子供の頃のことは割とはっきり覚えている。
楽しかったことよりも、いたずらして怒られたり、誰かを困らせたりしたことの方を思い出す。
ちょっとした出来心の大半は好奇心だと思う。
私から好奇心を取ったらおそらく何も残らなかったんじゃないだろうかというくらい、身の回りの大人たちをよく観察していた。
こっそり水飴をなめたり、梅酒の瓶を開けて中の梅を食べたり、張りたての障子を破ったり。
サボテンに触ってみたり、咲いたばかりの花を片っ端から採ってみたり。
針金や紐、いろんな大きさのボタン。
おもちゃではないものばかり触っていたような気がする。 だいたい裸足だったのでよく足を怪我していた。
何回怒られても好奇心が勝った。
たぶん、幸せな幼少期だったと思う。

最近、ちょっとフラフラして何をしたらいいのかわからなくなっていた。
わからないけど、たぶん、私はいつまでもあの時みたいに触れて、味わって、表現していきたいんだなとなんとなく思った。
手段はこだわらない。
能動的な生き方をしたい。
そんなことを考える満月の夜。

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