見出し画像

珈琲のレジェンド

知り合いの珈琲店に行った、ようやくはじめて、2.3階建ての建物が並ぶ1ブロック、その中にお店はあった、よく見てないと見落としてしまう、まるでカメレオンのように、町に潜んでいるように、あった、ハードに塗られたベージュの壁、小さな表札、字はくすんでよく見えない、シンプルでどっしりとした料亭のようなたたずまい、珈琲店とは思えない、扉を開けると、左に小さくて静かな商品ケース、珈琲豆、チョコレートがほどよく並ぶ、パッケージはどこか懐かしい感じの、ぼくが過ごした昭和よりもっと前の昭和初期の匂いがする、民藝の世界、陰翳礼賛、美しき世界、そして後ろは、大きな焙煎機、大きなアルミ色の煙突、大きな金属工場の一部を切り取ったような風景、迫力ある、前には静かな商品ケース、コ、コントラス、いきなり圧巻だった、店主の世界観、喫茶で2階に上がると、そこは古き良き時代、あったかいBARの世界、カウンターでは1人1人がそれぞれに、ゆっくりと珈琲を飲み、じっくりと世界に浸る、やがてその一部になっていく、窓際からはガーゼのカーテンが優しく木漏れ日を運んでくれる、祝福、そう珈琲のルーツ、エチオピアでは、客人が来ると、まず珈琲豆を鉄器で煎って、それを金属棒で砕いて、最後にお湯で煮込んで、珈琲を作る、お祝いの儀式、あったかいうれしい空気、緊張ほぐれ、体ゆるみ、心地よき空間、深煎りの珈琲は繊細で、一緒に頂いたチョコレートは複雑でとても質素、ぼくは1つの大きな世界に圧倒され、呑み込まれ、タイムトリップしたように、その時代を楽しんだ、やっぱり世界観だよなあ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?