林昌弘,Masahiro Hayashi

IT企業で働く会社員(投稿内容は個人の見解であり、勤務先の立場・戦略・意見を代表するも…

林昌弘,Masahiro Hayashi

IT企業で働く会社員(投稿内容は個人の見解であり、勤務先の立場・戦略・意見を代表するものではありません)

最近の記事

【感想】MBSドラマイズム『滅相も無い』第1話

3/18(月)、初回放送まで1ヶ月を切っていたタイミングで新ドラマが突如発表された。 MBS製作の深夜枠にも関わらず(失礼な物言いですみません)超の付く豪華キャスト。 監督・脚本は2023年に長編映画2作目の『ほつれる』が絶賛された加藤拓也。 あっという間に2024春ドラマの最注目作品に躍り出る形に。 早速公式サイトのコメントを見てみると… 「嫌気が差し」 何やら不穏なコメントである。 その“手法”についても公式サイトに詳細が載せられていた。 ただし、第1話を観る前に

    • 【感想】Nintendo Switch『Planet of Lana/プラネット・オブ・ラーナ』

      新年度が始まった4月 すなわち2024年が明けてから早くも3ヶ月が経過 だというのに今年まだ1本もゲームソフトを遊んでいない! 楽しみにしていた『ストレイ チルドレン』が発売延期というアクシデントはあったものの、それ以外に全く食指が動いていないということである。 この深刻な事実を直視した私は早速任天堂のホームページへ飛んだ。 そこでジャケ買い的に見つけた気になるタイトルが本作『Planet of Lana/プラネット・オブ・ラーナ』 既にSteamで約1年前に発売されて

      • 【感想】Amazonドラマ『フォールアウト』シーズン1

        最初に一つお断りを。 自分は原作ゲーム『Fallout』シリーズは未プレイです。 原作との比較は既に多くの考察や論考が出ていますし、自分はこのドラマを手がけたジョナサン・ノーランのファン目線から感想を書ければと思います。 クリストファー・ノーランが映画『オッペンハイマー』でアカデミー賞を受賞したのは日本時間2024年3月11日のこと。 それから1ヶ月後の日本時間2024年4月11日、弟のジョナサン・ノーランの新作が全世界で一斉配信された。 こちらは映画ではなくドラマ『フォ

        • 【感想】フジ金9ドラマ『イップス』第1話

          オークラとバカリズム第1話の脚本を書いたオークラは著書『自意識とコメディの日々』の中でバカリズムとの出会いをこう振り返っている。 ちなみに「システムコント」をオークラは下記のように定義している。 倒叙ミステリーもまさにシステム 犯行シーン(視聴者は真犯人をこの段階で知る) そこに何らかの理由で主人公が居合わせる。 主人公と犯人の対決 犯人のミスや主人公からの逆トリック いつから私を疑ってたんですか? システムの浸透度は大喜利のお題として成立するほどw そんな

        【感想】MBSドラマイズム『滅相も無い』第1話

          【感想】小説『家族解散まで千キロメートル』

          一見すると不思議なタイトルである。 家族解散という“地点”まで1,000kmらしいが、そもそもそんな地点のイメージが湧かない。 「家族解散まで◯◯日」という時間の表現ならまだ分からないでもないけれど。 しかし、そんな疑問は読み始めてすぐ氷解した。 本作の著者は浅倉秋成 実写映画化も決定している『六人の嘘つきな大学生』が本屋大賞にノミネートされ、続けて『俺ではない炎上』が山本周五郎賞の候補に。 お笑い好きにはレインボーのジャンボたかおの同級生で元相方という紹介の方がしっくり

          【感想】小説『家族解散まで千キロメートル』

          【感想】テレ東ドラマ『RoOT/ルート』第1話

          2021年の春に多くの人を虜にしたアニメ『オッドタクシー』 ユルい動物アニメかと思いきや意外な方向にストーリーが転がっていく秀作でした。 その『オッドタクシー』で描かれた物語を別の視点から語るスピンオフ漫画が『RoOT/ルート オブ オッドタクシー』 本作はその実写ドラマ化。 つまり大前提として「オッドタクシーの実写化」ではない。 『オッドタクシー』の実写化はそりゃ動物キャラクターたちをどう描写すんのよとかハードルが高いが、『RoOT/ルート オブ オッドタクシー』は元

          【感想】テレ東ドラマ『RoOT/ルート』第1話

          【感想】ドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』

          まえがき 2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)に輝いたのはドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』 (原題は"All the Beauty and the Bloodshed"なので邦題はかなりストレートな直訳) 監督は『シチズンフォー スノーデンの暴露』で2014年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞しているローラ・ポイトラス ちなみに2023年の金獅子賞はアカデミー賞候補にもなった『哀れなるものたち』 「ドキュメンタリーが金獅子賞とは珍しい」と

          【感想】ドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』

          【感想】水曜日のダウンタウン『清春の新曲、歌詞を全て書き起こせるまで脱出できない生活』

          2024/3/13(水)の22:55頃、今週も『水曜日のダウンタウン』が面白かったな〜と気を抜いていた視聴者の心を次週予告が騒がせた。 今しがた放送されたばかりの『清春の新曲、歌詞を全て書き起こせるまで脱出できない生活』の予告(つまり先週の放送の最後に流れていたもの)が再び流れたのである。 放送事故!? しかし藤井健太郎はX(旧Twitter)でTVerの見逃し配信告知を呑気にリポストしており特に「ミスです」みたいな説明は無い。 TBSからも何も発表されない。 (総務省から

          【感想】水曜日のダウンタウン『清春の新曲、歌詞を全て書き起こせるまで脱出できない生活』

          【感想】TBSドラマ『不適切にもほどがある!』第8話

          一見するとキレの悪い(いつものように後味スカッとしてない)脚本だった。 今回のストーリーで扱われた題材は不倫騒動とネットリンチ。 不倫は本来は当事者間の問題なのにコタツ記事だけ読んで謎の正義感に駆られて批判する人々やその風潮を批評する内容。 しかし語り口は 恒例のミュージカルは誰も付いてこなくて始まらず、終盤に『3年目の浮気』のパロディソングのみ 市郎(阿部サダヲ)は令和という時代に対する啖呵を切らない(「気持ち悪ぃ」と小声で言うのみ) 登場人物の価値観も特に変わらず

          【感想】TBSドラマ『不適切にもほどがある!』第8話

          【感想】劇場映画『ゴールド・ボーイ』

          原作は中国の作家である紫金陳(ズー・ジェンチン)のサスペンス小説『坏小孩』 なんでも東野圭吾の『容疑者Xの献身』を読んでミステリー作家を志した人だそう。 日本では『悪童たち』のタイトルで邦訳されている。 文庫本で上下巻だが、どんどん引き込まれるのでページ数の割にはサクッと読めた。 中国では2020年に『隠秘的角落』のタイトルでドラマ化されて大ヒット。 陰毛やウ◯コなどの描写はさすがにカットされ、また後半はがっつりオリジナル展開。 特に張東昇(今回の日本版で岡田将生が演じ

          【感想】劇場映画『ゴールド・ボーイ』

          【感想】Peacockドラマ『ポーカー・フェイス』シーズン1

          2023年1月から3月にアメリカで放送されて絶賛の嵐だったPeacockドラマ『ポーカー・フェイス』 約1年後に遂にU-NEXTで配信がスタート。 シーズン2継続も決定済み。 本作のクリエイター(企画・製作総指揮・脚本・監督)は映画監督のライアン・ジョンソン。 歴史に燦然と名を残すはずだった『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は残念ながら全世界から酷評されてしまった。 そこから『ナイブズ・アウト』シリーズで再起。 さらにトロント国際映画祭2023で観客賞を獲ってアカデミ

          【感想】Peacockドラマ『ポーカー・フェイス』シーズン1

          【感想】FXドラマ『SHOGUN 将軍』第1・2話

          真田広之がプロデューサー兼主演を務める時代劇ドラマがDisney+で配信される。 そんな第一報が出たのが昨年11月。 日本のテレビ局が介在しないDisney+オリジナル作品という点で最初は『ガンニバル』を思い浮かべたのだが、よくよく見ると実は似て非なる座組み。 『SHOGUN 将軍』は日本の俳優は多数出演しているものの、あくまで純然たるFX製作の海外ドラマ。 その証拠と言っては何だが、アメリカではHuluで配信されている(いわゆるFX on Hulu) つまりは昨年度の

          【感想】FXドラマ『SHOGUN 将軍』第1・2話

          【感想】劇場映画『落下の解剖学』

          2023年のカンヌ国際映画祭で最高賞に当たるパルムドールを受賞した『落下の解剖学』 物語は自宅の3階から転落死した男性の遺体が見つかるところから始まる。 可能性は下記の3つ 事故 自殺 殺人 そんな不審死の謎を追っていく王道のミステリーが大枠。 物語のゴールは真相究明に設定され、そこへの興味で引っ張っていく。 近年のパルムドール受賞作の『万引き家族』『パラサイト 半地下の家族』『逆転のトライアングル』よりは良くも悪くもカンヌらしさは薄いが、その分ハードルは低いと思う

          【感想】劇場映画『落下の解剖学』

          【感想】小説『成瀬は信じた道をいく』

          2023年、デビュー作でありながら大絶賛されて売り上げ的にもヒットを飛ばした小説『成瀬は天下を取りにいく』 当然のように本屋大賞にもノミネート。 自分は今回の続編発売のタイミングで遅ればせながら読んだ。 てっきり「成瀬という名前の主人公が何かしらの勝負に挑む」みたいな話かと思っていたら、なんと主人公は成瀬ではなくてエピソード毎に異なる人物(!) 成瀬あかりという無意識過剰の天才が周囲に好影響を与えていく連作短編集。 読みながら実写映画版の『ちはやふる』の作劇を思い出したり。

          【感想】小説『成瀬は信じた道をいく』

          【感想】Netflixドラマ『殺人者のパラドックス』

          脚本Netflix公式サイト記載のあらすじ↓ 第2話まではまさしくこの感じで進む。 完全に無計画かつ衝動的に殺人を犯してしまい、証拠隠滅工作もままならない主人公。 しかし、なぜか自分の預かり知らぬところで都合よく凶器は消え、それにより生じた新たな火種を消すためにまた偶発的に殺人を犯してしまう。 ダメすぎるw 本作の監督のイ・チャンヒが過去に撮った『死体が消えた夜』を彷彿とさせる幕開け。 ただ、今作はよりブラックコメディ色が濃い。 刑事の勘で完全に彼を疑う男の出現 疑

          【感想】Netflixドラマ『殺人者のパラドックス』

          【感想】劇場映画『梟 -フクロウ-』

          2022年に韓国で年間最長No.1記録を樹立、百想芸術大賞では作品賞・新人監督賞・最優秀男優賞の3冠、大鐘賞映画祭では主要部門の全てにノミネートと興行的にも批評的にも大成功した『梟-フクロウ-』 そんな本作の元ネタは史実。 といっても朝鮮王朝時代の記録物『仁祖実録』の中には昭顕世子がまるで毒を盛られたかのように怪死した旨の一文があるのみ。 その怪死の“真相”をオリジナルの主人公を据えて脚色している。 よって劇中で描かれている出来事はほとんど全てフィクション。 そういった点

          【感想】劇場映画『梟 -フクロウ-』