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薬を飲んで小説が書けなくなりました

ADHD向けのお薬を今まで飲んでおらず(約27年間)、ようやっと今年の6月に発達障害の専門医に診てもらえることになり、9月からインチュニブを処方された。

今まで向精神薬で気分を持ち上げたりはしてきたけれど、それはそこまで恐怖はなかった。何よりつらいのだから、それを克服したいという気持ちの方がずっと上なので、気にならなかったのだ。

私は、何より脳みその不注意が仇となる人生で、それはどうにかしたいと考えていた。考えていたけれども、薬を飲んだ結果に失われたのは、多動性だった。「お金を使いすぎるし、そういうところはよくないな」と思っていたので、思考が冷静になって、勉強や読書に集中できるようになった。それでよかったのか?

ところで、私は小説を書くのを趣味にしていた。二次創作中心だったけれど、8月までに短編くらいは書けるようになってきて(5年かけてやっとではあるけれど)、それで一次創作にも手を伸ばしていきたいな、と思っていたところだった。そんな時に、新しい薬を飲んだ。何も考えられなくなった。

以前なら、5000字くらいのお話を一日か二日くらいで作ることなど、そこまで苦労することではなかった。キャラクターさえしっかり掴めていれば、あとはちょっとしたお題を用意するだけで、簡単にお話ができていった。楽しかった。たくさん、頭から出てくるお話を形にするのが、とにかく楽しかった。

うすうす分かっていたことだったけれど、いざ現実に創作ができなくなってしまうと、今までの生きがいすべてを否定された気がした。大学の終わりからずっと小説を書くことを楽しみに生きていたのに、すべてリセットされたような気がしたからだ。

なにかを想像し、創造しようと考えても、頭からなにもアイディアが出てこない。今まで、なにかチャレンジしようという気力だけでどうにか生きていたというのに、そのための想像力がなくなってしまったら、ただのなにもできない、ぐうたらな精神障害者である自分しか残らない。そのことがあまりにつらい。

いま、寝床を起き上がることもうまくできず、うめいているだけの私に、一体これからなにができるのだろう。それを考えることすら苦しい。

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