“自由”とは希望なのか、不安なのか? 〜 映画『トゥルーマン・ショー』(1998)〜
安易にハッピーエンドって言える内容ではない。虚構の世界から解放されて“自由”を獲得したことは幸せかもしれないけど、劇中でも示唆されているように、虚構だって“本物の感情”をあたえてくれることもある。むしろ、“現実”のほうがその感情を奪う世界かもしれない。
この映画は、“自由”であることに不安を抱くか希望を見いだすかで、捉え方が変わると思います。人は、“幸せ”という状態をできるだけ維持しようとする生き物。わざわざ“幸せ”な状態を捨てる人はまずいないでしょう。そう考えると、トゥルーマンの選択はとても勇気があるよう見えます。
ちなみに僕は、トゥルーマンの選択に好感を持てる。確かに虚構の世界は多くの幸せや感動をあたえてくれるかもしれないけど、そのほとんどはトゥルーマンを観ている視聴者にとっての幸せや感動でしかない。そうした抑圧から逃げだそうとするトゥルーマンの姿に、僕は感情移入してしまった。
一般的とされる幸せや感動を押しつけられるよりも、“自分にとっての幸せや感動”を追求できる世界のほうが生きやすい。そう思うのです。
『トゥルーマン・ショー』
原題 : The Truman Show
1998年公開 アメリカ映画
監督 : ピーター・ウィアー
脚本 : アンドリュー・ニコル
出演者 : ジム・キャリー エド・ハリス ローラ・リニー
音楽 : フィリップ・グラス ブルクハルト・ダルウィッツ
撮影 : ピーター・ビジウ
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