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増益とは現状維持の引力と戦うこと

経営者は、何かを変えようとした時に、目に見えない力に阻まれることがある。
それが「現状維持の引力」だ。
今回はこの辺りについて書き綴っていく。


引力の正体


元々、人は変化を嫌う傾向があるように思える。
変化というのは、新しいことを覚えたり、新しい作業が増えたりするからだ。
そのため、現状維持の引力が働く。

例えば、作業効率を上げるために、作業の過程に見直しをしたとする。
それを現場へ導入しようとすると、とてつもなく強い引力が発生する。
それは「新しい過程」を覚えなおす必要があるからだ。

もっと分かりやすい例を出そう。
業務効率改善のため、新しいITシステムを開発したとする。
それを社内へ導入しようとすると、尋常じゃなく強い引力が発生する。

新しいITシステムの使い方を覚えるのは面倒だ。
操作に慣れるまでは余生に時間が掛かる。
これを導入しても給与が上がるわけではない。
だったら、今まで通りでいいじゃないか。

これが「現状維持の引力」の正体だ。
この引力は、変化に対しての反発を生み、あからさまに敵意を示す人もいる。

――― しかし、これを超えなければ、増益は見込めない

実際、ITシステムの導入に失敗する企業は多い。
かなりの金額を掛けて開発したITシステムが、結局は使われなかったり、活用されなかったりする。
業者を替えて、ITシステムを開発しなおす会社もいるくらいだ。

これは、システム設計の問題もあると思うが、けっこうな割合で「現状維持の引力」を突き抜けられなかったからではないかと思う。

理想と現実


経営者は、比較的変化を受け入れる。
変化無くして、増益が無いことを実感しているからだ。
経営陣、幹部、管理職の人も変化をしなければいけないことは分かっているはずだ。

一方、現場で働く人は、なかなか変化を受け入れられないことが多い。
業務効率が上がれば、給与も上がる可能性がある。
業務効率化を経て、増益へと繋がり、給与が上がるというのが「理想」だ。

しかし、「現実」は違う。
「仕事の仕方は変えたくない」が「給与は上げて欲しい」と考えてしまう。
過去に「理想」通りにならなかった経験があるのかもしれない。

とにかく、理想と現実は常にずれる。
そして、理想を追求しようとすると「現状維持の引力」という現実と戦うことになる。

引力を打破する方法


変化を導入する時には、以下の流れになると思う。

1.理想と変化の概要を伝える
2.成功時のメリットを提示する
3.変化を導入する
4.結果を確認する

理想と変化の概要を伝えた時から、引力が発生する。
成功時のメリットを提示することで、少しは引力が収まるかもしれない。
しかし、現実はそれほど甘くない。
正直、変化を導入する時は、多少強引に導入せざるをえないと思う。

私の経験上、「変化の導入を分割する」というのが有効だ。
導入するものの大きさにもよるが、例えば、全体を3つのステップに分けて、段階的に導入する。

第1ステップは、可能な限り、小さくイージーにする。
そして、確実に成功させる。

成功すると、多くの人は「勝ち馬に乗った気分」になる。
勝ち馬に乗りたい人は、第2ステップ以降、協力的になることが多い。

――― 勝ち馬に乗る体験

これが、現状維持の引力を中和する。
誰しもが「負け馬」には、乗りたくない。
「勝ち馬感」を演出するのも重要な仕事の一つだ。

間違っても、理想を一気に詰め込んだ絶望的な変化を現場へ導入してはいけない。
これは本当に痛い目を見る。


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