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インピーダンスとベースの関係をどこよりも詳しく!!第一弾

■インピーダンスについて

インピーダンスって言葉はベーシストなら聞いたことがあると思う。
以下の二つがインピーダンスについてよく言われるポイント。

○ハイインピーダンス(パッシブ)は信号が弱く劣化しやすく、ローインピーダンス(アクティブ)は信号が強く劣化しにくい。

○ローインピーダンス入力の機器にハイインピーダンス(パッシブ)を入力すると音が劣化する可能性がある。
例えばハイインピーダンスのパッシブベースをHi-Z入力でないインターフェイスやパソコンのマイク入力(ローインピーダンス入力機器)に直接いれた時に音がこもったり、低音がスカスカになったりする。
ロー出しハイ受けが音を劣化させないコツ。


■ロー出しハイ受け

インピーダンスとは交流回路における抵抗だと思ってもらえればいい。
オーディオ信号は直線ではなく、波打つようになっているが、それを交流という。
電圧=電流×抵抗 は学校で習ったと思うが、ハイインピーダンスはその抵抗値がハイ、つまり大きい。

ある信号に対して受け側の機器がハイインピーダンス入力である考えた時に、ある入力信号電圧10がその機器に入力されたとする。抵抗値を大きな10(ハイインピーダンスなので)とすると受け側が正常に駆動するために食う電流値は1と小さな値で十分である。(オームの法則)
つまり電流1の入力さえあれば受け側は十分駆動可能である。



受け側がローインピーダンス入力機器である場合を同様に考えると、ある入力信号電圧10が入力された時、抵抗値を小さな1(ローインピーダンスなため)とすると受け側を十分駆動するのに必要な電流値は10と大きくなる。
(オームの法則)
つまり、受け側がローインピーダンスである時は電流が10ないと受け側の機器が十分に駆動できず、入力された信号電圧をうまく受け取れないのである。



ロー出しハイ受けは
一定の信号電圧を小さな電流でうまくやりとりするための方法である。
ハイ出しロー受けの信号やりとりのミスマッチを間違えて説明しているサイトが多い。
信号が溢れてしまうとかそういうものではない。溢れるというよりかは、むしろ電流が足りてないからこそ起きる信号劣化である。


ハイインピーダンスで受けるということは、出力側は電流を流さなくても電圧信号をきちんと送れば十分信号を伝送することが可能。これが逆にロー受けすると、同じ信号電圧を出力しているのに受け側に大きな電流が吸われるために、電圧が欲しい分だけ上がらずに電圧が降下して信号崩れが生じる。
これがロー出しハイ受けの根本的なところ。


■インピーダンスの違いによるノイズ耐性

ノイズに対して言及すると、
ハイインピーダンスは高い抵抗10の値に対して高い電圧10と低い電流1を扱う。
ローインピーダンスは低い抵抗1の値に対して低い電圧1と高い電流値10を扱う。
つまり、ハイインピーダンスは微弱な電流でもろい大きな電圧信号を形造り、ローインピーダンスは大きな電流で強く小さな電圧信号を形作る。
そのためハイインピーダンスは容量性、誘導性ノイズを容易に拾ってしまう。

過度なロー出しハイ受け、その逆を行うとどうなるのか。反射というものがおきる。
ローインピーダンスの大きな信号がハイインピーダンスの小さな信号入力の入り口に入り切らずに跳ね返ってしまい、元の出力信号を汚してしまう現象のことである。
電流1の大きさで駆動するハイインピーダンス機器に電流10を流し込もうとするタメに、余った分の9が跳ね返ってしまうと考えてもいい。
主にコンピュータ等に使われるチップ同士の信号やり取りに使用される高周波数において発生し商品開発等で度々問題になるが、交流信号のやりとりという点では比較的低い周波数の可聴領域でも起きないことではない。
これは信号に歪みを起こす。
専門用語でいうとオーバーシュートやリンギングといったものである。
一部のハイエンドオーディオメーカーはここにも言及することがあるが、個人的には低周波数ではロー出しハイ受けが守られていれば、この反射は気にする必要はないと思っている。オーディオでいうとコンプレッサー等における信号の歪みの方が圧倒的に大きく、シビアな要求を求められている波長が数センチの高周波数の評価における重大なエラーとは異なる。

■インピーダンスマッチングって必要?

個人的にはほぼいらないと思っている。
昔は600Ωというインピーダンスのマッチングの基準がわざわざあったんだし、それがベストでロー出しハイ受けは不十分ではないか!と反論する方もいると思うが、そのマッチングの基準を無視してもいいという理由がある。

まず、歴史について触れていく。
この600Ωの仕様は電話等の通信業界により決められた。600は特に意味のある数字ではない。
昔は今のデジタル技術がなく、アナログの音声をやりとりするための信号ケーブルが数千Km必要だったことが由来する。
反射ノイズ等が元の音声信号に影響するほどケーブルが長く、インピーダンスマッチングの基準が必要となったためである。
可聴領域のオーディオ周波数は20Hz-20kHzで電磁界でのその波長は15000km-15kmであり,これは町と町をつなぐ電話信号の電線の距離としてはありえる距離であった。
このオーディオ信号の波長が収まってしまう長さのケーブルに反射ノイズが発生してしまうと、エコーや反射の位相ずれによる打ち消しが起こった。こう言った反射によるトラブルを防ぐためにインピーダンスマッチングが行われた。
レコーディング業界はこの通信業界から派生してできたもののため600Ωのインピーダンスマッチングが取り入れられていた。

本題の何故インピーダンスマッチングが必要ないかというと、
1.スタジオでのケーブルはせいぜい数十メートルで反射をオーディオレベルで気にする長さではないこと。
2.スタジオは送り側と受け側が1:1ではなく分岐が発生することがあり、単純に理想状態を設けるのが難しいこと。例えばミキサーから各テープレコーダー機器への分岐なと。
3.最後にレコーディング機器の業界自体が世界的にロー出しハイ受けでインピーダンスマッチングを無視した電圧マッチングに重きを置いて製作を進めていること。
ただ、インピーダンスマッチングは特定の部品を用いたビンテージ機器等には有効なこともあり得るので、逐次注意が必要。


■パッシブベースとハイ落ち

ケーブルの容量や長さとケーブルに入力される信号のインピーダンスからカットオフ周波数を導く式がある。
この式ではインピーダンスの値が分母に来るようになっており、インピーダンスが高いほどカットオフ周波数が低くなる関係となっている。
つまり、ケーブルへの入力信号がハイインピーダンスであるパッシブベースをシールドに接続すると、ローインピーダンスであるアクティブベースを接続した時と比べて低い周波数でハイが落ちることになる。数kHz-数MHzで変化する。
また、ピックアップのコイルとシールドの容量等により信号のピークのポイントが大体、数k-10数kHzあたりで変化する。(共振周波数)
アクティブベースとパッシブベースではインピーダンスが異なるため、シールドを通した後の音色に違いがおこる。
もちろんプリアンプを通ることによる音の差もある。

■バッファペダル

バッファペダルはインピーダンスを下げるためのペダルでシールドやパッチケーブルによるカットオフ(ハイの減衰)をコントロールし、信号をよりノイズに強く煌びやかにしてくれる。

ここで気をつけたいのが、アクティブとパッシブの切り替えができるベースでも、アクティブにしたベースから出る音とパッシブ設定でバッファに接続した後に出る音はプリアンプの有無による音の差以上に異なって聞こえることである。
何故かというと、ベースとバッファの間にシールドがつながっているからである。
パッシブベース→シールド→バッファと接続すると、ベースをシールドに接続した時点でハイが落ちているその変形した信号を単にバッファでローインピーダンス化している。
アクティブベースの音声信号はシールドを通る前にローインピーダンス化されているため、共振周波数の手前でシールドケーブルの容量とインピーダンスによるカットオフ周波数にひっかかる事がなく、ハイの落ちが比較的少ない。(もちろん条件次第)
ケーブルの長さ、容量、インピーダンスの兼ね合いで高域の音が幅広く変化する。


バッファペダルはアクティブベースを使用するベーシストの足元にはあってもなくてもいいと思っている。
音色の問題があるからで、好きな音がそのバッファペダルを通して得られるのであれば使えばいいと思うし、バッファペダルが特別なくても一定環境下ではインピーダンスに関して問題なく感じる。必要があれば使う道具であり、繋げば必ず音が良くなるという魔法ではない。
そもそもパッシブベースとシールドでハイ落ちした音をいい音と感じられる事もある。
これも中々狙って出せる音でもない。

■まとめ
今回ざっくりと基本的なところを見てきたが、ポイントはロー出しハイ受け。
これを機に一度ペダルボードや周辺機器、シールドの接続を改めて確認してみるのも面白いと思う。
色々なサイトで要約されて簡単に説明されているインピーダンス。(たまにおかしな説明も見かけるが。。)
でも意外と深く掘り下げられていないことが多い。
近いうちにまた、インピーダンスやレベルについて話していこうと思う。

■後書き
今週末2年ぶりのギターサミットがドイツマンハイムで開かれます!!
超楽しみで、今週は仕事が手につきません笑
有名アーティストやメーカーが多く集まります。裏話ですが、同じようにミュージックメッセというのがフランクフルトでも開かれていましたが、出展料が高いことや中国からのメーカーが増えたことで人気が落ち、今ではギターサミットの人気が急上昇しています。私も両方行ったことがありますが、ギターサミットは別格に面白いです。
ギターサミットについても記事書いてみようかなとか思ってます!
では!

以上

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