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大阪ダックワーズ

しっかりもので、みんなの中心のこうたろうさん。
物静かで穏やかだけど、やさしさにあふれていたひろしさん。
いっつもいっしょにいてあそんでいた、親友ぽんちゃん。

専門学生のころ、大阪に住んでいた。
もう10年くらい前のことで、大阪時代のことは、この3人に感謝が尽きない。

パティシエになると決めて大阪に行き、毎日が忙しかった。
もちろん学校も授業や実習でびっしりで、アルバイトも週5~6入っていた。

そのスケジュールを思い返すと、全く遊ぶ余裕などなさそうに思うが、どうやっていたのか記憶も怪しいもののしっかり友人と遊んでいた。
2年間しかいなかったはずなのに、ここもいったな、あそこもいったな、という場所が多い。バイトや学校で誘いを断る続ける僕を、こうたろうさんは根気よく誘ってくれていた。今でもたまに残っている留守電を聞いてみたりする。

当時、大阪の生活が楽しすぎて、卒業後も関西にいるつもりで就活もしていたのだが、縁あって関東のブライダル企業に内定した。年齢が他の就活生よりかなり上だったこともあって、採用してもらえるかの不安もかなり大きく、内定をもらった時はとてもうれしかった。

ただ、卒業が近づき、関西を離れる日が着々と近づくにつれて、だんだんと寂しくなってきた。大阪のまちも、大阪で出会った人たちとも離れるのが嫌で、就活やり直そうかなとか言ってた時期もある。

3月になるくらいだったが、大阪で出会った友人が送別会を開いてくれることになった。日取りの連絡とともに、送別会のケーキ作ってねと。

自分の送別会のケーキを自分でつくることになったのだ。
しかも、僕が持っていたレシピ本の中から種類までひろしさんに指定された。
図々しいとはこういうことだ。でも大阪引っ越してから何かと気にかけて優しくしてくれたひろしさんの頼みだ。作るしかないなと思った。

その時作ったケーキの土台が、ダックワーズだった。ダックワーズの上にココナッツのクリームとパイナップルが乗っている。ダックワーズという生地は知ってはいたが、実習でも1回作ったきりで、それ以来作ったこともなくて、本の通りに作った。

出来栄えがどうだったか、味が良かったのか全く覚えていない。
覚えていることといえば、みんなで他愛のない会話をして、最後に僕が話しながら号泣したこと。

話しているときにぽんちゃんの顔が見えたのだ。
そのころぽんちゃんとは毎週のようにあっていて。
楽しいこともつらいことも全部ぽんちゃんには話していた。

ああ、みんなが好きだけど、もうしばらく会えないのだなぁと思うと涙があふれてきた。それが、心の底から寂しかった。

なかなか会えなくなったけど、
こうたろうさんはいっつもインスタにいいねをくれる。
ひろしは、オンラインのギフトをこっそり買ったくれたりする。
ぽんちゃんは、今でも大切なことは一番に言いたくなる。

不安でいっぱいで始まった大阪生活は、彼らのおかげで、離れたくないまちにまでなったのだ。みんなが思っているより、ずっとずっと感謝している。

ダックワーズは、その時のちょっぴり切ない気持ちを思い出すお菓子だ。
大阪のころの大好きな人たちとの思い出と、少し切なくなるお別れの味。

今度このお菓子をもって、大阪やみんなのところ
へ遊びに行きたいなと思う。
みんなお元気ですか?

【商品情報】
大阪ダックワーズ
1個250円〜


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