#連続小説【アオハル】〜第七章・地獄のバンク 3〜
翌朝午前6:00。
いつも通りの目覚めであった。今日は初めてバンクに乗る日だ。学校まで自転車で向かい、その後は部のバスで移動をするそうだ。集合予定は7:30。泊まり込みの練習になるので、俺は手早く身支度をすませると学校へと向かった。
いつも走ってる道路なのに、この日は何だか違って見えた気がした。気持ちが昂っていたからだろうな...程なくして石谷が追いついて来たので二人で先頭を交代しながら学校を目指していた。
「石谷ぃ〜お前バンクって何の練習するのか分かるか?」
「ぁあ?分かるわけないって!でも何となく想像はつくけどな...」
「何だよ!知ってんじゃん!言えよ!それ聞いてんだからよ!」
「うるせぇよ!お前に教えるかよ!てか朝飯買ってかねえとなんねぇから、ちょっとコンビニ寄るわ〜鬼木は?」
「俺は大丈夫。奥さんが弁当用意してくれて。でも飲み物だけ買っとくわ!」
暫くそんな感じで石谷と漫才みたいな掛け合いをしながら向かった。学校に到着すると西村さんと美空さんが居て荷物をバスに詰め込んでいる最中だった。
『おざーっす!!』
「おう!おはよ!お前ら早かったな!チャリ置いたら手伝ってくれ!」
『わかりました!!』
その後すぐ、竹之内さん。健太、義和、川野も到着したので荷物はあっと言う間に詰め込む事ができた。そして重田先生が最後に到着。バスは一路バンクへ向かって走り出したのだった。
「全員バンクに着いたらすぐにアップを始めるから今のうちに飯は食っとけよ。」
「監督。もろもろ説明はしてありますので大丈夫です。」
「そうか!さすがだな竹之内!」
バンクまでは結構時間がかかる。早くて2時間程。しかし俺の気持ちは遠足気分であった。部活で遠征に行った事のある人は共感できるあるあるでしょ?
「起きろ!!!」
とてつもない轟音が耳元で鳴ったので俺は目を白黒させながら飛び起きた。
「ぐっすり眠ってんじゃねぇよ!何様だ!とりあえず、鬼木。お前は腕立て30をアップに追加だ!分かったな!」
「はい!喜んで!」
「舐めてんのか!追加で30だ!」
「すみませんっした。」
一気に憂鬱な気分になった俺だったが、バスを降りるとそこには想像を遥かに超えたスケールのバンクが目前に広がっていた。
(うお...!すげ!陸上競技場並にでけぇじゃん。てか...競技場...なんかナナメってね?端っこなんかは壁になってんじゃん。)
そんな異様な姿の地獄は、密かに獲物を狩殺そうと研ぎ澄まされていくのであった。
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