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建築由来の慣用句って意外とある

木造の建築の仕事に携わっていると「それ聞いたことある!」って言葉がけっこう出てくる事がありました。

今となっては建築の仕事での意味のほうが先に頭に浮かぶので、「あ~それがそういう意味なのね」って思う時もありますね。

例えば、わかりやすい例で言うと

「子は、かすがい」

って聞いた事がありますよね。
落語にもなっているのもあって、一般の方への浸透率は高いのかなぁって思ってます。

でも、『かすがい』ってなんだろうですよね?

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こうやって、土台(下の木)と柱(縦の木)を繋げる役割のある金物のことを『かすがい』って言います。

今の建物って『かすがい』ってあんまり使ってないと思う。プレート金物とかビスで止めるモノのほうが増えてきているような。

「子は、かすがい」

子供は、夫婦をつなぎとめる金物の役割を果たしてますよって意味ですね。

う~ん。納得です。

あとは、「敷居が高い」とかですかね。

『敷居』

他にも使ってますね。「うちの敷居はまたがせないよ!」みたいなやつも使ってますね。

じゃあ敷居ってどこですか?って話ですね。

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この玄関の入口の下のレールが乗ってる木の部分が敷居ですね。

古民家とか行くと少しまたがないと入れない感じになっている部分です。

まぁ敷居って引き戸の建具の下部についている材料で、玄関に限らず内部でも敷居って言います。

そして現代社会の建物で玄関に敷居つけるケースはほぼないんじゃないかなぁ。邪魔だし。建具も吊ったりできるようになっているので、敷居自体も減っていると思います。

あと「うだつが上がらない」って言いますよね。

『うだつ』ってなんでしょうね。

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ここですね。何のために付いているかというと、昔街道沿いの商人の家は長屋形式で、道路に対して幅が狭く奥行きが長い建物でした。

なので隣の家とはびっちりくっついている。
なので火事の時とかは延焼がひどかったみたいです。延焼の原因になるのは窓等の開口部からの炎であったり飛び火。
なので、このうだつは延焼を防ぐための防火壁の役割を果たしていたみたいです。

この『うだつ』の出だったり高さだったりで延焼の防ぎ具合も変わったとか変わらなかったとか。

うだつが上がらないというのは、うだつを作るには費用もかかるので、
生活や地位があがらない状態のことを指す言葉となって現代まで引き継がれています。

次で最後です。

「いの一番」って言いますかね?

今はあんまり言わないような気もしますが、ようは1番最初っていう意味ですね。

これも建築からきている慣用句らしいです。

建物をつくる時、大工さんは『番付』というものを図面とは別に自分で書きます。

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横の列を「い ろ は に ほ へ と …」で番号をつけて、

縦の列は「一 二 三 四 五 六 七 …」と番号をつけます。

今、普段書いている図面は、XとYで、X1、X2とか、Y1、Y2って書く設計士さんは多いと思う。

けど、刻みからやってる大工さんは、たぶん上記の「いろはに」が多いと思う。

で、『いの一番』の話

上の写真でもあるように、「い」と「一」の交点ってありますよね。建物の右上の角の位置がそれになってる事が多い。(地方によって多少違う場合もあるみたい)

で、大工さんは骨組みとなる柱を立てるとき、この「いの一番」から建て始める。

この位置が北東の角(鬼門って言われている場所)って言うのも意味があるみたい。

四方祓っていって上棟式の時にお清めのために「米、塩、酒」を建物の4つ角に撒く習わしがあるのだけど、一番最初に撒くのは、やっぱり北東の角。
そこから時計回りに順々に回っていく感じ。

なので、「いの一番」は、何かを始める時の一番最初。っていう意味で建築関係者じゃない人達にも使われていたみたいです。

これは現在の建築でも変わらず使っている部分ですね。

意外と建築の言葉って一般社会に溶け込んでいて面白いなって思います。

おまけ
「あっぱっぱー」も建築用語みたいです。使いますね。
勝手に自分の住んでいるところの方言だと思ってました。

ご拝読ありがとうございました。

まる。

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