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池田 尚氏との出会い#3

初めて会った時の衝撃は、今でも忘れない。
私よりも小柄な体だが、その人から出てくるエネルギーと愛はとてつもない。
初めて、「師匠」と呼びたい!そう思えた方です。
私にとって池田さんは、私が、今の自分の考え方の土台を作る上で欠かすことのできない方です。
私は、今回、池田さんとの出会いや出来事を言語化することにしました。そうすることで、今まで得た言葉や考え、目に見えない気持ちや、いつも感じる池田さんの温かさを、理解し、これからの私自身の活動に生かすことができるのではと考えました。
「まだまだだなぁ、マサ!」と言われるかもしれませんが、池田さんの背中に追いつき、超えるために、やってみたいと思います。今回は、第3回目です。

研修後、池田さんに1通の手紙を書いた3か月後、私は、上司に懇願し、池田さんが、当時、館長として勤めていた「諫早こどもの城」にインターンシップに行かせてもらいました。
2泊3日の諫早こどもの城インターンシップです。

諫早こどもの城(長崎県)

私は、池田さんにまた再会できるのを楽しみにしていました。
私が、こどもの城に到着した時には、まだ池田さんは来ていなかったのですが、事務所で待っていると、事務所の扉がガラッと開いて、「マサ!よくきたな!」と手を広げて、抱きしめてくれました。私もそれに応えると、また込み上げてくるものがありました。本当に温かい人だなと感じた瞬間でした。

インターンシップの最初に池田さんから言われた言葉です。
「俺は何も教えない。お前が感じたことがすべてだ。」

私は、自分の感性をフルに使って、子どもたちと一緒に遊んだり、スタッフや来館される保護者の方と話をする中で、子どもの城が創り出す温かいものを感じ取ろうとしました。
印象に残っていることはたくさんありますが、その中でも強く印象に残っているエピソードが2つあります。
1つ目は、「できなかったけど、ハイタッチ。安心感が染みていく」
こどもの城には、クライミングウォールがあります。人数限定の活動ですが、私はその補助を手伝うことになりました。
この活動で、1つルールがあります。それは「自分で決める」です。どのようなものかというと、クライミングウォールに上る前に、自分の口で「登ります(登りたいではなく)」と伝え、どんな高さでも下りる時は自分の口で「下ります(下りたいではなく)」と伝えるというものです。
意外と簡単なように思えて、高さは10mあります。途中怖くなって「下りたい」と言っても、下ろしてくれません。それはなぜかというと「自分で決めてほしい」からです。「下りたい」は「want(希望)」です。「下ります」は「decide(意思・決定)」です。登ることができたできなかったではなく、「自分で決めたかどうか」を大切にしています。
7233.pdf (city.isahaya.nagasaki.jp)

そんな時、ある男の子が、3mくらい登ったところで、止まっていました。次の手を出そうとするけど戻すということを10分くらい続けていました。周囲はそれでも見守ります。最終的に、その男の子は自分の口で「下ります」と伝え、下りてきました。
男の子が下りてきているときに、私のそばに池田さんそっと来て、小声で、「マサ、あの子とハイタッチしてこい!」と言ってきました。
私は、「え!なんで!?」と思いました。私は、まだこの時は、「自分で決める」という真意を頭では分かっていても、本当は分かってはいませんでした。「登れなかったのに、なんでハイタッチ??逆に傷つくんじゃ・・・」と思いながらも、その男の子が下りてきた時に私はその男の子とハイタッチをしました。
その瞬間が衝撃的でした!
下りてきた男の子の表情は少し俯き気味でした。でも、ハイタッチをした瞬間の男の子の表情が、急に微笑んだのです。彼の中で、「自分で決めれた」という達成感が、その表情から読み取ることができました。そして、失敗しても「ここにいていいんだ」という安心感を感じることができました。
「なにこれ!すごい!」と体中に電気が走る衝撃でした。
この経験は、インターン後、私の実践の中でも生かされます。幼児の子を対象に30mの土手を登る活動をしたときに、ある一人の男の子が挑戦する中で、あのクライミングウォールの男の子と同じ状況が起こりました。その時に、下りてきた男の子に、私は「よく自分で決めたね」とハイタッチをその子としました。その表情は、安心したような表情でした。
そして、この活動が終わろうとしたときに、その子が先生と一緒に、私のところに来て、「もう一回チャレンジしたい!」と言ってきたのです。すごく熱いものを感じました。結果は、見事30mの土手を登ることができました。周りで応援していた友達や先生、私たちスタッフも全員感動していました。

池田さんが歌うオリジナル曲「おかえり」の歌詞の中に、こんな歌詞があります。
「安心できるから挑むことができる」
このエピソードは、その歌詞を体現したものだなと感じました。
体験活動が子どもたちにもたらす力を、肌で感じた瞬間でした。

2つ目のエピソードは、「お母さんが笑顔になる」
私が、休憩に入る際、驚いたことがあります。それは、こどもの城には、開館当初から、館長室というものがありません。事務所に館長からスタッフまでが出入りします。さらに、驚くことに、利用者もいる時があります。昔の出入りいやすい居心地のいい職員室のような温かさがあります。そこでは、スタッフと利用者が椅子に座って、話をする光景が見られました。普段着のような会話があり、その空間は、子育てや家庭の悩みを抱えるお母さんたちにとっては、とても話しやすい環境でした。
形式ばったやり方もありですが、教育や子育て環境には、こういった普段着のような会話ができる環境が大切だということを肌で感じることができました。
最近、池田さんとやり取りをする中で、言われたことがあります。私はこれまでずっと池田さんは「お母さんを笑顔にしてきた」と思っていましたが、池田さんは違っていました。
「お母さんが笑顔になる。あくまでも本人が主体であってほしい」
その言葉を聞いて、このエピソードを振り返ると、そうだなと感じます。インターン中、池田さんとあるお母さんが話をしている時に、「俺は、あんたの悩みを解決することはできん。でも話を聴くことはできる。(あくまでも解決するのはその人本人)」と言っていました。
冷たく聞こえるようで、本質ではないかと思います。自分の課題と相手の課題を「分かつ」ことで、自分・相手のできることが見えてきます。
今後、私が子育て環境をより良くする上で、大切にしたい言葉です。
お母さんが笑顔になるために、私ができることを考えていきたいと思います。

2泊3日のインターンシップは、あっという間に終わりましたが、最初に言われた「俺は何も教えない。お前が感じたことがすべてだ」と言われたように、多くのことを感じることができた3日間でした。教えてもらっていないけど、教わったことがいっぱいあったような不思議な感覚でした。
最後に、事務所で2人で話した後、池田さんが歌ってくれた矢沢永吉の「I LOVE YOU,OK」は今でも忘れません。

次回最終回へ続く。

おせっかいおじさん ぷーさん

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