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【感想】日テレ土曜ドラマ『祈りのカルテ』第1話

突然だが、僕は知念実希人の小説のファンである。
(わざわざ「小説の」と付けたのは知念先生は近年ツイッター上で政治的な発言が物議を醸すこともあるため。自分はツイッターはフォローしていないので知念先生の政治的思想を支持もしくは否定する意図はありません)

ハマったのは2015年頃から。
読書家だった父は実家のリビングの本棚に読み終えた新刊を置いていたのだが(その代わりに基本古い順でブックオフに売るのが父のやり方だった)その中に天久鷹央シリーズの第1作があった。

(C)新潮文庫

正直最初に見つけた時は「な、なんだこのラノベみたいな表紙の本は…60歳を過ぎた父が読むような小説なのか…?」と若干引いてしまったのだが、逆に父が恥ずかしげもなくリビングの本棚に置いているという妙な信頼感もあり読んでみることに。
当時はまだ今ほどの人気シリーズではなかった。

いざ、読んだらこれがまぁ面白い!

きちんと医療ミステリーとして成立しているのが良かった。
そこから天久鷹央シリーズに限らず新刊は必ずチェックするように。
そうする内に知念先生はあれよあれよと売れっ子作家になっていった。

まずは2019年に『神酒クリニックで乾杯を』がBSテレ東でドラマ化。
乃木坂46の山下美月にとって初の連ドラとか今のなっては凄い。

さらに翌年2020年には『仮面病棟』が実写映画化。

緊急事態宣言で映画館が閉まる直前に見届けた思い出。

知念作品の魅力は何といっても医療知識を活かしたミステリー要素。
(近年はその枠に収まらないミステリー小説も書いているのだけど)
ただ、本作はその中では比較的専門用語が少ない方なので広く大衆に届けたい地上波連ドラ向きだと思う。

そんな本作の脚本は根本ノンジ。
職人と呼ぶべきかジャンル問わず(一応コメディが得意っぽいけど)多作な方である。

原作モノも数多く手がけており、そういう意味でもあらゆる題材を一定水準以上の本に仕上げてくる職人という感じがする。

初回を観た印象だと医療ミステリー部分は原作に忠実に手堅く作られている模様。
精神科の回というのもあるが、医療推理の説明シーンも上手く処理されていたと思う。
文字が出演者の顔の上をプロジェクションマッピングのように駆け巡る演出も面白かった。
大根仁監督の『バクマン。』を思い出す。

『祈りのカルテ』はあそこ以外にもLEDパネルを大胆に使用している箇所がある。

なんとあの病室はロケではなくスタジオで、窓の向こうの景色は映像!

原作ベースのストーリーとは逆に登場人物はオリジナルキャラが多数足されて群像劇に改変されている。
続刊である『再会のセラピー』から広瀬(原田泰造)が早くも登場しているのでストーリー全体構成も色々変わってきそう。
原作のエピソード数を考えるとドラマオリジナルの話も今後はあるかな。

主演の玉森裕太もイメージ通り。
エリートコースではなく不器用というかちょっと鈍臭いけど患者に寄り添うお人好しな研修医を見事に体現している。
絶妙に頼りなく情けないw(褒めてます)

他のキャラクターは原作にはいなくて未知数なので今後の展開次第でどっちに転ぶかは分からないけど、少なくとも原作の再現度だけを楽しむ作品にはならなそうだ。
次回以降も楽しみ。

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