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音楽レヴュー 2

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音楽作品のレヴューです
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#UKドリル

DigDat『Pain Built』

 ディグ・ダットはサウス・イースト・ロンドンにあるデプトフォード出身のラッパー。UKドリル・シーンの中でも特にアンダーグラウンドな存在だった彼は、2018年にリリースしたシングル“AirForce”のヒットで大きな注目を集めた。その後は2020年のファースト・ミックステープ『Ei8htMile』を全英アルバムチャート12位に送りこむなど、商業的成功にも恵まれている。

 『Ei8htMile』のヒ

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Ghetts『Conflict Of Interest』



 ゲッツはイギリスのプレイストーで生まれた。経済的に裕福でない家庭で育ち、さらには刑務所暮らしも経験するなど、紆余曲折な人生を歩んでいる。
 それでも、グライム黎明期から活躍するラッパーとして多くのリスペクトを集め、素晴らしい作品をいくつも残してきた。『Ghetto Gospel』(2007)と『Freedom Of Speech』(2008)という2つのミックステープはグライム・クラシックに

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Headie One x Fred Again..『GANG』に見るUKドリルの流れと発展



 いまイギリスの音楽シーンを席巻しているUKドリルは、2014年のサウス・ロンドンから始まった。

 このジャンルはシカゴ発祥のドリル・ミュージックをルーツにしていることもあり、黎明期はドリルの重苦しいビートをほぼそのまま受け継いだサウンドが多かった。
 たとえばブリクストンの67が2016年に発表した“Lets Lurk”を聴くと、チーフ・キーフやリル・ダークといったドリルの代表的アーティス

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