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教育者 表現者 思想

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  • 算数教育を深める

    算数の指導における、算数の仕組みや繋がりを明らかにしていきます。

  • 宮沢賢治 やまなし 本質の解明

    謎多き「やまなし」の解明に挑みます。「やまなし」の味わい方を一緒に考えていただけたら幸いです。

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宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ⑦

 次に、妹トシさんの死です。「イーハトーヴの夢」を読んですぐにこのことと結びつくのが「クラムボンの死」です。私の考察では、「クラムボン」をカニの兄弟にとって最も身近で重要な存在であるとしました。宮沢賢治にとってそれは妹のトシさんであったようです。  宮沢賢治と似た部分が多く、勉学が好きで、兄弟たちの中でも最も何でも話し合うことができたそうです。家族の中で最も重要な存在は妹トシさんであることはよく知られています。  ではなぜ宮沢賢治の母ではないのかと思われる方も多いかも知れませ

    • 説明的文章はこう読む

      説明的な文章を国語科で扱う際に、面白くて子供が生き生きと活動し、理解も深まるような指導の仕方があるだろうか。 元筑波大学附属小学校教諭で現在明星大学の教授をされている白石範孝氏は、長年の研究から、素晴らしい説明的な文章の指導方法を見出している。 それは、説明的な文章の構造を可視化し、論理の仕組みを明確にさせる画期的な方法だ。 小1から小6までの説明的な文章の教材の全てに通ずるこの方法は、意外と知られていない場合が多いので、「固有種が教えてくれること」(小5国語光村出版)

      • 三角形の内角の和はなぜ180°なのか

        三角形の内角の和は、180°だ。調べ方として、3つの角の大きさを測って足すことや、3つの角を切り取って並べるなど様々にある。 だが、なぜ180°になるのかと言われると、なかなか答えられない。そもそもこれは誰もあまり考えもしない問いである。ただ、気になったことのある人も在るだろう。 そこで、なぜ180°になるのか、証明してみたい。 まず、角の大きさを等しくした正三角形で考えてみる。すると60°より大きくすることができなくなっていることが分かる。3つとも角の大きさを等しくし

        • 天罰は下る

          生きていて、誰かと関わる中で、自分に対してとても嫌なことをしてきたり、いじめまがいのことをしてきたりする方がいます。すると、その方に不幸な出来事が起こることが少なくありません。私の周りだと怪我や病気が多いです。 これは、きっとその人自身が私にだけでなく、色々な人に対して思いやりのない関わり方をしているからなのでしょう。多分それを続けていると、まるで神様が罰を与えたかのようにその方に不幸が訪れ、「このままの生き方ではだめですよ。」と教えてくれます。 ただ、これは、本当に天の

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        宮沢賢治 やまなし 本質の解明 ⑦

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        • 算数教育を深める
          10本
        • 宮沢賢治 やまなし 本質の解明
          13本

        記事

          割り算にもある交換法則

          掛け算にはA×B=B×Aが成り立つ交換法則がある。これは、割り算で成り立つことはない。つまり、A÷B=B÷Aということは成立しないのである。 しかし、もし交換法則があるとしたら、どういうことになるのだろうか。 下の式を見ていただくと分かるかもしれない。 24÷6=4 ここで交換できるのが、商の4と除数の6だ。 すると、 24÷4=6 つまり、 A÷B=C A÷C=B これは意外と重要な法則なのだが、初等教育では表立っては扱われない。 この法則を見つめると、実は

          割り算にもある交換法則

          最小公倍数と最大公約数

          最小公倍数は、ある数とある数に共通な倍数で、最も小さいもの。最大公約数はある数とある数の共通な約数のうち最も大きいもの。ちなみに約数はある数を割り切れる数ですね。 これらの最も簡単な見つけ方を考えてみる。すると、最小公倍数は大きい方の数の倍数から小さい順に調べること、最大公約数は小さい方の数の約数から大きい順に調べることが有効になる。 例えば最小公倍数では、8と6であれば、8.16.24となるのでこの中で最初に出てくる6の倍数が分かればよい。 最大公約数では、やや難しく

          最小公倍数と最大公約数

          分数、小数、整数、割り算③

          小数を分数にする指導を実践してみると、意外にもさまざまな解決方法が生まれた。 問題 0.3を分数にしましょう。 解決方法 ①0.3は1の中に3つある。0.3たちから見たら、1は10である。その10から見ると0.3は3つ分。つまり、10個に等分したうちの3つ分で3/10。 ②上のことを数直線に書いて、0.3は1を10等分したうちの3つ分だから3/10。 ③0.3を見ると3の小数点が左に1つ動いている。つまり、3を÷10しているから、3÷10=3/10。 ④0.3×10

          分数、小数、整数、割り算③

          混乱しがちな分数の倍

          分数の倍について考える。 分数の倍を問う問題文にはいくつか種類があり、殆ど文章の読み取りの力のようにも思えるが、これを算数的に扱って理解させるのは難しい。 以下、問題文の例。 A 5mをもとにすると、4mは何倍(分数で)か。 B 4mは、5mの何倍(分数で)か。 C 5mを1とみると、4mはいくつに当たるか。 すべて割合すなわち何倍かをもとめる問題だが、言い回しが異なっている。様々なアプローチが考えられるが、どれが最も分かりやすいのか。 教科書でよく取り上げられる

          混乱しがちな分数の倍

          分数、小数、整数、割り算②

          2÷3=2/3が分かると、その逆をしたらまた新たな見方が生まれる。つまり、2/3=2÷3というように分数を見たらそれを割り算に変換できるということだ。それならば、下のような広がりが見えてくる。 ①割り算を分数に、分数を割り算にする。 ②割り算を小数に、小数を割り算にする。  →小数を分数にできそう。 ③割り算を整数に、整数を割り算にする。  →整数を分数にできそう。 まず、② 小数を割り算にする。例えば0.3はどうだろう。0.3を割り算にするにはいろいろとありそうだが、手

          分数、小数、整数、割り算②

          分数、小数、整数、割り算①

          小5算数 分数の学習。 約分にもつながる重要な単元である。 児童の思考の流れに沿った指導をしたい。 まず、2÷3 東京書籍では、面積図を用いる為に、2Lのジュースを3等分したら1人分は何Lかという問題を扱っているのだが、これを児童に理解させるのはやや困難であるし、今後の単元の流れからすると、その後あまり登場しない考え方である。 児童の自然な思考だと、商が小数の割り算が既習であるため、2÷3を筆算して、0.666…とするのが簡単だ。しかも、0.666…に注目できれば、割り

          分数、小数、整数、割り算①

          ちいちゃんのかげおくりを感じる②

           ちいちゃんのかげおくりの重要な要素である「ちいちゃんという女の子の小さな胸の中でどんな風に起きた事態を受け止めているのか。」ということ。このことをどう捉えるか。それが私達読み手に投げかけられた最も本質的なテーマなのではないでしょうか。  さて、もう少しちいちゃんの心にフォーカスして読んでいきます。ちいちゃんがお母さんからはぐれた場面。彼女の胸の中はどんなであったか。きっと「お母ちゃん、お母ちゃん」と呼ぶちいちゃんはまさか本当にこのままもう会えなくなるなんて思っていなかった

          ちいちゃんのかげおくりを感じる②

          ちいちゃんのかげおくりを感じる①

           小学校国語科光村書籍3年に掲載されているちいちゃんのかげおくりです。この作品、涙なくしては読めないという方も多く、教科書の作品のなかでも、最も悲劇的な作品です。ただし、単に悲劇的と言うことなど決してできない何か重要なものを読者の心に残す作品でもあります。  この話は、太平洋戦争末期の日本の都市部が舞台で、まず戦争というテーマが大きく存在しています。戦争。それは平和の反対語で、この世の地獄を意味します。これは個人、家族、国家、人類にとって共通の大きなテーマです。だから、戦争

          ちいちゃんのかげおくりを感じる①

          わり算のきまり 新しい発見の過程

           4年生のわり算のきまりを見つける授業で、被除数と除数に同じ数をかけても、同じ数で割っても商が等しくなることを教える。これについて、本質的な理解、本質的な発見をさせることは可能なのだろうか。  一般的に授業では、商が4になるわり算をいくつも考えさせて、並べ、子どもたちに見つめさせることで、勘の鋭い子が被除数にも除数にも同じ数がかけられていることと、同じ数で割られていることに気がついて、どれもそうなってることを確かめるものが多い。  ただ、子どもたちはこのような流れの授業で

          わり算のきまり 新しい発見の過程

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 13完結

          9 幼き頃の安堵感 母にこの作品を読み聞かせしてもらっていた時のことを常に思い出すようにしながら感覚を働かせて論考を進めてきました。  私の父は、子供たちのために世界の名作という15冊程度の絵本シリーズを買い揃えてました。それには、誰もが知る世界の珠玉の童話が掲載されており、どれも特異な輝きを放つ作品ばかりでした。  ただ、宮沢賢治の放つ独特な感覚は、他のどれとも全くちがっており、心に直接働きかけてくる何かが間違いなくありました。  確かに他の世界の名作童話には、素晴ら

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 13完結

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 12

          8 主題はカニの兄弟と父親から見える これまで、「やまなし」にまつわる数々の謎を自分なりに解明しましたが、「この作品の主題は?」と聞かれると、回答に困ります。ただ、主題なので、あまりごちゃごちゃ考えず、基本的には主観的なものでよいのではないかと思います。  数々の宮沢賢治作品を通してこの「やまなし」に凝縮された思想を読み解くと、様々な主題が浮かんで来るのは当然であります。でも、そこはやはり登場人物の心情や読み手がダイレクトに受ける印象から主題を捉えるのが自然です。  これ

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 12

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 11

          ⑦金剛石 この言葉は、最後にのみ用いられています。しかし、非常に重要かつ彼の思想の真理にもっとも近いものの象徴でもあると考えられます。本文では、   波はいよいよ青白い焔をあげ、   それはまるで金剛石の粉を   はいているようでした。  と、ここでまたもや青白い焔の波です。その直前にも「いよいよ青い焔をあげ」と言っているので、波というものが、全ての力動に共通する性質であることを理解していれば、彼らの胸の高鳴りや命の運動の増幅する様子が表現されていることに気づくことができ

          宮沢賢治 やまなし 本質の解明 11