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【広告デザイン】ラフォーレ問題と世界の流れと学び

表題の問題は、これまでもよく起こってきた問題です。
世界デザイン業界でも起こります。

しかし、国によって倫理やリスクの程度が大きく異なることがあります。それらをシェアしつつ、今後の学びまで書けたらいいなという記事でございます。
※『海外』とは、一つの国に固定せず概ね英語で働いている商圏です。
欧米だけではなく、アジアの主要都市では多くみられます。


・そもそもラフォーレ問題とは
外資系広告代理店が旧知の芸術家の作風に類似ているデザインを、ラフォーレに納品したところ、芸術家から模倣ではないか?という指摘が入り、ラフォーレが、芸術家側への謝罪などを行うに至る
いうものです。
ニュースページはたくさんありますが、一例はこちらから。
https://www.j-cast.com/2020/01/24377990.html

なぜ起こるのか?=国内ではパクることのリスクは低い。安定した業界の環境がある。

そもそも私は職業柄、各専門の先生方とともに、クライアントの商標や特許までみることもあるのですが、アートの作風に関してまず問題になるのは倫理的な問題だと思います。
これは、著作的な問題がないわけではなく、アートをそのまま許可なく写真などで使うなどでない限りそうそう早く犯罪的行為だとも言えないのではないかということです。
では、なぜ同じような問題に関して倫理・著作問題が国内と海外だと責任の重さが変わるのかというと下記のようなものがあります。

■クライアントに切られてもダメージが少ない
国内企業は、文化的に数ヶ月おきに広告代理店やデザイン会社を変わることもあり得、頼める国内広告代理店の選択肢も少ない。

基本的に国内の場合は、シーズンごとに競合コンペなどがあり、その限られた社数の中で、次の数ヶ月〜程度のプロモーションをどうするのか決めます。
そのため、広告代理店側からすれば、1-2社の案件を切られても、シーズンごとにまだまだ他にたくさんあるわけですからダメージが少ないとも言えます。
ちなみに国内では、コンペに呼んでもらえる数社の広告代理店のパワーバランスは長く変化しておらず、呼べる企業が毎回変わらないということで、むしろクライアント側の方が、選ぶのが苦しいということもあります。

一方で、海外では、クライアントから切られることは大きな問題となります。
なぜなら海外では、ブランド構築、商品開発、プロモーション、世界展開戦略などがセットになることが多く、一個切られることは巨額の欠損を意味しするからです。
そして、有名企業を一つ失えば、紐づくブランド商品へ関わる機会も怪しいものになります。


■一業種一社という暗黙の約束
海外は一業種一社という暗黙の約束
があります。
それは、例えば車メーカーの仕事を受けたら、同種の仕事をもう受けないという約束です。

私がかつて所属した会社も超大手車関係の既存顧客のから案件を受けているときに、他の有名スポーツカー大手車系のブランディング、キャンペーンなどは即断っていました。
当然、社内は無表情ではありません。
「ああ、あの車の仕事かよ、、すげーかっこいいやつじゃん、やりたかったなぁ、、」
という具合に、顔が話すレベルで、わかりやすくガッカリしてることもありました(笑

でも、全ては下記のようなことを達成するためです。
・顧客の世界戦略/商品計画などの機密を漏らさない、影響されないため。
・顧客と長期間パートナーとして契約し、深い利害関係を負い、本当に意味のあるアクションを作るため
・一業種一社に絞ることで、深い精神的融合も行い、まだみぬレベルのクリエイティブまでトライするため

これらが組み合わさって、重厚なブランドと製品ができると考えられていました。


■国内は広告デザインのプレイヤーが少ない、増えない
これは国内だけではないのですが、クリエイティブを売りにした広告会社、事務所は下火です。

アートに優れた広告は人の心を惹きつけます。
しかし、このデジタルの時代に、再現性もなく、コストパフォーマンスに優れないと言われればそこまで
ですし、
アートに優れたデザイナーなどはメンバーが変わらないので、仲良くなり、評価などが曲がることも必然です。

では
外国人デザイナーは来日しないのか?
と言われたらまず来ない
です。

ピンポイントでは、大枚をはたけば雇えますが、移住はしませんし、コミュニケーションは言語が違うので、ロスが発生し本当の実力が発揮されないまま終わります。

かつて、日本経済は伸びに伸びていたわけですが、経済の停滞や、評価方法の固定化、プレイヤーの固定化、日本だけが独自的すぎる環境(日本語のみが有効)などなどあります。
とにかくいけてる今まさに時代をブレークするようなデザイナーからすれば、キャリアにも冒険にもならないです。

そういった人たちは、むしろ発展途上で現在の経済力より成長率の高いところに集まります。

とある知人の言葉を借りれば、
『ゲームはルールのないところでするもの』
だそうです(かっこいい、、、)


また、海外では、大手の企業ばかりに広告などを発注する流れは、良しとされなくなりました。
・データなどを含めたよりリアルな戦略立案
・小さくエッジのある企業にも競合プレゼンに入れる

などです。
これによって世界の大手広告、ブランドエージェンシーなどは、窮地に立っています。
世界では、より強固なブランドやブランドを創るために、今までと同じやり方=なんかいけてる、アートっぽいという表現のみのやり方は、すでにNOなのです。
しかし、窮地があれば、より強くなれるものだと思いますので、抜けた先にまたさらなる強い広告、ブランドエージェンシーが世界には現れ、より強固なブランド・商品もまた現れることでしょう。


■法律的なリスクも少ない。倫理教育が薄い
私が海外で、グローバル系企業に入る時にテストがあり、それは世界中の最低限の法律を知っていなくてはならない
というものでした。

このやり方は中国ではOKでも、イギリスではダメなどなど組み合わせも含めて知っていなくてはいけません。
ここでわかるのは、世界は世界を標的としているので、各国の法律は網羅的にクリアにできること、また訴訟額がとんでもないことになりがちなので、常にビビっておくことが大事ということです。
その結果、高度な倫理教育も社内で実施されます。

国内では、海外の法律を気にすることはまずありませんし、迷惑を欠けてしまっても数名の関係者などと対話によって解決されるのではないかと思います。
その結果、今回の問題もまた忘れられ、同じような問題が起こるのだと思います。

さらなる学びは何か?

すでに世界では広告代理店は淘汰が始まり、新しいよりロジカルなフェーズへ移行しています。
国内も必要に応じて新しい学びが必要なタイミングなのかもしれません。

今回の問題はSNSというメディアの中では新しいものから、指摘が入りました。前時代では、こうした問題は、表に出てこなかったのかもしれません。

そのため、国内クライアント企業側は、
・特定の広告代理店やメディア、インフルエンサーに頼らないブランド・宣伝戦略を社内から構築する
=シーズンごとではなく少なくても最終目的と中期計画ぐらいは考えた方が、使われるではなく使う側になれるのではないかと思います。

・SNSの発信力を抑えることは難しく、クリアな取引や連携が重要
=几帳面な世界的大企業は、原価を公開させるところもあります。

・デザインや広告に関して、長く連携できる相手を探す
=最近はCDO(チーフデザインオフィサー)なども流行をむかえていますが、壁打ちをとおして、自社らしさに高度に結びつけるなどもありではないかと思います。


という感じです。
実際のところ
日本が悪いとか、海外がいいという一方的なこともなく、世界では広告の再編が行われているので、いいところ・学びを探してみるのもいいのでは?
というところです。
話が飛躍しているところもあると思いますので、コメントなんかをもらえたら嬉しいです。

皆さんはどう思われましたか?
では:)