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原点回帰


 私には、日向は眩しい。

 元々小説家を目指したとき、私は『蒼乃真澄』をペンネームにして書き始めました。それからしばらくして、より運気が高いという『蒼日向真澄』に変えました。それがちょうど二年半前のことです。

 しかし、二年半も使っていたとはいえ、どうもしっくりこない。それに、私には『日向』という文字が妙に眩しく感じるのです。2021年11月8日時点では、より明るく生きようと思い改名しましたが、今はそこまで明るく生きたいとも思えない。それよりも、小説を書きたいと願ったあの頃のペンネームの方がしっくりくる。

 原点回帰。都合の良い言葉です。しかし、人間はどれだけ成長しようとも、歴史を重ねていこうとも、原点を忘れることはできないと考えています。2020年に初めて書いた長編、『雨上がりの解決』を書き終えた瞬間の充実感。物語への情熱。キャラクターへの愛情。今の私に足らないのは、自分で生み出した作品への気持ちかなと思ったりします。

 より明るく、誰かを救うような小説を書きたいと思った『蒼日向真澄』とはおさらばをして、自分の胸の内に潜む願望や孤独ゆえに生まれてしまった化物、腐った恋愛、満たされない気持ち、穢さ、弱さ、脆さを含んだ心。そんなものを書くために、『蒼乃真澄』に原点回帰しようと思います。

 これからは荒天すら愛せる人間でありたい。という意思表明でした。

 




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