日本で生きるLGBTQA+の当事者たちへ

※この投稿では、性暴力やLGBTQA+差別について触れています。フラッシュバックなど症状のある方はご留意ください。


LGBTQA+当事者として、伝えたいと思うことがいくつかあります。

まず、世界のLGBTQA+の二人に一人(50%)が、自ら命を立つ選択肢を考えたことがあるという悲しいデータがあります。

あなたは、マイクロアグレッションという言葉を聞いたことはありますか?


人と関わるとき、相手を差別したり、傷つけたりする意図はないのに、相手の心にちょっとした影をおとすような言動や行動をしてしまうこと。

例えば「アジア人だから数学が得意」「黒人はダンスが上手い」など。
LGBTQA+の人に対しては、”ゲイだからおしゃれ”とか、”ゲイに見えない、意外”など。

中学校の保健の授業で「人は、思春期になると、異性への関心が高まってきます」と習いました。

あの時もし「同性を好きになる人もいるし、恋愛感情を持たない人もいるよ」と一言付け加えられていたら、どんな思春期を迎えられただろう。

どれくらい救えた命があっただろう?

今ではノンバイナリーと自覚している私も、日本に住んでいる時は
「“性別がない”と思っているのは、世界で私たったひとりなんだろうな」と思っていました。
それはとても孤独でした。

「気にしすぎだよ」という周りの言葉は、善意のようで人を傷つけることがあります。

そういう言葉をかけられた本人は、私が悪いのかなとか、私はいちゃいけないのかなと思わされてしまうんです。

自己肯定感などが低下したり、”○にたい“とか”消えてしまいたい“という気持ちを増幅させてしまうこともある。私自身も、日本にいたときにそれを経験して、”もうここではやっていけない“という思いに襲われ、”強くならなきゃ“という危機感があって、日本を出ました。

日本に住み続けて、LGBTQA+であることをカミングアウトしても、きっと何も変わらないだろうな思っていたから。日本という国や文化に強く根ざした価値観や意識を変えるのは非常に難しいと思ったから。

その時は、SNSで発信したり、投票に行って未来を変えようと思う勇気も気力なかったのです。


私ぐらいのちっぽけな発信者でも、誹謗中傷されことはあります。
私のセクシャリティのことだけでなく、見た目のこと、仕事内容を含めです。

ryuchell(りゅうちぇる)さんのような芸能人でも、あんな人でも理解されないんだ。あんな人でも誹謗中傷受けるんだと思う人がいるかもしれない。

原因の一つとして、日本の性教育が進んでいないことが挙げられます。
LGBTQA+のことでいうと、性自認について理解が進んでいないことで、自ら命を断つ人がいるということ。

義務教育の過程で、性の問題についてタブー視せず、もっと真面目に議論をするべきであり、正しい性的な知識は、決して恥ずかしいことでも、面白おかしく思うようなことでもないということを子供の時から知っていれば
友達に対して偏見を持ったり、いじめたり、からかったりすることもなくなるのです。

正しい性教育は自分と周囲の人を守ることに繋がるし、正しい性教育を受ければ他者を傷つけたり、自分が性暴力の加害者になることも防いでくれると私は思います。

日本で”女性はキックボクシングで、自分の身は自分で守ろう!”という広告を見たことがあります。
女性が性犯罪に巻き込まれないようにお金を払ってトレーニングするのではなく、性被害者、性加害者の子供を出さないように教育するのが、大人や国がするべきことなのではないでしょうか?


何年か前にPenという雑誌で ”いまこそ、「ジェンダー」の話をしよう。”という特集があり、そこでryuchell(りゅうちぇる)さんのことを知りました。ryuchell(りゅうちぇる)さんに憧れて、前向きに生きようと思った人がどれだけいたでしょうか?私もその中の一人です。

自分の顔と声で発信する勇気がある人は本当に格好いいなと思っていました。”顔出しして発信してるんだからそれなりのリスクはしょうがない”っていう人や、だからと言って顔も名前も出さないでリスクも負わずに誹謗中傷する人を、私は許せません。


ryuchell(りゅうちぇる)さんに対して、叩かれたくないなら表に出すなとか、子供と奥さんがかわいそうとか
あなたって一体彼らのなんなの?と思います。

あなたってryuchell(りゅうちぇる)さんに離婚されたペコさんなんですか?
あなたってお二人の間に生まれたお子さんなんですか?
あなたって、生まれて自分の姓、または性自認と向き合って、
差別や偏見を受けたことのある当事者なんですか? 違いますよね。他人ですよね。どの立場から意見申し上げているのでしょうか。    

育メンとか、イクメンオブザイヤーとか、もうそういう文化はトレンドではなく、時代遅れなのです。
ryuchell(りゅうちぇる)さんのことを「素敵な父親」という勝手な理想像をあなたが作り、その理想と違ったから「裏切られました」ってバッシングするのは、人を追い詰める立派な犯罪です。

どんなセクシャリティであれ、それを受け止めてくれるパートナーがいるんだから、そこを素敵だと思うだけでいいのではないのでしょうか?

父親らしく、男らしく、
母親らしく、女性らしく・・・。

そんな形に囚われず、何歳になったって本当の自分に気づくことは素敵なこと。

それがどんな形でも、何度も、形を変えてもいいと、私は思います。

今回の悲しいニュースで、LGBTQA+当事者の私としては
自分らしく生きることはやはり大きな壁や、難しい問題あるんだなと改めて認識しました。


私は自殺を考えたことはありませんが、学生の頃に”同性愛者に生まれてこなければよかったな”と思うことがありました。

既に命を絶ってしまった人たちに、私たちは何ができたでしょうか?

「自分は偏見を持っていない」という先入観を捨ててほしい。
少しだけ暖かく、どうか相手の気持ちに一歩だけ寄り添ってほしい。

そして今暗い気持ちになっている人がいたら、自分の人生を自分の手で終わらせることは絶対にしないでほしい。


私たちと、もっと若い世代がこれから”普通”をアップデートしていくから。


そして政治家の人たちは、普通の人間が、普通に安全に、これからも生きていける世の中を作る判断をしてください。


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