私の内側02 「ディストピア禍の新・幸福論」


ディストピア禍の新・幸福論

◆この本との出会い

私は、大学院で、経営学という理性的だと思っていた学問を修めながらも、その後半から、入学前には、苦手で、敬遠してきた「人を動かす」、いや「動いてもらう」という人の心に、強い関心を持つようになっていました。
そして、大学院を卒業し、何をするか掴みきれないでいた時に、いつの間にか、自分の目標は何だろう、何のために生きているのだろう、どうなれば満足できるのだろう、幸せになれるのだろう…などと考えるようになっていました。
その結果、たどり着いたのは、自分は、「幸せ」と感じて、生きていたいという願望であり、そして、私以外の全ての人、すべての生物、もしかすると、すべての物も、その具体的な内容に違いはあっても、「幸せ」でありたいというのが、究極的な目標なのだと信じるようになりました。
そんな時、「幸せ」を基に検索し、たどり着いたのが、慶應義塾大学大学院教授、前野隆司さんの「幸せのメカニズム」という本で、その本を読むと、そこで述べられていた「幸福学」という科学に、深い関心を持つようになっていました。
実は、その前にも、この分野には興味があり、マーティン・セリグマンさんの「ポジティブ心理学の挑戦」という本なども読んでいましたが、難しさがあってか、今一つ入り込めないでいました。その点、この「幸せのメカニズム」という本は、書かれている内容は、やさしく、はるかに理解しやすいものでした。
そして、その本で述べられていた「幸福学」というものを、もっと知ろうとして、行き当たったのが、同じ前野教授の「ディストピア禍の新・幸福論」でした。「幸せのメカニズム」よりも、人間の存在意義へと深く踏み込み、しかも、コロナ禍以降の日本の状況に沿った内容で、深く考えさせられる内容でした。

◆この本から得たもの

この本から、「幸せ」と感じる要素として、
「自己実現」(「やってみよう!」主体的に生きる)、
「関係性」(「ありがとう!」ともに生きる)、
「挑戦」(「なんとかなる!」未来を信じる)、
「個性」(「ありのままに!」他人と自分を比べない)
の4つの因子の存在を知りました。
これは、アンケート調査をクラスタリングして導き出したもので、完ぺきではないにしても、指標とする程度には、充分信頼性があるものと思いますし、また、日本人へのアンケートにより導き出されたもので、特に、日本人には、座りのいいものではないかと感じています。
そして、自分は、今、これらの因子を、思考の柱、フレームワークとしてすえることにしています。それが、一番の収穫だと思います。
具体的には、うまくいかない原因を探す時、施策を考える時…、このフレームワークに沿って、それぞれのステークホルダーの立場で考えていくと、乾いた経営・ビジネスの理論に、人の営み、心が注入できるように感じます。
この点で、私が大学院で得たことで、もう一つ大きかったと感じたことである「共感」とも結びつき、「共感」がないと、他人の「幸せ」なんて考えられないという、至極当然なことに、あらためて気づきました。

◆今後どのように生かしていくか?

私は、社会に対して、自己の中から湧き出る、新しい考え方や価値観を表現していくアーティスト(アート思考で考え、提案する人)でありたいと思っています。
まずは、「幸せ」という、私にとっての絶対的な価値を実現する目的で、このフレームワークを通して、自分を掘り下げ、自分の価値観を見えるもの、理解できるものにし、世にぶつけてみたいと思います。
その一方で、「共感」(「デザイン」というべきか)を通して、同じように、他人の「幸せ」についても、自分ごととして考え、「幸せ」を現実のものにしていきたいと思っています。
先は長いですが、一歩、一歩。

慶応義塾大学大学院の特任准教授をされている、若新雄純さんが、以前、たとえ、小さなことでも、たとえ、焼け石に水でも、コツコツとやっていれば、いつか何か変わるかもしれないと信じたうえで、人は、何を成したかでなはく、何を成そうとして生きたか、「どんなつもりで生きたか」、ロマンが重要ではないかというような内容のことをお話しされているのを聞き、私も、まさにそう思いました。

<参照>
G1新世代リーダー・サミット2021
成田悠輔、若新雄純、福井良應、村田早耶香が考える、社会的分断・断絶を超えるためにできること
https://www.youtube.com/watch?v=Os1CYGymgHM



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