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東京「つくるオタク」ワイン会ピープル

わたしは「つくるオタク」です。

これまであまたのジャンルを渡り歩いてきましたが、そのどれにおいても、最終的に「自分でつくる」ところにたどり着きます。

交響楽団に所属すれば音楽を書きたくなるし(クォリティは別)、アニメにハマると二次的に物語を創出したくなるし(いわゆる二次創作である)、ドラマ・カルテットにハマったときには、那須のコテージを借りて即興演奏合宿をしました。即興なんかできるかーい!(でもやる)

オタクにもいろんな属性があって、とにかくひとりで突き詰めるタイプの方や、知識獲得や資格取得に燃える方、生涯を「収集」に捧げる方など、その命の燃やし方はさまざまです。
たとえばわたしはどんな推しの舞台でも3回以上は観に行かないけど(そんな軍資金がない)、かつて観劇仲間だったオタクの先輩は、40日間の公演中、毎日劇場に通勤していました。好き。

そういうわけで、ただいま絶賛ワインが「推し」であるわたし。日々の心の叫びをTwitterにだだ漏らし、長文のnoteを書き、さらには誰にも頼まれてないのに、同人誌まで作る始末――

生きるのって、楽しい……っ!

こんな楽しいこと、ひとりでやるなんてもったいない!誰か、一緒にやりませんか?!という、つくるオタクの呼びかけに集まっていただいたみなさんとともに「打ち合わせ」という名のワイン会を開きました。

ねえ、誰かこの趣旨、覚えてました…?(フラグ)

1軒目 セラードア青山で待ち合わせ

さて、ワインを飲む前に、ワインを飲みます。

言っていることがおかしい自覚はあります

1軒目は、外苑前から徒歩2分、セラードア青山さんからスタートです。これまでも何度か足を運んでいるお店ですが、バーを利用するのは今回がはじめて。

こちらのお店、インポーターのジェロボームさんの直営店となっております。もちろん、ワインを買うことができるんですが、なんと買ったそのワインを、「抜栓料なし」でバーに持ち込むことができるんです。すごない?

つまり、「いいワイン」を「小売価格」で、そのまま飲むことができる。しかも、美味しい料理つきで。えっ、そんな夢の国があるの!?わ、ここか~!(う、うるせ~~!)

そんな楽しい1次会にお付き合いいただいたのは、「食べログ」の上位30名のレビュアーに与えられる称号である「シルバー」を受賞しておられるたべもえさんと、クリーンでナチュラルなワインのインポート会社である「LIBER株式会社」におつとめの、あきもさんです。食のプロとワインのプロ…!これは楽しい夜になる気配しかないぞ…!

さて、「最初はシャンパーニュからいかがでしょう?」というソムリエさんからの魅惑のお誘いもありまして、1杯目はグラスでシャンパーニュをいただくことにしました。金曜日の夜をシャンパーニュからはじめる。オトナって最高だな…!

高ワインにびびって写真がボヤける

ポル・ロジェのブリュット・レゼルヴ。くちに含んだ瞬間、ぎゅっと厚みのある酸が広がります。りんごや洋なしのふっくらとした香りに、「あ~~~あたし今、シャンパーニュ、飲んでる~~~~」感がすごい…!

ひゃ~

ちなみにこれは「マグナムボトル」ですが、マグナムって普段なかなか飲む機会がありません。まことしやかにささやかれる、「マグナムのほうが美味い説」。あきもさんによると、やっぱりマグナムのほうが「全体的に、こう、こなれてていい」んだそうで、そっか~、なるほどわからん…!

マグナムボトルがばんばん開くようなバブリーなワイン会がありましたら、ぜひますたやをお呼びつけください。ワインってほら、飲まないとわかんないからさぁ…!

ちょっとしたフードがまた小洒落ている

さて、次の会もあることですし、2杯目はどうしようか…?と悩んでおりますと、「いや、飲めますよ」「全然いけますね」という、神々の声が右隣と正面からやってきました。神、距離近いな。

というわけで、「酸がちょっと苦手、樽はききすぎない方がいい」というたべもえさんのお好みに合わせ、店内からワインボトルを選びます。

選んだのは、サン・ヴェランの白。ブルゴーニュの南側に位置する「マコネ」地区にある村のひとつで、ブルゴーニュの中では比較的手に取りやすい価格のワインが存在するありがたい地域。特にわたしはこのお隣の「プイィ・フェッセ」のワインが大好きなもので、このあたりのブル白に出会うと、反射的によだれが出る体質になっています。

「わっこれ、ここ2、3年飲んだなかで1番美味しい……!

右隣におわした神(※たべもえさん)も痛く感動しておられましたが、いやほんと、このワインはめちゃくちゃ美味しかったですね…!

綺麗で柔らかな酸と、ふんわりとした白い花の香り。口当たりはいわゆる石灰石系の硬質さがありつつも、後半に広がっていくとろけるような蜜感。そして、飲み込んだあとに、かすかな樽香が追いかけます。は~~……うンまっ……!

美味しさを何度も何度も確認しちゃう美味しさ。サン・ヴェランで5000円オーバーはいわゆる「いいワイン」ですが、これはその対価を払ってでも、飲んで間違いないワインでした。いやあ、うっとりしちゃった…!

お仕事柄「石灰」に詳しいたべもえさんからの、「石灰の香りって、一体どの練りの段階の石灰なのかを明示してほしい」というまさかのご意見を頂戴しつつ、2軒目に向かってワイワイ移動したのでした。練りの段階ってなんだ…!

2軒目 かめじま商店でナチュラルワインを飲む

1軒目が楽しすぎて、ちょっと遅刻気味のますたや御一行(幹事)。次の現地には、ここから合流する令和のワイン文学ブロガーヒマワインさんと、わたしのワイン友達であるうちの夫氏が待っておりました。ごめん、待った?(待った)

まさかの「ワインはまだ頼むな」の指示を出すますたや(強欲)

2軒目は、茅場町にあります「かめじま商店」さんです。

▶ 食べロガーたべもえさんの激推しバル

こちら実は、ワインの販売もおこなっているお店です。どうやら店主の方が「卸を介さず、なるべく価格をおさえてワインを提供したい」と考えられて、酒販免許を取得されてるお店なんだそう。(記事はこちら

結果「ボトルを選んでその場で飲む」という、最高にエンターテイメントな空間が広がることに。なに、この、楽しい視界…!

さらに”アフリカー終わり”の小泉店長も加わってくださり、2時間ぶり2度目の乾杯です。乾杯は何度やってもいいなぁ。ほんと、生きてる限り、なんべんだって乾杯したい…!

かんぱーい!

乾杯のワインは、ロワールのペティアンでした。お店の方から「果実味がしっかりあるタイプですよ」とオススメいただいたこちらが、また美味いんだわ。

あきもさんからの、「後半になって澱が出て来て、また表情が変わってますね」というコメントに一同うなずきます。そうか、1本のボトルのなかでも味って違うんだなぁ。は~、ワインっておもしれぇ~!

そして2本目は、小泉さんとあきもさんのおっさんずチョイス

「はい、じゃあ、品種当ててください。ブラインドです

はい?

というわけで、いきなり始まるブラインド大会。も~~~~これがあるからワイン界隈はこええぇんだよ~~~~

そんな中、フラットな気持ちで「これって、赤ワインですか?」と質問するたべもえさんに、くちごもるおふたり。ここでヒマワインさんが「わかりました」と膝を打ちます。

「おっさんずふたりの共通点、そして先ほどの色に対する反応。この文脈から考えると……『ピノノワール85%、シュナンブラン15%』だ!えいやっ(送信ボタン)」

というわけで、TwitterのDM機能を使った回答が出そろいましたが、正解は【セミヨン90%、ガメイ10%】。えーっ、白ワイン品種に、赤ワイン品種混ぜちゃうんだ…!ということで、誰ひとり正解を出すことはできませんでした。っていうかむずいわ!

それにしても、白ワイン品種のセミヨンが9割入ってるのに、こんなに赤ワインぽくなるのは不思議ですね。確かに言われてみれば、ほんのりタンニンさえも感じる気がします。ナチュラルワインって、こういうユニークさが面白いよな~

ここで、「白と赤のブレンドってところが、合ってた。文脈が合ってる。コンテクスト勝ち!」と言い張るヒマワインさん。それは、ブラインドテイスティングでは…ない……!(し、当たってもない………!)

こうなったら、3本目もブラインド、行きますよね?
というわけで、ますたや&たべもえのミドサー女子チームが選んだワインはこちら。

なーんだ?

ここであきもさん、【フランス/ロワール/アンジュー/カベルネフラン/2020】という細かい答えを出してきましたが、これ完全に、映画『チーム・ジンバブエのソムリエたち』に影響されておられます。そして、全然違います…!

ボージョレ(モルゴン)のガメイでした~

「あ~~さっきの品種とかぶせて来たか~~!あえてかぶせない方向で考えてしまった、今回はコンテクスト負け…!

【スペイン、ラマンチャのグルナッシュ】と回答されたヒマワインさんが悔しがっておられましたが、だからそれは文脈判断であって、ブラインドテイスティングではないんですよ……!(30分ぶり2度目の指摘)

というわけで、ワインはもちろんのこと料理も大変に美味しく、楽しい時間だったのでした。いやあ、楽しかったな~、すでにまた行きたいもんな…!

最後の1杯を飲みながら

さて、ちょっとだけ飲み足りない我々は、最後に1杯ワインを足すことにしました。金曜日の夜、さすがに満席のお店が多く路頭に迷いかけたところ、小泉さんがさっとお電話してくださいます。紳士……!そして、おのれの庭感がすごい…!(勤務地…!)

高級シャンパーニュ「ペリエ・ジュエ」のグラスで飲むただのスパークリングワインだって美味い。そう、3軒目ならね。

照明の落ちた雑多な空間で、旅と、人生について語る。これまでのこと、これからのこと。そして、片手にはワイン。そんなの、最高じゃないですか。・・・・・あれ、本題どこいった。(フラグ回収)

というわけで、「つくるオタク」たちが集まって、ただ美味しいワインを飲んだだけの、東京「つくるオタク」ワイン会ピープル。それって、ただのワイン会じゃない?(そうだよ!)

いや、ほんとは理由なんかなんでもよくて、飲みたいひとと一緒に飲みたかったんですよ…!ということで、お集りいただいたみなさん、楽しい夜をありがとうございました!楽しくて笑い過ぎました、「つくる」ときはまた声かけます!

さらに飲み足りない夫氏が追いワインしてました。楽しかった証拠!

でもやっぱ、なんかつくるよ!

というわけで、「打ち合わせ」はできぬままでしたが、次もワイン本は出します。そして今回は、『アンソロジー』形式で出したいと思ってます!

アンソロジーとは:
同人誌を制作する場合に、「ひとつのテーマに沿って」数人の作家が作品を持ち寄りひとつの本に仕上げる方法。本来は、ひとりの作家が選ぶ作品集なども含めるが、同人界隈では「テーマの決まった合同誌」の要素が強い。

ますたや文学オタク知識より

目指すは、2023年5月21日に行われる「文学フリマ東京」での発行。テーマはずばり、「ワインと、わたし」のワインエッセイ集です。どういうこと?

わたしが、基本赤字にしかならないような同人誌を制作している理由のほとんどは、「わたしが楽しいから」ですが(ホントに身もふたもねぇな…!)、実はほんの少しだけ、小さな目標があります。

それは、ワインをあまり飲んだことがない方や、ワインに興味はあるけどなんかよくわかんないな、って思っておられる方に、「なんか、ワインって、楽しそうじゃん?」って思ってもらう、ということ――

わたしが「楽しそうだな~」って思うときって、そこにいる人たちが「楽しそう」なときです。たとえば、わたしが好きになるアイドルは、グループのなかでいちばん元気で、いちばん踊ってて、いちばん笑ってる子、だったりします。「あ~~あの子、楽しそう!」って思うと、わたしもにこにこ楽しくなる。そういう経験が、(アイドルだけじゃなく)よくあります。だからわたしは、自分の好きなことを語る楽しそうなひとのことが、大好き。

わたしは「楽しむこと」を愛してるから、っていうか、それくらいしかできないから、「ワイン、楽しい!」って言い続けることだけが、ますたやのできること。ワイン界のひな壇芸人、ここにあり。

でも、そしたらさ、もしかしたらそれを見たどなたかが、「へー、ワインって、意外と楽しそうだな?」って、思ってくれるかもしれないじゃないですか。
そしたら、ワインを飲む人口が、ほんの少しだけ増えるかもしれないじゃないですか。
そしたら、もしかしたら、わたしが飲めるワインが、日本に増えるかもしれないじゃないですか………ッ!(下心)

そういったわけで、ワイン界隈のみなさんの「好き!」「楽しい!」が詰まった、宝物みたいな作品をこの世に出したいと思っています。
かつて、オタクの先輩から言われました。『読みたい本は自分で作るんだよ、ますたや!』(押忍…!)

本の詳細はまったく未定ですが、これを読んでくださっているみなさん、そして、ワインをお好きなみなさんが、できるだけハードル低く参加できる企画を考え中です。

「こんなことがきっかけでワインと出会った」「ワインとの思い出、聞いて!」「ワイン好きになりはじめたばっかだけど楽しいっ」「ワインとはもう長い付き合いで…」

そんな、小さなつぶやきみたいな「楽しい」を、かき集めさせていただきたいと思ってます。その節はみなさん、どうぞよろしくお願いします…!!!!

▶ ちなみにこれまでのますたや作品はここから買えます(宣伝)

というわけで、なんの話だっけ?ワイン会が楽しかった話だった。ただ楽しく飲んで、笑った、最高の週末でした。それって最高の人生じゃない?

今年もいい乾杯がたくさんできそうです!🥂みなさんまた、よろしくお願いしまーす!

▶ 寄稿文の募集、はじめました(~2/12まで)

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)、夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得、2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中の、ワイン大好き夫婦です!

▶ 詳しいプロフィールはこちら!TwitterやInstagramもフォローお気軽にどうぞ♪

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