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社員の言動を変えられるリーダーのスピーチとは


スピーチは苦手でも良いのか

人前で話すことが苦手。そういうリーダーも珍しくありません。

なぜならリーダーシップとは、士気を高めるスピーチができること以外でも発揮できるからです。

でも新入社員の入社式、キャリア採用の初出社日、新しいメンバーが部門に着任した日。

そんなときにリーダーがどう話すかによって社員の後々の言動に影響を与えられる、そんな効果があるのは事実です。

本題に入る前にまずはなぜ、初めのスピーチが肝心なのかご説明いたします。指導には次の三つがあります。

▶指導の種類

⑴事前指導
⑵現場指導
⑶事後指導

このうち、どの指導に労力をかけるべきかご存知ですか。最も注力すべきなのは事前指導です。

なぜなら、後々の発信の納得感を生み出す上で布石を打つ効果があるからです。次の図をご覧ください。

悪い例

こちらの図では①~③の場面がありますが、事前指導、現場指導、事後指導でそれぞれ番号ごとに連動しています。

それを踏まえた上で、①~③の場面をご覧いただくと、事前指導をおろそかにしたばかりに事後指導に大きな労力が必要になることがわかります。

誰もが想像できるように教育現場での例を挙げていますが、集団のマネジメントという観点で言えば、組織風土にも通じる真理です。

では次の図で良い例をご覧ください。

良い例

先程の悪い例と比較し、事前指導に注力したことで事後指導に労力がかからなくなっています。

これらを踏まえた上で、話を本題に戻します。着任時のリーダーのスピーチは、先程の教育現場の例で言うと事前指導の位置づけになります。

では人前で話すことに慣れていないリーダーは、どんな話をする傾向にあるでしょうか。

想いのたけを一方的に吐き出してしまう

・前向きであってほしい
・失敗を恐れずに挑戦してほしい
・周囲のメンバーに感謝してほしい

こういった言葉を、思いつくまま語気を強めて一方的に話します。

そして後日、失敗を恐れて手を挙げないチームの風土にやきもきすることになるのです。「いつも言っているのにどうして浸透しないのか」リーダーがそんな悩みを抱えることも珍しくありません。

よく「何を話すか、よりも誰が話すか」と言われますが、人に行動変容をもたらすには僕の経験上では表現が少し足りません。

「何を、誰が、どう話すか」の三つが揃って初めて人の言動に変化が現れます。

では着任時のスピーチとしてリーダーの想いを「どう」伝えていけば良いのでしょうか。

(スピーチ例)
「ご入職おめでとうございます。皆さんの中にはなぜ自分が社員として選ばれたのか不思議に思う人もいると思います。過去の実績とか、選考時の成績とかではなく、皆さんの将来性が期待されています。では、皆さんは何を期待されていると思いますか」
(二秒ほど間を空けて、社員の顔を見まわす)
「それは会社に良い影響を与えること、です。社会人として「個人で頑張ること」は当たり前ですよね。でも皆さんなら自分のためだけでなく、チームのみんなに良い影響を与えられると確信してこの場に来てもらったわけです。あっ、うなずいてくれている人、素晴らしいですね。そうやってチームにも良い影響を与えてくださいね。では、会社は皆さんにどんな影響を与えてほしいと思っているでしょうか」
(二秒ほど間を空けて、社員の顔を見まわす)
「仕事をする中で前向きに挑戦し、成長していくことです。挑戦と聞くと少し、怖いですよね。簡単なことでも良いです。明日から仕事する中でチームのメンバーが『疲れた』とか『まだあるのか』とか後ろ向きな発言が出たら、皆さんから「よし、頑張ろう」や「でも私は皆さんと働けて楽しい」など前向きになれる言葉がけをしていって欲しいです。そんなことをしたことない人もいるかもしれません。だからこの言葉を贈ります。この言葉はリクルート様の社是として使われていた言葉です」
自ら〇〇を作り、〇〇によって自らを変える
クイズを出す 〇〇に入る漢字二文字の熟語は何が入ると思いますか?
(3名ほど指名して盛り上げる)
解:機会
「つまり、どんな仕事にも機会にも積極的に手を挙げてほしいのです。でも挑戦するために手を挙げるとか、今までの自分と違う行動をするのは勇気がいりますよね。失敗してしまうって恐れる人もいるかもしれませんね。だからあわせてこの言葉を贈ります。この言葉は斎藤茂太さんが残した言葉です」
人生に〇〇がないと、人生を〇〇する

クイズを出す 〇〇に入る漢字二文字の熟語は何が入ると思いますか?
(3名ほど指名して盛り上げる)
解:失敗
【まとめ】
「皆さんは会社に良い影響を与えられると確信して入職していただきました。今も集中を切らさずに私の話を聴いてくれている皆さんなら大丈夫です。その笑顔とうなずきを明日以降もチームに広げていってください。そしてチームリーダーが立候補者を募ったら、手を挙げられる皆さんでいてください」

以上がスピーチの例でした。いかがでしたでしょうか。

きっと「何」を話すかに焦点を当てると、どのリーダーも同じような表現、内容で伝えていると思います。ただ、社員を巻き込みながら簡潔な言葉を贈っていることで、より風土として根付きやすくなります。

スピーチよりも日頃のコミュニケーションが大事、そう考えるトップもいます。

しかし、多くの社員は日ごろから何度もトップとコミュニケーションを取れる機会に恵まれるわけではありません。

全社員が集まる場、部門のメンバーが全員集まる場でのスピーチの機会をうまく活用して、事後の風土形成に追われる労力を削減していきましょう。

最後までお読みくださり感謝。続きはまた違う記事で。

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リーダ―育成コンサルタント

本間 正道
Email: playbook.consultant@gmail.com
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