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自給自足カレッジ32

昨日までは、ずっとデビット•モンゴメリーの「土の文明史」から、土壌の喪失と文明の衰退の関連性について書いていましたが、今日は、久しぶりに経済問題について書いてみたいと思います。
先週水曜日の日経夕刊の一面に、ちょうど面白い組み合わせで、二つの記事が並んでいたので、この二つの記事のバックグラウンドをここで考えてみたいと思います。
一つはアメリカの2年国債の利回りが15年ぶりに5%になったという記事で、もう一つは日本の経常収支の赤字がこの1月に過去最大になったというものです。
この二つの記事では別々の事が書かれているようですが、その基盤というかバックグラウンドは共通するのではないかと私は考えています。
結局どちらもグローバルベースのインフレ率の上昇が原因となっており、アメリカではFRB議長がアメリカのインフレ率が基調として下がってこないので、利上げを再加速するという発言をし、それが発端で米国債金利が上昇したという事を記事にしており、日本の方は、円安と資源高で日本の輸入が前年比22.3%も上昇し、片や輸出は3.4%しか伸びていなくて、貿易収支の赤字が過去最大となり、それに呼応して経常収支の赤字も過去最大になったというもので、日本が輸入に頼っている一次産品や資源関連及びエネルギー関連製品のインフレが日本経済の基礎体力を蝕んでいる事を記事にしています。
一般的にはこのインフレはロシアのウクライナ侵攻が原因だと説明される事が多いようにも思いますが、私はこれは米中分断と地球の環境問題がその根っ子にあるのではないかと思っています。また、コロナパンデミックによって、グローバルにかなりの自発的退職者が出た事も作用していると思っています。
米中分断に関しては、世界の工場であった中国を西側経済圏から締め出す事で、供給サイドでかなりのインフレ的な作用が発生すること。1970年代の高インフレ時代から1980年代以降デイズインフレ時代になったのは、グローバリゼーションの流れの中で中国をグローバル経済に組み込む事で、大量の安い労働力を世界経済が利用出来るようになった事が基調としてありましたが、この構造が崩れた事が大きいように思います。中国で作っていたものに高い関税をかけたり、自国や中国以外の国で作るという事がここ数年行われていますが、明らかに相当のコスト増になるだろう事は容易に想像され、比較優位の原則とは逆の動きになる為、経済的には非効率になり、この面でもインフレを助長しているものと思われます。

もう一点は、グローバル経済の成長に対して、環境面での制約が色々な面でかかり始めている事も大きいように思います。CO2を削減すること自体、同じ経済レベルを維持するのにCO2の削減コストが追加的にかかる事を意味しているので、インフレ率を上げる力が働きます。気候変動もインフレ率の上昇要因として考えられ、実際アメリカは世界でも有数の小麦生産国ですが、近年環境変化とコスト増等によって小麦の作付け面積は減少しており、これもインフレ率を押し上げる要因になっているものと思われます。

アメリカのインフレ率は昨年半ばには9%まで上がりましたが、これは1981年以来40年以上ぶりの事であり、インフレに関しては世界的に構造変化が起きているものと思われます。

今後、1970年代のように高いインフレの時代が来る可能性もあり、インフレリスクに対して生活防衛策を取る必要があのではないかと思います。

その一つの回答が自給自足であり、自給自足カレッジでは、1/4クォーターファーマー(1日2時間の農作業で8割の食料自給をし、残りの6時間は好きな事に当てる)という生活スタイルを勧めています。

ご興味のある方は、是非我々のホームページを覗いてみて下さい。

https://self-sufficient-life.jp

自給自足カレッジ
小柴正浩

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