誰かを探す物語(LILIUM 少女純潔歌劇)
TRUMPシリーズをここまで曲がりなりにも履修したけれど、一番好きなのを教えてくれ、と言われれば間違いなくリリウムになる。
繭期という人間の思春期を拗らせたような症状をていする、ヴァンプという種族の物語が連綿と続いていくのが、TRUMPシリーズだ。時系列と上演順は入り乱れており、物語としては同じだが、キャストや演出が変わっている代表作TRUMPはまだ全然見れてない。見ないと。
というそんな平成最後の未練の一つは置いといて。リリウムである。
このジャケットでゾクっと好きになってしまった方は、間違いなくドンピシャリなので見て欲しい。百合であり、サナトリウムでもある世界。それが、リリウムだ。ヴァンプの少女たちは「繭期」を拗らせて、施設で暮らしている。その「日常」を描いた、ゴシック要素満タンの、笑いも涙も溜息もすべてすべて感動させるためにある、そんなミュージカルなのだ。
さきほど、シリーズであることをちらと触れたけれど、リリウムから見ても全然構わないし、劇中で丁寧に最低限の必要要素は描かれているから、初見でも臆することはない。
シルベチカという少女を探す主人公リリーはあてどなく探すが、誰も知らないという。果たして真相は……?
というミステリ仕立てで、そういう意味でも、楽しめるひとはいるだろう。シリーズを追っている人間は知っているゾクゾク感、知らないものは知らないゾクゾク感でいっぱいになって、この舞台を見終えることができる。
このミュージカルは、ハロプロメンバーが演じているので、歌も舞台もしっかりと安定して見ることができる。今を時めく特撮俳優・工藤遥ぎ出演していると知って、これは円盤を買って、先ごろ鑑賞会をやったわけで。
初見にもTRUMPをある程度見ている人にも合わせて見てもらったけれど、どちらにも楽しんでもらえたようだ。
いまのあいだは、U-NEXTでも配信を行なっているようなので、そちらで見るもよし、音源付きの円盤購入を検討するも、よしである。
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