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ウォーキング小景【エッセイ】一六〇〇字

 この半年くらい左下肢・左上腕部が痛むことがあり、脊柱管狭窄症が原因と診断される。しかし、日課としていたウォーキングをやめてしまうのは健康管理上よろしくないし、痛むからと歩かないのは、さらに症状を悪化させるとも考えられる。なので、ときおり休みの日を入れたり、歩数を8,000歩から6,000歩に抑えたり、これまでよりはスピードを落としたりしながら続けている。
『ウォーキング小景』は久しぶりだが、その脚の痛みのせいではない。たまたま、面白いエピソードに遭遇しなかっただけにすぎない。が最近、感心するネタに出くわしたので、その話をいたしやしょう。

 統一地方選の最中(東京は、4月23日が投票日)。ポスター掲示板前(新宿区議会議員選挙)で、近所の中学校の生徒と思われる、仲睦まじいカップルを見かけた。ポスターを見ながら、真剣に話している。中学生のそのような風景を見かけたのは初めてだったので、何を話しているかが気になった。私もポスターを見るフリして、その2人の話を聞こうかと思ったが、「ウザイじじい」なんて思われるのもなあ、と遠目から観察することにする。すると、15分位、ほとんど全てのポスターを見ながら話をしているではないか(15分も立ち止まって観察しているワタクシは、よほどの暇人と思われていたかもしれないな・・・)。
 過日、東京・下北沢で、ノルウェーやスウェーデン、フィンランドの「選挙小屋」を倣った、「民主主義ユースフェスティバル2023」というイベントを開催し、若者の意見を政治に反映・提言する活動を行っていることに触れた。その実行委員会には、大学生や高校生だけでなく、中学生も参加していると聞く。中学生にも政治意識が高まってくれるのは喜ばしい。さらに、『意気込み(ドカ弁篇)』で紹介した、"NO YOUTH NO JAPAN"(「若い世代なくして日本はない」)のような団体ができはじめているように、ポスターを見ていた中学生のような子たちも現れ始めているのかもしれない。少なくても、そのカップルさんは、「“こどもまんなか候補者”だなんて書いてあるけど、“なんちゃって”じゃねえの?」とか言っている雰囲気ではなく、真面目な雰囲気で話し合っていた。

 もしその中学校で、「いま行われている選挙で、模擬投票をしてみましょう。立候補者のポスターを見て、自分なら誰に入れるか、そして、その理由を考えてみよう」なんていう授業があったとしたら、その教師に「スキ」をポチしてあげたい。やってみると、面白いと思うのだけど・・・。(すでにやっている学校あるのだろうか?)

 そんなこんなで、なんとか歩き続けているのだが、遅めに歩いているがゆえ、いままでにはあり得なかった事象が発生する。普通の女子に簡単に抜かれてしまうのだ。抜かれても、間隔が変らない。ということは、前を歩いているワタクシがウザイと感じられたのかもしれない。嗚呼、ワタクシもそんな存在になってしまったかと、情けなくなり、かなり無理をして追い抜く。すると、また追い抜くではないか。また追い返そうと思ったが、しかし、そんなに無理すると夜に痛むかもなんて思い、素直についていくことにした。そのまま続けていたら、竹野内豊のタクシーアプリ「GO」のCMようなことになりかねないし、ネ。

(おまけ)
本日の新聞二紙(朝日と東京)のコラムを比較してみました。
「逃避行の長い道のり」(朝日)か、「約八百キロ離れた」(東京)か。その違いで、苦労の違いが表現されていると感じました。八百キロ。東京から尾道までの距離です。

朝日新聞朝刊「天声人語」(2023年4月26日)


東京新聞朝刊「筆洗」(2023年4月26日)

<校閲クイズ解答>
※『ともしび』(おまけ)の解答
<2023年4月14日>
「三十年ぶり」→「四十年ぶり」
<2023年4月21日>
・平成に「元年」が抜けている
・「雨模様」は、いまにも降り出しそうな様子なので、
「雨模様のこの日」→「この日、小雨が降る中」

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