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ボウイさんとの思い出

ボウイさんとの思い出
ボウイさんと出会っていなければ僕の90年代は相当つまらなかったはずだ。
ボウイさんはバー青山という店のオーナーだった。一時期、本当によく時間を共にした。ゴルフにスノーボード、海、山、いろんなところに行った。
ボウイさんの進めでバー青山でDJも始めた。
常にボウイさんの周りには面白い人々、そして可愛い女の子たちが集まっていた。
ボウイさんと彼の仲間たちといると本当に面白かった。
その後バー青山を畳んで北青山ホテルという名のバーをオープンさせたがこちらも数年でクローズして放浪の旅に出た。
北青山ホテルのクロージングパーティーは
ボウイさんの旅路を祝う会となり盛大に盛りあがった。
それからボウイさんとの繋がりがプツリと途切れた。
そして数年が経ち、多分4-5年だろうか、バー青山時代の知人からガタカという名のバーを始めた旨を聞いて僕は店を訪れた。
僕は再会を喜んだ。
ボウイさんは放浪の旅の途中にガンが見つかって急遽帰国して療養生活をしていたそうなのだ。そして今ではすっかり根治したとの事。
この時期、僕は色々な事に忙殺され
以前のように足繁くは通えなかった。
久々に、バーガタカを訪れるとボウイさんを20年ぐらい若くしたようなそっくりの人が店を切り盛りしていた。
彼はボウイさんの息子のミカドくんであった。
バー青山の開店前に小学生の彼がよく店に来ていた記憶が甦った。
そして、数ヶ月後にまたバーを訪れた。
またもやミカドくんが切り盛りしていた。
僕は"お父さん元気?"と聞いた。 
すると、ミカドくんは、"亡くなりました"と
一言。
僕は胸が凍りついた。
そして13年の月日がながれ、やっとボウイさんの墓参りをする事が出来た。
天気予報は雨であった、朝は雨がぱらついていたが墓地につくと空は晴れ渡った。
ボウイさんの記憶に残る一言を思い出した。
"バーに足繁く来る時期っていうのは、寂しい時なんだよな、彼女とか彼氏が出来ると、とんと来なくなるからね"
ボウイさん、僕は彼女がいる時もいない時も足繁く通ってましたよ(笑)
僕はもうバーにあんなにも通い続けることは無いと思う。
気づいたら僕はボウイさんよりも長く生きている。

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