【セレッソ大阪】新潟に内容で負けた日。戦術分析。

セレッソが負けた要因

セレッソがやりたかったことは理解に苦しむのだが、少なくともチームとして攻撃の時間を増やすために普段の4-4-2システムを崩して山中(No.6)と毎熊(No.16)の二人のサイドバックに高い位置を取らせる形を採用したのだと考える。

この時点で気が付く人もいるが、相手(新潟)のシステムは4-5-1のため、”誰がどこに立てばボールを奪いやすいか” ”誰が誰をマークするのか”わかりやすい形を準備してきたのだった。

得点バリエーションを考えてない

このあと細かいことを書こうと思うが、レオセアラと北野颯太がタイプが近く、ターゲットマンというよりはマイナスのボールやこぼれ球をねじ込むことを得意とするフィニッシャーであり、プレーエリアが重なりやすいことや囮になることが本職でないことから、北野・レオ両者ともに今節の得点チャンスが少なかったのだと分析する。

セレッソの課題

セレッソは昨シーズンからずっとペナルティーエリア端にセンターバックを置いてビルドアップを始めるスタイルをとっていて、今年も継続して課題になると考えられる。
ビルドアップが難しくなる理由はいくつかあるのだが、セレッソの場合はキーパーとセンターバックの距離が遠い。また山中は守備に不安があることもあり、ビルドアップ時にはあまり上がらないため攻めづらく戻しづらいという問題がずっとある。

ではなぜこの形なのか?

セレッソは正GKにキムジンヒョンという足元の優れた選手を置いているからだと考えられる。ただ今節の場合、クラシカルなGKである清水が入ったこともあり、相手としては中央エリアさえ押さえておけば蹴れないという確信もあって相手がボールを拾う時間が多かったのだろうと考える。

セレッソがやったこと

オフェンス面

攻撃面でできたことというのは数少ないが、セレッソが攻撃の時に意識していたのは毎熊(No.16)の飛び出しと山中のクロスだろう。
特にピンクのエリアからボールをペナルティーエリアに供給することが多く相手ウイングをディフェンスへ戻すこと・サイドバックとの1on1でしっかり出し抜くことを求めていたと考える。
結果的に2ゴールのいずれも「サイドを起点にゴールが生まれた」という結果だけを見ると、良かったのでは?と思ってしまう。

ディフェンス面

セレッソは勝った試合と負けた試合で何が違っただろうと冷静に考えるとプレスの質だと考える。

新潟相手に守備で何ができたかと考えると基本的にほとんど無力化されていたと思う。特に誰がどの選手にいくか、どこを切るのかということ(意識の部分)が共有されていないように思え、フィールドプレーヤーのアドリブで「ここは行く」「ここは行かない」という風になっていたことがかなり厳しかったところだろう。

原点に立ち返ったのか、試合中盤から守備ブロックを意識して整えに行っていたが、中盤の枚数が多い新潟にとってはやりやすくなっていたし、押し込む展開が長く続いたように思える。またレオがひとりで前から追っかけているいき連動しなかったところ、ボールロスト者の即時奪還意識など、かなり緩い点が勝利を引き分けにしてしまったと感じる。

セレッソがやらなきゃいけなかったこと

オフェンス面

セレッソが攻撃でやらなければならなかったことは、左右に振りながら相手最終ライン裏にボールを供給することだっただろう。
もちろん相手は4-5-1という陣形であることから振りづらいことは容易に想像がつく、だからこそ北野(No.38)がボールを受けに下がってくる・毎熊(No.16)が中と外を走り分けながら攻撃に加わるというのはチャンスを作るうえでは重要だったと思う。

また山中(No.6)や毎熊(No.16)にボールが入ったときに、もっと中盤の選手と連携しながら相手を引き付けて、西尾(No.33)やヨニッチ(No.22)を経由して逆サイドのジョルディ(No.11)や為田(No.19)、あるいは直接対角に蹴っていくことで攻撃を持続可能なものにしていく必要があると感じた。

ディフェンス面

やはり守備の原則として、しっかりと「同サイド圧縮をして追い込む」ゾーンで守るなら「どこで回収するのか」を約束ごととして落とし込む必要があると感じる。また一部の選手がプレスの強度が弱かったり、ボールロスト時にプレスではなく背走をしているシーンがあるがあれがよかったのか、あれがルールなのかしっかり意識を統一してもらいたい。

ベストはやはり3バック!?

セレッソが苦手にしてきたチームは3バック(中盤が多い)もしくはサイドで仕掛けることを得意とするチームだ。
※昨季は広島、東京、名古屋にダブルをされている

中盤が多いチームにやられるセレッソは4-4-2でボランチの脇を使われる可能性が極めて高く、2022シーズンは奥埜、徳真、毎熊、為田の4選手の質でカバーしていたが、基本的には数的不利で押し込まれる時間も多くなり、自分たちの持ち味を出せないということになる。

またサイドからの崩しによって、中央でシュートを決められることも多く自陣側で守ることが多い分、苦手なエリアを使われるケースも多くなっている。

セレッソ大阪2022・J1失点位置


それを回避するうえで、3バックは効果を発揮するのでは?と考える。

3バックの効果

真ん中のガードを高めるうえで、3バックがいいと単純に言うつもりはない。
というのは、単に3バックというと真ん中のガード以前にサイドからの崩しに対してどう対応するのかというところが議論されなくなってしまう。
だからこそ「こうしたら?」という論をぶち上げてみたい。

僕が考える3バックは少なくとも攻撃時は「3-5-2」平時は「4-4-2」守備時は「5-3-1-1」という可変をすることを前提にする。

平時

平時はいつもと変わらない4-4-2を使用するが高い位置に山中を置くことでサイドでのスピード勝負・クロス・迎撃を行うことが可能になると考える。
もちろん為田でも代用可能で、前から守備を行える選手でないといけない。

攻撃時

攻撃時は3-5-2を使用する。平時同様に山中を高い位置に置き、中盤は徳真、奥埜に加え、毎熊を上げる形。
中盤は現在のセレッソと同様に流動性をもってプレー奥埜が前に行くときもあれば、毎熊が飛び出すこともある3-1-4-2のような押し込む展開も作れるかもしれない。
また3バックの一角には左利きの舩木を置くことで対角に蹴ることや本職のサイドバックで見せる持ち運びも安定してできると考える。加えて、控えに回っている山下、進藤、鳥海も3バックに対応可能なマルチな才能を持っており、シームレスな可変を実現できると考える。

押し込まれる時間が続いても

守備時・勝ち試合の後半

守備時は5-3-1-1を使用。押し込まれる・逃げ切りを図る時間帯には山中を本職のサイドバックまで戻し、クルークスも中に絞る。もちろん交代などによってクルークスを原川や石渡、毎熊を陸や進藤などに代える可能性もあろうかと思う。香川や清武といったスーパーな選手もこのフォーメーションではカバー範囲が広大な4-4-2に比べると抑えられ、コンディションの安定につながるのではないかと思う。

最後に

チームとして何かが足らないと感じていた2022シーズン。
勝つための準備が整った中で、引き分け発進となった今シーズン。
チームが勝つために走れること、強度を高くプレーすること、これは大前提だ。その上でチームとして仲がいい、雰囲気がいいという方向に向いていけばと思う。
勝つための準備が残念だっただけに切り替えて、圧倒的なシーズンを過ごしてもらいたい。

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