指が折れていって、小さな世界みたいな事。
あなたは何がしたいの?
と問うと少しだけ顔が歪む。僕はイヤな人間なのだな、と感じる。その度。
複雑に見える世界で、シンプルに事を並べて、あたかもそれぞれに光があるように説くと、わかったかのような気になる。これがとても危険だ。でもあなたはおそらくきっとそれを求めていて、失われてしまった何かの正体を掴めずにいるんでしょう?僕は全てに是非を付ける。これを優しさだと信じている。
ろうそくに火を灯す。アガパンサスが下を向く。雨がバケツに溜まる。あの人はヨリを戻したらしい。僕はたまに運動する。痛むリスフラン関節を労る。星は空に張り付いている。表現って一体なんだろう。小首がむず痒く攣る。
僕の言いたい事を伝え方を気にせずに伝えて、昔哀しい顔をした人が、また連絡をくれた。
とても嬉しかったから、甘いものを買って帰ろうか、と思った夜は、まだ終わらない。
多分その時間は、ずっと終わらない。
(文章を書きながら、亡くなってしまった大学時代の先生の事を、何故か思い出した。
あの人は優しさを知っていた気がして、話せて良かったと思う。)
2023.11.18 >19
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