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人のふんどしで戦う経営者たち

世の中に「人のふんどし」で戦おうとする人は多い。
特に、今から事業をはじめる人は気を付けて欲しい。
今回はこの辺りについて書き綴っていく。


なぜ人のふんどしで戦うのか?

殆どの場合、「本来は自分が背負うべきリスク」を他人に押し付けるためだ。
こういった人は、ハイエナのようなものだと思った方が良い。

例えば、事業をはじめたばかりの人のところには、たくさんのハイエナが寄って来る。
甘い言葉を使うことも多く、多くの経営者は、一つくらいは引っかかってしまった経験があるだろう。
そして、現実に気が付き、学習する。
これが、経営者の性格がまた一つ曲がる瞬間だ。

次から、実例をいくつか挙げていく。

コンサルタントの例

これは私自身が何度も体験した例だ。

まず、コンサルタントを名乗る人からアクションがある。
そんな人は、特定の業界のプロフェッショナルだと語ることが多い。

そんなコンサルタントは、新しい商品の開発を話を持ち掛けて来る。
随分と大掛かりな商品の開発だ。
予算規模を伝えても、全く怯まない。

そこそこの時間を掛けて、打ち合わせを進める。
そして、いよいよ最終の見積を提出するタイミングでこう言う。

――― 企画料は売上の30%でいいですよ。

どういうことか?
商品の開発費用を一切は出さないということだ。
それどころか、企画料として売上の30%を求める。
自らは1円も投資することはなく、相手に100%のリスクを負うことを求める。

――― この商品は絶対にたくさん売れる。

これが最後に言う言葉だ。

増員を求める元請の例

下請企業にやたらと増員を求める人がいる。

――― 発注量を増やすから、増員対応して欲しい。

というものだ。

この手の話に乗ってしまう経営者は多い。
そして、その後、忙しくなっていく。

しかし、問題もある。

・発注量に応じた値下げ交渉
・閑散期には全く発注がない

増員しても値下げで利益率が悪くなったら、意味がない。
閑散期に発注が来ず、人件費が負担となる。
突然、発注が打ち切られる可能性もある。

一方、元請側は、繁忙期の売上を逃したくないだけだ。
そして、閑散期に人件費が負担となることはない。

設備投資を求める元請の例

下請企業に設備投資を求める人がいる。

――― この設備を導入したら、この仕事を発注する。

というものだ。

増員の話と同様に、この手の話に乗っていしまう経営者もそこそこいる。

当然、問題も同じだ。

・発注量に応じた値下げ交渉
・閑散期には全く発注がない

こちらのケースの場合、元請側には以下の目論見があったりする。

・下請に設備を用意させて、新しい仕事をはじめる
・設備は欲しいが利用頻度は多くない
・設備を導入する予算やスペースがない
・自社もさらに上の大元請から設備の導入を求められている

どちらにしろ、本来は自社が持つべきリスクを他社に転嫁させる目的であることが多い。

甘い話に乗ると…

残念なことに、甘い話に乗ってしまう人もいる。
その後は、自信に満ちて、目を輝かせていることが多い。

最初の内は良い。
実際、売上が伸び、忙しくなるだろう。
気が大きくなって、高級車を買い始めたり、オフィスを新築するような人もいる。

――― ただ、元請の状況が変わると?

間違いなく、大ダメージを受ける。

そもそもだ。
特定の1社から売上が集中すべきではない。
これ自体が危険な経営戦略だと言える。

もう一つ。
人員拡大や設備投資を急かせる会社は危ない。
普通の感覚の人は「社運に関わる」ようなことを他人に持ち掛けない。
持ちかける時は、自分も相当の覚悟を決める。

――― 無責任に拡大を急かす人は信じるな。

経営者なら、このくらいの疑り深さがあって丁度良い。


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