へそ曲がりな心、へんてこな絵。
近くの図書館で本を数冊借りた。
そのなかの一つに「日本おとぼけ絵画史」という講談社から出版された本があった。
内容は、これまで日本で描かれてきた「へんてこな絵」を紹介している。
江戸時代に遡り、禅僧が描いた「禅画」や俳人が描いた「俳画」など、様々な種類のへんてこな絵画が載っている。
日本画と聞けば、非常に緻密で繊細でありながら、飛び抜けた壮大さを兼ね備えたイメージが浮かんでくる。
しかし、この本に登場する絵はそれとは違う。
誰もが歴史の教科書で見たことあるような作品は、全く収載されていないのだ。
「王道の美」とは違った、新しい味わい。
そこにあるのは、不気味で、不思議で、おかしな絵だった。
そんなへんてこな絵が満載の本書で、気になったのが「絵本水也空(えほんみずやそら)」だ。
耳鳥斎(にちょうさい)という大坂の画家による木版刷りの本。
どんなものかというと…
かわいい…!!!!!!!!!
丸みを帯びた輪郭に、クリッとした目。鼻はなく、手足も細かく描かれていない。
「ゆるキャラ」のようで癒される。
歌舞伎の名場面たちが、耳鳥斎のポップで愛らしいタッチの絵で表現されている。
この他に、小林一茶の「賀六十自画賛」、与謝蕪村と呉春のコラボ「新花つみ」、岩井江雲の「達磨図」など、たくさんのへんてこ絵が見れた。
熟練技のひかる、崇高で完璧なものを目の前にして、感情が入り乱れる感じ。
とてもいい。
でも、少しふざけてて、世間の美とは程遠いものも、わたしは大好きなんだ。
欠点を見つけると、愛おしくてたまらなくなる。
おそらく、生きることを肯定されている気持ちにさせてくれるからかもしれない。
この本の絵画たちは、どれも不気味で、不思議で、おかしい。
そして堂々と並ぶ姿は、非常に美しいと思う。
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