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【音楽連載】みんなのうた|旅する輪ちゃんドタバタ劇場 vol.2|音楽と文:輪(りん)

 こんにちは、呼ばれてないけど、細ーーいご縁をたぐってたぐって手繰り寄せて、押しかけて歌う系シンガーの『旅する輪ちゃん』です。
 11月の那覇ライブの会場を探す時も、5、6年も前にバーでちらりと会った方を頼って、電話をしてしまいました。そんな時、信じられないような行動力が出るので、自分でもビックリします。

 さて、12月頭に広島に行ってきました。今回は、石垣在住のある方が企画してくれた、音楽のイベントに夫(アクセサリー出店)とともに参加。
 初めての広島でした。着いた日、他の出演者さんたちとはじめましてをして、まず広島風お好み焼きと宮島・厳島神社。「広島に来たなー!」と実感。そして二日目、平和記念公園内の原爆ドームと平和記念資料館を見てさらに、「広島に来たなーーー。」と実感しました。

 近代的な建物の平和記念資料館に入るとまず、戦前の広島市の町の様子が壁一面に映し出されている。時代を感じさせる姿の街行く人々に古い自動車、制服姿で笑顔の子供たちの集合写真。そして次の部屋には、原爆投下後の街の様子。痛みを感じるのに充分な展示方法で素晴らしいと思った。それを真剣な眼差しで見つめる世界中からの旅行者のたち。それだけでもう胸がいっぱいになり、その後の順路を間違え、早々に資料館を後にした。

みんなそれぞれの速度で展示を見ていたので、先に出てきた他のメンバーと共に、慰霊碑に手を合わせ、綺麗に整備された公園内を原爆ドームまで歩く。ところが、夫が30分経っても出てこない。最後に見たのはトイレに行くところだったから、まさかトイレの中で倒れてるんじゃないか。一時間近く経ち、電話にも気付かないし、さすがに心配になり、警備員さんに言って中に入れてもらった。

そうしたらなんと、一番大事な部分の展示を見ていなかったことに気が付いた。そこは暗くて、暑くて、人がいっぱいで怖かった。そんな中を不安な思いで夫を探す、というちょっと不思議な体験をした(結局、夫は端から端まで丁寧に展示を見てたみたいで、意外な一面を知りビックリ)。

 公園は前に行ったことがある夫が言っていた通り平和な雰囲気で、おじさんが外国人女性(どうやらフランス人)に、英語で一生懸命、フランスに行ったことがあるという話をしていた姿が好きだった。公園を出てすぐの橋の上では路上ミュージシャンが「生きるってなんだろう」と歌っていた。

 その夜がイベントの本番だったのだけど、大失敗だったので正直、あんまり振り返りたくない、、。しょっぱなのトーク中に涙が込み上げてしまい、その後、声がちゃんと出なかったりギターのコードを間違えたり。しかし最近のライブで大切にしているのが、その時感じたことをちゃんと言葉にして、その時にしかできないライブをするってことなので、原爆ドームのことに触れないわけにはいかず、でもちゃんと言葉でそこまでたどり着けた、という涙でもあった。だから本当はだめかもしれないけれど、あんまり後悔はない。

広島にて

 その時、歌った曲。この曲は自分で歌を作るようになって2曲目に出来た歌。最初のころだから、純粋でまっすぐに聞こえるのかなぁ。密かに人気の曲(笑)。

 私の生まれ育ったところは、関東の中でも大きな山の麓で、川があって、温泉が湧いてたり、サルやシカも住んでるようなところで、こどもの頃、そんな緑の中に溶けてしまえたら幸せだな、って感覚を感じながら育ったので、身近な自然への感謝と、その豊かな自然がずっと続いていってくれたらいいなぁ、という希望を込めた歌です。


旅する輪(りん)ちゃん

神奈川県出身。東南アジア、インド、ヨーロッパの旅の末、沖縄県石垣島に流れ着く。自分自身と世界に「こんにちは」を言うために。旅、ふるさと、身近な自然と内なる自然をテーマにしたオリジナル曲の他、金子みすゞや谷川俊太郎の詩に曲を付けたり、色んな国の歌を歌う。各種音楽配信サービスで、石垣島でレコーディングした2ndアルバム『渡り鳥のうた』が聴けます。2022年から自宅ガレージを改装したお店「なずな文庫」で自分にちょうどいい働き方を模索しながら、「楽しい」「わくわく」「大好き」をひそかに発信しています。

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