見出し画像

行かずに、行こうぜ!

世界的に、コロナウィルス対策のためいろんなイベントが中止になっている。これまでで何が一番凹んだって、せっかく再結成する気になってたRATMが一回もライブやれてないって事実…。Fuck you I won’t do what you tell me! という叫びが聞こえてきそうですが、単なる反動でのイベント強行は言語道断だし、はたまた言われた通りの自粛・自制は猿でもできる🐒だから今はむしろコロナの制約がある環境だからこそ実証実験できるメソッドや、発展させられるコンテンツや技術に時間やお金を投資するべきだ、と思ってここしばらくは活動しています。(先日公開した「らくがきAR」も、そんな活動の一環でした。)

コロナの猛威が始まって数ヶ月経った今でも、ライブや演劇といったイベントや、ミュージアムなどでの展覧会はまだまだ強烈な逆風に立たされている。でもwith コロナという言葉に現れている通り、これから先はきっと常にこうした危険があることを理解しながら生きていかなくてはいけない。そんな中Whateverでは、zoomのような画面の中だけのリモート体験ではなく、もう少しイマーシブな形、よりリアルに近い形でライブイベントを体験できる仕組みを作れないかといろいろ実験をしています。

そしてこの度、運良く2つのプロジェクトをリアルな形で世の中に公開することができたので、同じエリアで実験する方々へのヒントになるかと思いご紹介させていただきます!

Robot Viewing at あるがまま展

画像2

画像2

簡単に書くと、様々な展覧会やイベントに、テレプレゼンスロボットを操縦して参加・視聴することができるシステムをつくりました。その第一弾として、7/23から東京藝術大学で始まった特別展「あるがままのアート」 ―人知れず表現し続ける者たち― での運用が始まっています。9/6までこちらのサイトから予約できますので、興味のある方はぜひ体験してみてください!(しかし、嬉しいかな悲しいかな、今見たらカレンダーの枠が全て埋まってしまっている...キャンセルがでると空くこともあるので、気になっている方がいたらこまめにチェックして見てくださいませ🙏)

そこそこ昔から、この「ロボットを使ったミュージアムツアー」というアイデアは存在していました。例えば:

After Dark at Tate Britain 2014

Visit with Robot at The Van Abbe museum 2015

僕の知る限り、上記のようなサンプルが2014あたりからいくつか出現し始めたのですが、ロボット自体の性能の低さ(スクラッチビルドも多かった)やネットインフラといったものがまだ実用には心許なく、試験的な実装はされたけどそこまで定着しなかった印象があります。なので、アイデア自体は新しいというわけではありませんが、現在のコロナのような状況下では、こういった「リモート体験」の必要性が高まっているのではないか?と思い、一度真剣に向き合ってみることにしたのでした。僕らも以前にTelethingsのようなエンタメ的な実験はしていましたが、今回はもっと実用性のあるサービスとして、使いやすさや汎用性を一番に意識しています。

Robot ViewingのベースにはDouble3というロボットを使ってます。Double2に比べてかなり精度が上がっており、やっとこうした実用に適したロボがコンシューマ用に登場したなぁと感じました。そのまま使ってもそれなりに機能はするのですが、予約システムがないとオペレーションが大変だったり、複数人参加できないといった部分が運用上のネックになると感じたので、そこもカバーできるシステムとして完成させています。

体験としてアップデートできた部分をざっくり箇条書きすると:
・サイト上のカレンダーで簡単に時間を予約できるシステムを構築。
・通常一人しかロボに「入れない」ところを、複数人(一台につき、max 5人)で入れるように改良し、チャットや会話をしながら観覧できる。
・複数人で参加している時、ロボの操作を受け渡せるようにして、複数人でも操縦体験ができるように改良。
・イベントに応じて簡単に外装をカスタマイズ可能。

僕もテストパイロットとして何度も体験したのですが、かなり楽しくて手応えを感じています。この仕組は今回の展覧会に限らず、今後様々なギャラリー・美術館・博物館・劇場への導入が可能なシステムとなっていますので、興味を持ってくださる方がいたら、是非Whateverまでお問い合わせいただけたらと思います。(専用ページなども作成予定ですので、そちらは改めてご案内します!)

FUTURE BOX SEATβ

画像3

画像4

一方こちらは、電通 & WTFCと一緒に開発した、遠隔観戦ロボット「FUTURE BOX SEATβ」です。無観客試合などが今後も発生することを鑑みて、空いている観客席に座れる形のロボットをつくり、その視点からスポーツ中継を観賞できる仕組みになっています。Robot Viewingが「自由に移動できること」にフォーカスした体験だとすると、こちらは「自由に視点の方向を変えられる」ことと「あちら側に応援を送る」ことにフォーカスした体験としてデザインしました。以前ロボコンのために作った、応援を会場に送れる「Cheer Player」の知見と、台湾711のために作った「Rhythm of Love」のクラッピング機構を応用しています。

Robot Viewingのような物理的な移動はできませんが、その変わり特徴として以下のような機能を持っています:
・自由視点で360度の生中継を視聴可能。いわゆる複数カメラ視点切り替えではなく、シームレスにグリグリ視点を動かして好きな方向を鑑賞できる。
・複数人で一緒に鑑賞でき、その時それぞれの人がそれぞれの好きな視線方向を選んで視聴できる。
・視聴中に応援ボタンを押すと、球場のロボが物理的に拍手して応援してくれる。

画像5

画像6

画像7

こちらは少し前の7/14に、プロ野球公式戦@札幌ドームにて実証実験を行ないました。このタイプの遠隔参加装置のメリットとしては、大掛かりなメカではないのでコストがそんなにかからないこと。またレスポンスが速く、ライブで参加している感じがちゃんと伝わるのが良かったです。視点をそれぞれの人が勝手に決めて見ることができる自由度も、没入感を高めてくれました。デメリットについてはあまり書きたくないのですが、配信する映像の解像度をもう少し高くできるといいなと思ったことでしょうか。現状の回線でのストリーミングの限界や360度視点を考慮すると、そこまで解像度をあげられないというネックがありました。今後5Gが一般化して、より高解像度映像をストリーミングできるようになれば、さらに素晴らしい体験にできるのではないかなと思いました。

このFuture Box Seatβはまだ実証実験段階なので今後の開発・公開については未定となってます。(本当はこいつを数百台とか作って、観客席を埋め尽くしてみたいww)でも今回の実験を通して360度のライブ映像から自由に視点を切り出すなど、二次的な映像コンテンツも作れることが分かったので、そういったことを意識しながら様々なライブ配信・中継コンテンツも今後挑戦していきたいなと思ってます。

とりあえず、RATMの再結成ライブが決定したら、会場でモッシュしてくれるロボでも作って自主プレしに行きたいと思います🤖



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?