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月に100万円を稼いだスポーツライターの現実と未来予想図

フリーランスのライターは月によって収入に大きな違いがある。仕事の多い月があれば、仕事の少ない月もあり、さらに原稿料の支払いスパンが会社によって異なるからだ。

先の読めない状況が続くだけに、稼げるときにガッポリと稼いでおきたい。陸上競技をメインにしているスポーツライターとしては、「駅伝」関連の仕事が殺到する12月が稼ぎ時になる。

昨年12月は「仕事本数」が過去最多になった(執筆量は「書籍」の仕事をしているときの方が多い)。そこで、6冊の著書を持つスポーツライターのリアルな現実をお伝えしたい。12月の1か月間で書いた原稿は以下の通りだ。

『箱根駅伝公式ガイド』(11本)
『月刊陸上競技』(5本) 
『ENGINE』(1本)
『スポーツニッポン』(1本)
『聖教新聞』(2本)
『スポーツナビ』(11本)
『webスポルティーバ』(5本)
『THE PAGE』(3本)
『VICTORY』(2本)
『PRESIDENT Online』(2本)
『FRIDAYデジタル』(1本)
『ビジネスジャーナル』(1本)
『ヴィーナスポーツ』(2本)
『企業広報誌』(1本)


原稿本数は全部で48本。
文字数はトータルで約10万字。
原稿料の総額は約100万円。
(※プラスして取材謝礼が7.5万円)

平均すると400w=4,000円の仕事をひたすら積み上げて、100万円に到達したことになる。ちなみに最も高い原稿料は400w=15,000円、最も安い原稿料は400w=2,500円だ。ただ残念なことに、単価の高い仕事自体が少なく、文字数も多くない。1本でガッポリというのは難しい。

正直な感想は、「これだけ仕事して100万円かよ」という思いが強い。

まずこれだけの執筆オファーをいただけるのは簡単なことではない。そして、仕事量が増えることで、締め切りはカブってくる。また書くだけでなく、取材もしなければいけない。ハッキリいって激務だ。

12月は東京国際大、國學院大、創価大、青学大、東海大、全国高校駅伝(京都)を取材。大学は郊外に多く、移動だけで往復4時間以上かかることも少なくない。全国高校駅伝は前日入りで、取材して東京に戻ると、22時近くになる。

そうなると取材のない日は1日2本近いペースで消化していかないと、すべての原稿をさばき切ることはできない。最後の原稿は30日の夜。12月の休みは大晦日だけで、家族サービスや自分のトレーニング(ランニングと筋トレ)などプライベートを犠牲にして、原稿を書き続けた。

一度でも風邪などでダウンすると、かなり危うい状況になる。仕事をこなすうえで、まずは体調を崩さないことが大切だ。そのうえで、1日もさぼることなく、目の前の原稿を確実にこなしていくしか対処方法はない。

東京都最低賃金は2002年が時給708円で、現在は同1,013円(上昇率は1.43倍だ)。一方で原稿料は、筆者がライター業を始めた2000年と比べて、明らかに下がっている。

マガジンハウスは4回ほど原稿料が下がった(←それでも現在の原稿料は他社と比べて高い)。しかも、WEBは雑誌よりも安い。もうライターはダメかもしれないと思っていたが、状況は変わりつつある。

最近はWEBの単価が徐々に上がってきているのだ。

1本3万円以上の仕事も増加中で、『PRESIENT Online』は今年から従来の原稿料にプラスしてPV に応じたインセンティブが上乗せされる。某メディアは1本(2000w以上)1万円だったが、「他の大手WEBメディアの相場は2万円以上なので、今後は書くことが難しい」と伝えると、即座に原稿料は1本2万円になった。

有難いことに近年は営業をしなくても、執筆依頼をしていただける状況になっている。WEBの原稿料が上がってくれば、スポーツライターの未来は暗くないのかもしれない。

『酒井政人のスポーツライターとして生きていく。』


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