気の映画です。全然怖くないので、ホラーが苦手な人でも大丈夫(と、ホラー嫌いの僕が言うので本当に大丈夫ですw)。

僕が思うに、ダニエルとは、辛い過去を背負ったルークが、その痛みを軽減するために生み出した"別人格"に近い存在だと考えられます。昔、『ゼノギアス』というゲームで主人公のフェイがイドを作り出した感じですかね。ただ、ルーク本人からの派生ではなく、姿も形も異なる他人の様相を呈しているので、あくまでも別人格に"近い"と、勝手に思っていますけど。

なので、まわりにはダニエルの姿は見えません。表現上、ルークとダニエルの2人が映ってはいますが、実際の彼らのやり取りはすべてルークの脳内の出来事だと思われます。下手したらルークとかひとりごとばかり言ってるヤバいやつだと思われかねませんが(笑)

その別人格のような存在が、本人を乗っ取ろうとするややファンタジーな設定ではあるものの、けっこうこの別人格問題は普通の生活の中でも起こるんじゃないかなーって思いました。

もちろん、違う人格が表に出てくるってことは滅多にないでしょうけど、何か意思決定をする際に、自分の中であーだこーだ議論したり、よく漫画やアニメで目にするような、天使の自分と悪魔の自分が出てきて、主人公を惑わすような場面というのは、誰にでも経験があると思います。

そんな設定を、暗く重く描いたのが本作。常に自分の中にいる別人格と戦い続けなければならないので、主人公の精神的疲労がすごく伝わってくる内容でした。ラストもハリウッド映画らしく、きちんと白黒ついているのはいいですね。

ただ、このダニエルの設定についてはちょっとわからないとろもあるんですよ。なんでダニエルがルーク以外の人の中にもいるのかってことです。宿主(という言い方は正確ではありませんけど)が変われば、心の闇もそれぞれの形になって然るべきなのに、なぜかダニエルなんですよね。一種の神がかった存在なのでしょうか。そこだけが腑に落ちませんでした。

ちなみに、この映画、メインの2人が"サラブレッド俳優"ってのが、映画好きには刺さりやすいかもしれません。まず、ルークを演じたマイルズ・ロビンス。彼は、『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンスと、『デッドマンズ・ウォーキング』のスーザン・サランドンの息子。どちらかと言うと、母親似かなって思いました。

ダニエルを演じたパトリック・シュワルツェネッガーは、名前からわかる通り、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子です。端正な顔立ちに加えて、所々シュワちゃんそっくりなところもあるから、シュワちゃん好きからすると、なかなか感慨深い存在です(笑)

あと、この映画の製作は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで主人公フロドを演じたイライジャ・ウッドなので、意外とメンツは豪華なんですよね。


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