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どうすれば漫画原作者になれるのか?

漫画原作者の今井真椎です。
今日は「どうすればプロット/シナリオ漫画原作者になれるのか?」というテーマについて書いていきたいと思います。

はじめに

初っ端から夢も希望もないことを言って申し訳ないのですが、まったくの未経験(素人)の状態から漫画原作者になるのは大変狭き門です。
漫画原作者は、漫画家であったり小説家や脚本家だったりと、何らかの形で商業実績を積んでから漫画原作の仕事を始める方が大半だからです。

なぜそのような状態になっているのかというと……
今まで「漫画原作者としてデビューする方法(道)」がほとんど確立されていなかったからかと思います。
ネーム原作はともかく、未経験者がプロット/シナリオ原作者としてデビューできる可能性はゼロに近い。そんな世界でした。

ところが現在!
漫画市場の成長と作業の分業化が進んだことにより、漫画原作者の需要が増え、デビューの間口が広くなってきています。
私の体感としては5年前の10倍ぐらい、今のほうがデビューしやすいです。

このビッグウェーブに乗りたい!
真剣に漫画原作者を目指している!
でも、具体的にはどうやって……?

そんな感じでお悩みの方に向けて、本記事で解説していきたいと思います。

①コンペ(公募や賞)に応募する

まず、漫画原作者になるには、コンペ(公募や賞)に応募するのが最大の近道です。
最近は漫画原作に特化したコンペが山のようにあります。
「漫画原作 賞」「漫画原作 募集 2023」などで検索してみてください。

ヴァルキリー・ブリーゼ 異世界漫画原作大賞
締切:2023年6月30日(金)

第3回 グラスト大賞(コミックシナリオ部門)
締切:2023年6月30日(金)

第2回 ステキブンゲイマンガ原作大賞
締切:2023年6月30日(金)

note創作大賞2023 漫画原作部門
締切:2023年7月17日(月)

週刊女性 大人の恋愛マンガ原作大賞
締切:2023年7月31日(月)

第2回 noicomiマンガシナリオ大賞
締切:2023年7月31日(月)

軽く調べただけでもこんなに出てくるので、いい時代になりましたね!
昔は文字で応募できる賞なんて全然なかったぞ…

小説形式で応募するもの、シナリオ形式で応募するもの、様々あるようですが、私はシナリオ形式で応募するものをオススメします。
シナリオ形式は小説より文章量が少なく、書くのが容易なのに、書ける人が少ない=ライバルが少ない=受賞確率が高いからです。

漫画原作のシナリオの書き方は人によってそれぞれ違うので、これといったルールはありませんが、賞によっては書式例を挙げてくれているところがあるので、そちらを参考にされるといいと思います。
私の場合は、映像脚本の書き方を踏襲しつつ自分なりにアレンジを加えています。(見本はこちら
映像脚本の書き方はハウツー本や学校がありますので、そちらで学んでください。

また、せっかく応募するならコスパのいい賞を選びましょう。
労力(文字数)が少なく、効果が大きく(連載確約など)、競争相手(応募数)が少ないものという意味です。
第1回目の賞などは特に狙い目ですね。出版社が賞を出す気がある=人材を欲しがっているという証拠なので。
もし小説形式で5万文字以上という指定がある場合は、大変手間なので、小説と漫画の両方を出版してくれるという条件でない限り私は応募しないと思います。

あらすじ(梗概)をきちんと書く、応募歴や受賞歴を恥ずかしがらずに書く、なども大切な要素です。
ただ、公募はほとんどが運なので、めげずに何度もトライするメンタルの強さが一番大事です!

②持ち込みをする

一部の出版社や企業では、漫画原作の持ち込み(常時募集)を受け付けているところもあるようです。
持ち込みというと、編集部に電話をかけて「漫画のプロット(シナリオ)を持ち込みたいんですけど、見てくれますか?」と聞く従来のタイプをイメージされる方もいると思いますが、最近はもっぱらWEBからの持ち込みが多いです。

WEB持ち込みは、出版社の応募フォームに自分のポートフォリオ(作品見本)と経歴を送付して出版社側が興味を持ってくれたら漫画の企画を送るというパターンです。(最初から企画を送るパターンもあります)

ただこちらは、ほとんどがプロの営業先と思っていた方がいいです。
応募者がまったくの未経験の場合、実力がわからないので、返事はまず来ません。
企業側が原作者を積極採用したい時期で、ポートフォリオの出来が良くたまたま担当者の目に留まった……などでもない限り、採用されるのは難しいです。
プロになって実績を身につけてから再トライしましょう。

持ち込みはプロが応募しても8割は無視される厳しい世界です。
こちらもめげずに何度もトライする強いメンタルが必要です。

③web上に小説を公開する

これは小説投稿サイトやSNS等に自分で書いた小説を投稿して、出版社からのスカウトを待つという作戦です。
投稿や持ち込みでメンタルを削られたくないという人には、この作戦をオススメします。
完結済みの小説を数本公開して、ポートフォリオ代わりにするわけです。

ただし、これは小説家になるのと同じく、とても競争率が高く、難しい作戦です。
web小説の流行を読んで執筆し、ランキングに入らなければいけませんし、多大な自己プロデュース力が求められます。

無事に出版社からオファーが来たら、最初は公開していた小説をコミカライズという形になります。
コミカライズの実績を得たら、次はオーダーメイドで漫画原作をやってみたい旨を編集さんにアピールしてみましょう。
運がよければ、次作はオーダーメイドで漫画原作の依頼が来るかもしれません。

④シナリオ制作会社で仕事をする

これはすでに脚本家やゲームシナリオライターとして商業経験がある方向けですが、漫画原作を請け負っているシナリオ制作会社に社員もしくは外部ライターとして潜り込むという作戦です。
ただ、シナリオ制作会社に勤めたら、当たり前ですが漫画原作以外の仕事も請けなければいけません。シナリオ制作会社はゲームや音声作品をメインでやっているところが多いので、そちらの仕事がメインになります。
漫画原作に専念したい人にはオススメしない方法です。

⑤作画家と組む

最後はバクマン形式ですね。作画希望の漫画家志望者とコンビを組んでデビューを目指す作戦です。
ただしこれはデビューできる保証がないこと、作画家と直接やりとりすることでトラブルになり喧嘩別れする可能性が高いのが難点です。
原作者・作画家2人とも共倒れになる確率が高いので、あまりオススメしません。
運良くデビューできたとしても、コンビとして扱われますので、ほかの漫画家さんと組むことが難しくなります。

世知辛い話をして申し訳ないのですが、漫画原作者は原稿料が低いので、連載1作品だけでは食べていけません。(週刊連載でよっぽど原稿料が良かったら話は別ですが……)
なので大体の原作者は複数の作品を並行で連載します。
ところが、特定の作画家さんと組んでデビューしてしまうと基本的にその作画家さん専属の原作者となり、複数作品の同時連載が難しくなることを頭に入れておかなければいけません。



このほかに漫画原作者になる方法としては「業界の知人から仕事先を紹介してもらう」「交流会などで直接出版社と知り合う」「大御所の漫画原作者の先生に弟子入りする」などもあるのですが、レアケースなので割愛します。

プロット/シナリオ原作ではなく、ネーム原作者になるというのもひとつの手です。
ネーム原作だとコンペや持ち込み先がぐっと増えるので、ネームが描ける人はぜひネーム原作にチャレンジしてください!

私は小説家出身ですが、今までの漫画原作の仕事はすべて①のコンペ経由で貰っています。
本記事はオススメ順に書きましたので、上から順にぜひご検討いただければと思います!

何かご質問等ありましたら、Twitterのリプもしくはマシュマロから送ってください~!


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