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Why Are You Here~ましログらし6

1 はじめに


イングランドで修行を始めて4ヶ月が過ぎ、予定期間から考えると、もう折り返し地点にさしかかろうとしている。Time Flies! とはまさにこのことであろうか……。


そこで今回は、「留学することの意味ってなんだろう」ということについて書いてみようと思う。今の思いが、ただ留学を切望していた若かりしころの自分へ届けば幸いである。もちろんそう思っているかもしれない読者諸氏に対しても。


2 留学したいとただ思っていた10代の自分


真しろは元々昔から、海外や英語に興味があった。そして自然と、高校生か、遅くても学生の間には留学をしたいと思うようになっていた。


高校時代から大学時代の前半にかけて、留学できる機会は何度も訪れた。しかしその度に、選考に落ちたり、障害を理由に行くことができなかったりして、なんとか留学がかなったのは二十歳の夏だった。


あのころ自分が考えていたのは、ただ留学したいということだけで、「留学してどうするの?」と聞かれたら何も答えられなかった。強いて言うなら、「留学できなかったら負けだと思うから」とでも言っていただろう。あのころの真しろは、留学に言って経験を積んだ人は自分より世界を知っていて、その時点で自分より高いステータスなのだと決めつけていた。推薦で書けることも多ければ、英語力も自然と上がるし、みんなも一目置いてくれるようになるだろう。それに、留学すれば自分の知らない国へ行けるわけだから、自分より世界を知っていることになる。つまり、留学していない自分は得をしていないから負けたことになる。そういう論理を信じ込んでいた。信じ込まされていたのかもしれないが。だから留学に行けなかっただけで、まるで世界が終わったみたいに泣き続けていた。


3 コロナがくれた変化


COVID-19による鎖国と呼んでもおかしくない危機を通して、そんな真しろの気持ちに変化が訪れた。それまで、留学しなければ世界と繋がれないとか、留学だけがステータスを上げることだと勝手に思い込んできたが、決してそんなことはないというのが事実ではないかと思い始めた。よく言われることだが、ネット時代であり、情報社会である今日、どこにいても世界とつながることができる。言語の壁さえ越えれば、この記事だって世界中の人たちに届けられる。むしろ今大事なのは、自分の国や自分の周りにある環境を大切にして、それを周りに発信することなのではないかと感じ始めた。


実際、COVID-19前後から、自分の周りでは、「留学をわざわざするメリットを感じられない」と口にする同世代の人たちが増えるようになった。なぜならお金を使って、家族と離れて、わざわざ留学しなくても、世界を知ることはできるし、世界中の人たちと仲良くなれる。オンライン留学だって普通になりつつある。言語の学習ツールだって自分たちで簡単に手に入られるし、翻訳ソフトを効果的に使えばちゃんと勉強しなくてもいい。留学をしなくても、留学したのと同等のリターンを低いリスクで得られることになる。


4 留学ならではの経験とは


それでも真しろは、留学という修行に出ることを決意し、今母国から遠く離れたイングランドの田舎町でこれを書いている。この4ヶ月、さまざまな経験をして、失敗して、成功して、学習する中で、留学ならではの経験とはなんなのか、正直毎日考えている。結論から言えば、I’m not sure! である。期待させて申し訳ない。


いや、むしろ、実際に留学したからこそ、「留学してできることってなんだろう? 留学して何がしたいんだろう?」ということを強く考えるようになった。もちろん、留学したい理由や、留学して達成したいことについては事前になんども言語化する機会があったが、それは留学するための手段として書いた物であって、熟考したとは言えなかったのだ。


自分は結局なんのためにここへ来たのか。この先に何があるのか。いくら事前に考えていても、毎日経験を積んでいれば、そんな物はかすんでしまう。今の自分で本当にいいのか分からなくなる。でもそれは正しい反応であって、自分が弱いからではないと思いたい。しかし確かなのは、「留学することでしか世界を知れない」と声高に叫び、泣き続けていたあの若者が、何も知らない純粋な存在だったと気づいたことだった。


5 夢に問いかけるWhy?~残りの修行期間に向けて


夢を語ることは簡単だ。これから何をしたいか語ることは簡単だ。しかしそれだけでは足りない。それだけでは、それをかなえようとした時に、これでよかったのかという不安が常に付きまとってくる。必要なのは、「なぜ」その夢をかなえるのか。夢の先にあるもっと大きなものなのである。それが見えて初めて、「留学することの意味ってなんだろう?」という真しろの問いかけの答えはきっと見えてくるだろう。


残りの修行期間もたくさんのことを経験することになる。しかし、どんな1日も、どんな1歩も、どんな握手の一つも無駄にしないように、常に自分の夢の先に、Why? をかざして生きていきたい。


6 Song for You


今回は、「留学したい」とただ夢だけを語っていたあのころからずっと好きだった曲を紹介したい。こぶくろの、『風見鶏』である。自分と立ち向かって生きていこうとする信念を感じられる曲だ。風の強い修行場の町にもぴったりな曲かもしれない。


ご視聴になりたい方はこちら。


https://open.spotify.com/track/2YiIxv7xnUX5TNmTwl1MVS?si=fyznQrh8Q_uFiMLHV4XUnw

7 おわりに


今年の2月11日は土曜日だった。6年前、第2志望の大学を真しろが受けたときも同じ暦だった。そんなことをふと思い出しつつ、そろそろ筆を置こうと思う。きっとすべての出来事は、今につながっている。


それでは、Have a nice day!

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