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「食」と「健康」の常識は、こう変わる、こう変える。

本書は、伝統的な食品業界に直接携わる方はもとより、周辺業界から食と掛け合わせることにより何かしらの事業機会を検討している方々。

そして将来食に関わる仕事に就きたいと考えている学生や若い方々にとっても、世界で巻き起こるフードイノベーションの全体感、およびフードテックがなぜ今熱いのかを掴むきっかけになるはずだ。

そして本書のインプットから明日からのアクションに繋がることを期待している。

著者
[田中宏隆]
シグマクシスDirector/「スマートキッチンサミットジャパン」主催。パナソニックを経てマッキンゼーでハイテク・通信業界を中心に8年間に渡り成長戦略立案・実行、M&A、新規事業開発、ベンチャー協業などに従事。17年シグマクシスに参画。食を起点とした事業共創エコシステムを通じた新産業創出を目指す。
[岡田亜希子]
シグマクシスResearch/Insight Specialist。アクセンチュアを経て、マッキンゼーにて10年間、ハイテク・通信分野のリサーチスペシャリストとして従事。17年シグマクシスに参画。「スマートキッチンサミットジャパン」の創設およびその後の企画・運営に参画する他、フードテック関連のコミュニティ構築、インサイトの深化、情報発信などの活動に従事。
[瀬川明秀]
シグマクシスPrincipal。出版社にて経済記者、編集者として、数々のメディア立ち上げに従事。27年間の編集経験を経て、17年シグマクシスに参画。フードテック関連の情報発信に従事する他、大手企業の組織改革、メディア業界の新規事業などのコンサルティング案件にも参画する。


■急増する食領域のスタートアップ投資

食の技術進化は今に始まったことではない。諸説あるが、今から50万年前には人類が加熱調理をしていたらしことが分かっている。

それ以来、陸でも、海でも、食べ物をどう見つけ、どう栽培していくのか。どう加工して、どう保存し、人々にどのように配分するのか。食は常に時々の技術を活用し、進化してきた。

科学という学問が確立される前から、人類は食材を調理し、食べてきたのである。そんな充実した現代で、今、なぜ「フードテック」が注目されているのか。

分かりやすいのは、市場規模のポテンシャルだ。米国のフードテックイベントでは、創設者のマイケル・ウルフ氏が、世界のフードテックの市場規模が2025年までに700兆円規模に達するという衝撃的な発表をした。

市場規模は諸説あり、700兆円の内訳を完璧に分解したものは私たちもまだ見たことはない。しかしこの数字は決して空想ではないと考えている。

80億人弱の地球上の人々が、1年間に食事をする回数は約8兆回あり、その1~2割の回数で仮に追加で100円程度支払うだけで、80兆~160兆円の市場が生まれるのだ。


■日本のフードテックが目指すべきところ

日本は課題先進国とも言われる。課題として、特に深刻なのは高齢化社会の到来だ。高齢になっても豊かな食生活を送れるようにするためにはどうすればよいかが、今後間違いなく問われる。

日本では平均寿命と健康寿命の間に、男性では平均9年、女性では13年もの開きがあるというデータがある。もはや国民病ともいえる生活習慣病が、このギャップを生み出している可能性があり、寿命まで健康ではない長い期間を過ごすことは、本人にとっても介護する側にとっても、多くの負担がかかる。

自分で料理できることは心身の健康を保つためにも重要なことだが、それが高齢になると難しくなる。また、病気や噛む力の衰えなどによって、家族と同じものが食べられなくなると、孤食になりがちで、途端に食生活の満足度は下がってしまう。

実は高齢者に限らず、日本において単身世帯は2030年までに4割に達すると言われている。家族と一緒に毎日夕食を食べる人の食生活の満足度がとても高いのに対して、朝・昼・晩のすべてが孤食であるとした人の満足度は著しく低いことが分かっている。

孤食は栄養摂取の偏りや不足を招くことも指摘されている。

現代の日本では、かつて「標準家族」と認識されていた夫婦と子で構成される家族は4世帯に1世帯だけ。食に関する製品やサービスを提供する人は、マスマーケティングあるいはペルソナを決めて大量生産・大量販売という従来のアプローチを見直すときに来ている。

今まで見えていなかったものが見えてくる時代、企業の価値創造・価値提供の在り方も変わっていいタイミングに来ている。


■社会課題とリンクしたイノベーション

この数年、食に関する社会課題を解決することを「事業領域」に設定しているスタートアップが増えている。若い人たちの関心が高い一方で、短期的な収益性を重視する大企業には参入しずらいテーマであり、課題は大きいものの、未着手のものが多い。

「無理なくロス削減」に関して言えば、例えばデイブレイクは急速冷凍のスペシャリストだ。デイブレイクには、何を何度でどのように冷凍させれば、おいしさを保つことができるといったノウハウが蓄積されている。

これを活用し、農家で余ってしまったフルーツを急速冷凍し、手軽に食べられる小分けのフローズンスイーツとして販売している。適切な温度で冷凍されているため、食べた時も生の新鮮さを感じられる。

フードロスを楽しくおいしく解決している好例だ。

また、コークッキングが展開する「TABETE」は、飲食店で余ってしまった料理やパンなどを少し安くても購入してほしい外食側と、お得に購入したい一般登録者を結び付けるプラットフォームだ。

これまでには廃棄せざる得なかったが、その情報をTABETEの登録者に知らせてあげれば、売り上げの足しにはなる。

デイブレイクと同じくTABETEも、フードロスという社会問題だけでなく、楽しさにも繋がるサービスになっている。


■「マス」から個別最適化された世界へ

一人ひとりのニーズを満たす商品やサービスが提供される「超・個別最適化」の時代の到来がいよいよ間近に迫りつつある。

私たち執筆者の一人は、メタボ検診で毎年引っかかり続け、まったく改善されないことをきっかけに、血糖値測定を始めた。利用したのは米アボットの低侵襲のグルコース測定サービス「フリースタイルリブレ」だ。

ディスプレー付きの専用リーダーと、腕に装着して2週間継続利用できるパッチがBluetoothで接続され、測定結果は随時リーダーで見ることができる。

リブレを装着してからは、四六時中この値を確認せずにはいられなくなる。2週間の装着期間中、摂った食事のうち55%の確率で血糖値スパイクが発生。いつの間にか、落ち着いてゆっくり食事を取ることができなくなっていまっていた。

これこそ「介入策なきデータの可視化」がもたらす悲劇である。何が問題であるのが分かることは有益。だが、どうすれば解決できるのかが分からないのが悩ましい。

本来「Xはあなたにとって血糖値スパイクの原因になるようです。Yと一緒に食べる様にしましょう」とか「食後に10程度ウォーキングしましょう」などと、この血糖値スパイクを緩和するようなアドバイスがあり、家におすすめのレシピに合わせた食材が届くといったサービスまで連携していれば安心できる。

こうようにパーソナライズフード及びドリンクという領域では、すでに体のデータ習得から診断・評価、それに合わせた飲料なりを提供するという、フルスタックのサービスが見えてきている。


■外食産業を取り巻く「不都合な真実」

ここ数年来、外食産業における人手不足は深刻だ。厚生労働省の「雇用動向調査」によると、飲食店・宿泊業の欠員率は全産業と比べて2倍以上高い。それらの原因の一つは高い離職率だ。

宿泊業、飲食サービス業の大学卒業から3年目までの離職率は、全産業トップで50%を超える。また、飲食サービス業は、ほかの産業と比較して従業員一人当たりの労働生産性が低いと言われる。

一般的に労働生産性を上げるには、付加価値を上げるか、従業員を減らすしかないのだが、経営者がやりがちなのは後者。外食産業は、サービスを提供することと消費される場が同じ場所にある「同時性」という特徴があるので、従業員を減らすだけではそのままサービス低下に繋がるリスクがある。

もともと限られた人財を守りながら、いかにして高い付加価値を生むのか。外食産業にとっては、以前からあった課題がさらに大きくなって重くのしかかっている。


■大企業にはフードイノベーションは無理なのか

大企業では新規事業は生まれない。過去、企業の経営者たちは、そう自嘲してきた。だが、新規事業の立ち上げが難しいのは、何も日本だけではない。米国や欧州とて同じ。

これまで見てきたように、今のフードテックを先導しているのはスタートアップであり、欧米の巨大企業も追従する立場なのだ。

出遅れた理由はいくつもある「マーケットシェアで勝つこと」「スケールを追い求めること」を重要視する大企業においては、まだ確固たるマーケットがなく、市場規模を測ることができないフードイノベーションをどう捉えていいのか分からない。意思決定がなかなかできないのだ。

だが、これも「昔の話」になるかもしれない。海外動向を見ていると、明らかに海外の大企業の動き方が変わってきている。一言でいえば、大企業を捨て、スタートアップと同じような動き方を始めているのだ。

創業100年越えの大企業達が、新しい動きをしかけてきている。皆必死である。変化が激しい市場生活者の嗜好も多様化している。既存市場のように競合相手を気にするよりも、生活者をより深く知るほうが大事だ。

であれば、企業同士で連携し、サービスを実装する為の道筋づくりに努力した方が「事業」に育つ可能性が高い。

最後に一つ。食のエコシステムが動き出すには、もう一つ条件がある。「共創には、共感するビジョン、目指すサービスのイメージを語ることが欠かせない」のだ。

あなたが実現したい社会は何か。フードの何を革新したいのか。スタートアップはもちろんのこと、巨大企業も、エコシステムの一員になるには、「理念」が問われている。


■必要なのは「意思」「想い」「パッション」

食というのは、世界中の人が十中八九、必ず毎日関わっている行為だ。そのため、ある程度主体的に自分の困りごとや、やりたいことを想像でき、誰もが「自分ゴト化」して考えられる極めてまれな市場なのである。

自分や身近な人々が必要としているもの、やりたいことが製品・サービスに直結するケースが多いため「未来を自ら創る」という意思を持つことで無限のアイデアが生まれる。そしてそこには必ず利用者の顔が見えるのだ。

当たり前のように聞こえるかもしれないが「自分のやりたいこと、ほしいものを仕事にできる可能性がある」と考えてみてほしい。一人ひとりの想いが世の中を作っていく可能性を持つのである。

一人ひとりが創りたい未来、実現したい世界・体験を思い描くことが「食分野に与えられた特権」と考えることで全く違う未来が見えてくる。

悲観的な未来も、楽観的な未来もあり得るが、大切なのは「自らの意思」「想い」「パッション」を持つことに尽きるのだ。



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日本は食料自給率は38%で先進国で最低の水準にあり、世界最大の食品輸入国である。

そんな中、食品の食べ残しや廃棄が食品産業を始め、家庭でも増加傾向にある。

しかも、食を支えている農家などは担い手不足により放置された畑も目にする。

一方で世界で食料を必要としている人たちは1日に約22万人増え続けている。

そして世界では、慢性的な栄養不足の人が世界人口の8.9%もいる。実に11人に1人の割合でいるのだ。

飽食と言われている現代でも、飢えている人は一定数いるのは確かでSDGsの17の目標の中にも「飢餓をゼロに」という目標がある。

私たちは誰もが家族のために十分に食料を確保したいと大昔から思ってきた。飢餓がなくなれば経済や健康、教育や格差にまで好影響を与えることができるだろう。

しかし、大規模な気候変動などで世界の食糧不足が進むことも懸念されている。

もし、世界で食料不足になれば食料輸出国は、まず自国の食糧を確保する。そうなれば食品輸入国である日本も食料不足になる。

あくまで仮説だが、当たり前にご飯が食べれない事態になるかもしれない。もしくは、健康格差や教育格差にまで影響が及ぶかもしれない。

食料自給率の低さはそういったリスクをはらんでいる。

数々のスタートアップ企業がそういった問題に立ち向かっている。企業はイノベーションしなければならない。未来に目を向けなければいけない。

私も含め、多くのユーザーはそういった「未来を見ている企業」のサービス、商品を選択すれば、未来は開けるのかもしれない。

まずは、目の前にある様々ものを、より良い未来にするために選択しよう。


私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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