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価値観の違いを埋める

価値観の違いは、人間関係において問題となることが多い。同じ価値観を持つ人同士は、自然と理解し合い、共感することができます。しかし、価値観が異なる人同士は、意見が衝突し、対立してしまうこともありますよね。

このような価値観の違いを埋めるためには、どのようにすればよいのだろうか。一般的な考え方としては、相手の立場に立って考え、尊重することが挙げられます。しかし、それだけでは不十分なのかもしれない。なぜなら、価値観とは、単に物事の考え方や優先順位の問題ではなく、人間の生き方や存在のあり方を根底から支えるものであるからです。

そこで、今回は私の活動のベースと言っても過言ではないパースの記号論を参考に、価値観の違いを埋める新たな方法を考察してみたいと思います。

このテーマでは「対象」「意味」「解釈」という記号論に関する用語でまとめてみたいと思います。対象とは、記号が指し示すもの。意味とは、対象に対する記号の意味。解釈とは、記号の意味を理解する過程。とそれぞれ定義します。

注釈:わかりやすくするために、本来のパースの三項関係を厳密に表現することは避けています。

価値観も、記号の一種と考えることができる。価値観とは、対象(善悪、美醜、重要度など)に対する意味(評価)です。つまり、価値観の違いとはその意味(評価)の違いです。

価値観の違いを埋めるためには、まず、対象に対する意味(評価)の違いを理解することが重要です。そのためには、相手がどのような経験をしてきたのか、どのような価値観を育ててきたのかを、想像力を働かせて考えることが必要であります。

たとえば、Aさんが「お金は大切だ」と考える一方で、Bさんが「お金は重要ではない」と考える場合、その違いは、彼らの育ってきた環境や価値観の違いによって生まれていると考えられる。Aさんは、貧しい家庭で育ち、お金がなければ生きていけないという経験から、「お金は大切」という価値観を身につけたかもしれない。一方で、Bさんは、裕福な家庭で育ち、お金に困ったことがないことから、「お金は重要ではない」という価値観を身につけたかもしれない。ということです。

対象に対する意味(評価)の違いを理解できたら、次に、その違いを受け入れることが重要です。それは相手の価値観を自分の価値観と異なるものとして認め、尊重することです。受け入れ態勢がなければ先に進めません!

価値観は、人間の生き方や存在のあり方を根底から支えるものです。そのため、自分の価値観を否定されたような気持ちになり、相手を受け入れることに抵抗を感じる人もいるかもしれない。しかし、価値観の違いを受け入れることで、相手を尊重し、共感できる土台ができるというわけです。


価値観の違いを埋める記号論的考察の図

価値観の違いを埋めるための最後のステップとして、対象に対する意味を拡張することが重要です。自分の価値観を、相手の価値観も含めたより広い視点から包括的に捉えることです。

たとえば、先ほどのお金に関する例で続けると、「お金が大切」「お金は重要ではない」という両者の違いを、単に「どちらが正しいか」という問題として捉えるのは、あまり意味がありません。むしろ、両者の価値観を包含するような、より広い視点から捉えることが重要である。ということです。

たとえば、「お金は、人生を豊かにするためには必要なものだが、それだけが人生の目的ではない」というように、両者の価値観を包含するような新しい価値観を創造することができるかもしれない。

記号は、新しい意味を創造したり、既存の意味を拡張したり、転換したりすることができる。これは、記号が創造的なプロセスであることを示している。

チャールズ・サンダース・パース

これは記号論が、創造的なコミュニケーションや表現につながる可能性を示唆しています。

価値観の違いを埋めることは、簡単なことではない。しかし、価値観の違いを理解し、受け入れ、拡張することで、より豊かで充実した人間関係を築くことができます。

今回は記号論という視点から価値観の違いを埋める方法を見てきました。これから感覚的な方法ではなく、体系として覚えておいていつでも実践できるようにしておきたい方は是非この考え方でトライしてみてくださいね。

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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