見出し画像

小さな三角の日向にて。

冒頭の見出し画像は、実家のとある部屋の隅っこである。

窓から日が差し込み、三角形の日向ができていた。

私はその目の前に座り、手や足をかざして
“日向”と“日陰”を、交互に往復する。

「ポカポカ」と「涼しい」

それぞれの「気持ちいい」を堪能していた穏やかな午前中。


風が“そよそよ”と吹いた。

文字通り、そよそよ。

強すぎず、弱すぎず
まっすぐに吹いて、潔く去っていった。


その風が運んできたのは、“水の匂い”

正しくは、水が何かに触れている匂いだ。


父が植木に水をやったからだろうか。

土の湿った匂い。
葉の潤った匂い。
近くのアスファルトが濡れた匂い。


さらに
ビニールに触れた水の匂いがする。

近くで小さなビニールプールの準備でもしているのだろうか。
水風船で子供達が遊んだりしているのかもしれない。

“夏休みの匂い”があるとしたら、きっとこんな匂いだ。



それから風は、“音”も運んできた。



子供達のはしゃぐ声が聞こえる。

洗濯機の動いている音。
車が走り去っていく音。
日曜大工ならぬ、土曜大工さんの作業する音。

鳥の声。
葉の擦れる音。

そして、“風鈴”の音。

実家には、私が小学生の頃に作った、青と透明のビーズでデザインした風鈴がキッチンに飾られている。
…しかし、その音とは違う風鈴の音がする。

ということは、近くで風鈴を飾っているお家があるのかもしれない。
そう思うと、ちょっと嬉しかった。
心の中で「いい風ですね」と、ご近所の誰かに語りかけてしまう。


穏やかな、初夏の午前中。

久しぶりに1時間ほど、小さな三角の日向にて
“日向ぼっこ”を堪能した。


…さあ、午後からはスイッチ入れるぞ。




2024.5.4

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