溺れてしまいたくなる映画

opening

 週末、シェイプオブウォーターという映画を観た。デルトロ監督の映画ってどれも独特の雰囲気を味わえる。中でもシェイプオブウォーターは映画の持つ個性、独特の考え方や表現様式が最高だった。

わたし手書きのイメージ(ガビガビ)

purity/connect/fear

 まず、シェイプオブウォーターという題がいい。シェイプオブユーじゃないんだ。シェイプオブユーだと触って確かめられる次元の「あなたの形」だけど、シェイプオブウォーターは纏う水の流れやその波動、あなたのいない世界、それらを通じて確かめる「あなたの形」なんだろう。

 主人公は言葉を発することができない女性ではない。なんというか、真に純粋な女性。まわりの登場人物とか、私含め視聴者が些細なことからひねくれて不幸になっていく中で彼女だけが純粋で、ひずみのない日常を過ごしている。心と体、思考と行動が彼女の中で完全に一致していて、他者との心の繋がりも数式でいうイコールみたいに素直に体の繋がりへとつながっていく。全ての隔たりを超えて、半魚人みたいなやつと心が交流する。あれ?何を悩んでいるんだろう私たちは。

 欠けていて歪んでいる登場人物および私たちは、生きているのに死を恐れる。死が起きると、永遠に世界に自分の形の穴が空いてしまう。空洞に乾いた風が吹き込む。怖い!その空洞への恐れが根源的な死への恐怖なのかもしれない。

 たぶんだけど、心からの繋がり、つまり愛があれば死の後に残るのはからっぽの空洞ではない。愛する人や動物、物と築いた繋がりが切れることなく継承されていく。でもこの映画では悲しいかな、冷たい弾丸が身体を穿って、温かな血が、身体から流れ出していってしまう。。

 この映画を観た後しばらく経ってから、文章を書きたくなった。(それでnote書いたw)観た直後「この映画良かった。。」と余韻に浸ったけど言葉で表せずそのままにしておいた映画が数多くあったことを思い出して、勿体無い事してたなーと思ったわけ。純粋に何かを好きだと言えるように、体験を自分自身に伝え返す、つまり文章化する作業が必要なんだと思う。

closing

 ここまで読んでくれてありがとう!また素敵な作品に出会ったら逢いましょう。

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