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これが本当のヒーローだと思った『ハリエット』

【基本情報】

 原題:Harriet
製作年:2019年
製作国:アメリカ
 配給:パルコ

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:37/59
⠀ ⠀ ⠀ 衝撃😳:★★★☆☆
⠀ ⠀ 悲しみ😢:★★★☆☆
歴史的意義🧐:★★★★☆

【どんな映画?】

奴隷解放に尽力し、「女モーゼ」とも呼ばれたハリエット・タブマンの伝記映画。
舞台は1849年のアメリカ、メリーランド州。奴隷のミンディ(シンシア・エリヴォ)は、奴隷主が亡くなったことをきっかけに売り飛ばされることに。
しかし、南部に売り飛ばされたら二度と家族には会えなくなるため、自由を求めて脱走を決意し、奴隷制が廃止されたペンシルバニア州を一人目指すことになるという話です。

これは、黒人死亡による暴動が起きている今だからこそ、観るべき映画だと思います。

【感想】

ヒーローですよ、彼女は。まさしく。
ペンシルバニア州に着くんですよ。で、安全な身分になって、安全も保障されてるんですよ。でも、家族や他の奴隷を助けるために、また奴隷主の農場に戻るんですよ。見つかったら死ぬまで拷問されることはほぼ確定なのに、危険を顧みずにね。

それも何往復もするってんだから、その勇気と覚悟が凄まじいなと。でも、彼女は一度も捕まらず、多くの奴隷を無事に連れ出します。その功績が認められて地下鉄道の車掌として、様々な活動を担うようになるのですが。
(地下鉄道って実際の地下鉄ではなく、あくまでも地下組織的な意味合いらしいです)

これ、自分だったらどうするかなって考えたんですけど、絶対チキって戻れませんって。作中では奴隷に対するひどい仕打ちのシーンはそこまでないのですが、ハリエットのセリフにあるように、労働の意味もわからないうちから働かないと殴られ、初潮が来る前に犯されるような奴隷生活ですよ?今、この時代、この平和な日本という国に生まれていても、そのおぞましさは想像に難くないです。そのような生活にまた戻るかもしれないリスクを冒して他人のために命を張れる彼女はまさにヒーローでした(なお、彼女は新20ドル紙幣にデザインされる予定だとか)。

しかし、奴隷が本当に人間として見られておらず、あくまでも資産としてしか計上されてない描写は痛ましいですね。簡単に売り買いされ、奴隷の数で家柄が決まるような当時の情勢って今考えると異常ですよね。。。

ああ、現代の暴動事件を見たらハリエットは何を思うだろうか。自由のために戦ったのに、いまだにこういうことが残っていることを嘆くに違いありません。

しかし、歴史的に見て、白人が自分たちは優れていて、肌が黒いというだけで黒人を下に見てしまうのは、どんな思想や背景があるのかとても気になるところです。
今ではサプールに代表されるようなファッションセンスや、陸上やバスケにおける身体能力の高さなど、他を寄せ付けない圧倒的に優れている部分を、僕はかっこいいと感じますけどね。

何はともあれ、今だからこそ観るべき映画。
ぜひ、映画館に足を運んでみてください。


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