夜遊びの祭典「ディストーション」は、コペンハーゲンのまち一帯に10万人!?パブリックスペースの活用とは、都市*まちを愛でる身体行為を能動的に引き出すことなんだ。

さて、今回のデンマークレポートは、例のカウンターのないコーヒー屋「collevtive coffee」を後にして、少し池側に戻りながら、あえて大通りをはずれ、無目的に住宅街へ突入していった編(前編)です。

中心部からそれほど離れているわけではないのですが、このあたりになるとかなり人種も多様になってきて、かつ住宅地も少し密度が増してきました。

中心部ではほとんど目にしないグラフティが、こんなダイナミックにあったり。歩いていると、こういう場所が、ぽつぽつと集合住宅の間にあるんです。いかにもDIYしながら勝手につくられている公園のような感じ。

さらに歩いていると、今度は住宅街の挾間(Sankt Hans Gade / Ravnsborggade)にバスケットコートが! ちょうど池沿いの通りから一本中に入ったところで、周辺は骨董関係のショップも多いエリア。意外としっかりデザインされたものだなと思って調べてみたら、やはり建築家によって設計されたものでした。さらに下の写真のような、流石コペンハーゲンという使われ方も発見!

via:Dot Severine(http://www.dotseverine.dk/copenhagen-the-movie/

密集する住宅街に潤いをあたえるべくバスケットコートをつくるけど、実はそこはみんなのための広場で、誰もが日常で楽しみ休める場所。だから、こんあところに日本のような「壁」や「フェンス」は設けません。だからこそ、日常の延長として、こういったささやかな試みを行うことができる。

会場はまち全体!来場者10万人のフェス!

このエリアには、独特の匂いがあって、これは何かあるのでは?とさらに調べてみたら、やはりありました。毎年6月初旬に開催されているという夜遊びの祭典「ディストーション」は、まさにこのノアブロエリアで行われていて、地元ミュージシャンが路上と会場で一斉に演奏をはじめるのだそう。なんと来場者数は近年10万人に達しているとか!

Distortion 2014(photo : Jacques Holst

この路上や広場、軒先といったパブリックスペースを使い倒す感じは、まさに日本の祭りを越えているかもしれません。しかし、この「ディストーション」、それを魅力的に成立させているのは、どういうポイントがあるのでしょうか? そこで考えたのが3つのポイント。

1.「道路」や「水辺」といった境界を捨て「グランドレベル」一体で活用!
2.一過性ではなく、永続的なカルチャーとして定着させようとしている
3.カルチャーとして昇華させるため、市民の圧倒的な能動性を受け入れる余白をつくっている

Distortion 2014(photo : Jacques Holst

パブリックなスペース(場)を活用するというのは、都市を愛でる、まちを愛でる身体行為を能動的に引き出すことだと思います。そして、「ディストーション」のようにパブリックスペースひとつを自分のものにする、獲得するということで、人は、その都市、そのまちと、さらなるつながりを持ち、人はさらにまちや都市を愛していくようになるのです。(実は、カフェにある小さなオープンテラスでさえ、本来はそういう目的と効果があります。)

「ディストーション」というひとつのイベントをこのように見ていくと、昨今、日本で流行がちなパブリックスペース系のイベントが、なんともお子ちゃまに見えてきますね。建築やまちづくり、都市計画の分野の人たち、あるいはパブリックスペースのイベントに携わる人たちが、「パブリックスペース」という言葉を使うときの、何か大きなものを取りこぼしている感は、ここにあるのかもしれません。

つまり、「パブリックスペース」と語るときに、そのあなた自身の身体性、そしてカルチャーに対する理解と目的意識があまりにもなさすぎるのでは!?ということ。

もちろん日本のすべてをディスるわけではありません。しかし、「パブリックスペース」にまつわるあらゆる試みの現状が、とても100点ではないということ、またその目的を考えると、高見は随分と先にあることを、常に意識しておく必要があると思うのです。

日本における「パブリックスペース」という言葉や概念も、本当は今だからこそ、更新する時期がきているのかもしれません。でも手垢が付きすぎているから難しいか。だからこそ、「グランドレベル」という新しい概念で、語ることのほうがより有効なのかもと考えています。というわけで、今日はここまで。

次は、住宅街をさらに歩き、ある小学校にたどり着きます。これもまた激アツな小学校なんです!

おおにし・まさき(mosaki

おまけ

ちなみに今年2016年のDISTOTION(http://www.cphdistortion.dk/)は、6月1〜5日に行われるそうです。それに合わせてコペンハーゲンを訪ねるのも良さそうですね。


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グランドレベル研究所*デンマーク・コペンハーゲン

1階づくりはまちづくり! ここではデンマーク・コペンハーゲンのグランドレベルをデザインとコミュニティの観点から楽しく見ていきましょう。(*情報は2016年1月時のものです)
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