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「不機嫌なお月見」

お月見の
気分をさらう
濁り雲

渋谷 明治通り

子供の頃はよく団子を作ったわね
真似事みたいにね
ススキも取りに行ってね
でもあれから作ってないわね

お姑さんの圧がすごくてね
自分はああしたこうしたとか 
で、あなたは?
みたいな

そんなことを聞いた
小望月の夜
月はきれいに
輝いていた

小望月

お月見をするのが当たり前
在りし日の空気感
今は誰も
強制しない

今は特別
話題にもならなくて
暑さも手伝ってか
気分が乗らない

曇る空を見上げて
さらに気分もうしろ向き
道端のススキを抜こうとしたけど
折れ曲がっただけ

団子も挑戦しようと
検索したら
団子ってめちゃ時間がかかるのね
心も折れた

仕方なく
大きなまるいがんもどき 
黄色いカスタード入り和菓子を買って
もどきなお月見

東京は忙しくて
空を見上げない
満月も不貞腐れてか
顔をださない

ごめんよ
年に一度の夜なのに
日付が変わる少し前
一瞬顔をのぞかせた

少し機嫌を直したのか
日付が変わった深夜二時
ひかりかがやき
目をさます

少し雲に隠れながらも


ようやくお月見
特別に開けた
香り高いシャンパンで 
月夜に乾杯した

正確にはスパーリングワインでした

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