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12/14(水)bokashi 出店後記

12/14(水)は札幌のシェアスペース・bokashi(ぼかし)にて、
またたび文庫の移動本屋を開催させていただきました。

bokashiを運営する碧さん、準さん、リサさんは
12月頭に白老にも来てくださいました。

一緒に白老の居酒屋できのこ鍋を食べて、
翌朝は温泉に入って定食ランチ、
私の自宅で語りあったのも思い出です。

3人が出会ったのは、大学時代の国際研究サークル。
40名ほどの団体で小さなグループをつくり、
テーマごとに議論をする活動を行っていたそう。

いったんは別々のキャリアへ進んだ三人がまた集い、
マンクス・ロフタンという会社を作り、
「bokashi」というシェアスペースを運営している。
その事実だけでも、「エモい!!」と私は感動していました。

「bokashi」命名の由来は、
農業用の有機肥料として江戸時代より使われていた
「ぼかし肥」にあります。
ぼかし肥は、米ぬかや油かす、鶏糞などを土に混ぜ、
それらを微生物により分解、発酵させてつくります。

米ぬかなどの原料は、
肥料として直接土にまくこともできます。
ところがその場合、急速な分解によって
アンモニアガスが発生し、
作物の栽培を阻害することがあります。
そこで、使用前に土などと混ぜて
微生物による分解や発酵を行い、
急速な肥効を「ぼかす」のです。

この「ぼかし肥」から、
“食や農を通し、
人間社会や自然が循環していく関わりを模索する “
“あらゆるものの領域を
ともにぼかしあう”
というコンセプトの着想が得られたそう。

かつて、生活に密着した小さな営みであった
「ぼかし肥づくり」。
その小さな営みに、
これからの社会に対するヒントを見出す彼らの視点、
ほんとうに、素晴らしいなと思います。

念願かなって実現した
「またたび文庫 in bokashi」。
日中はまたたび文庫の移動本屋、
夜はbokashiで開催している
「水曜よるごはん」とのコラボ企画を開催しました。

シェアスペース「bokashi」は
地下鉄大通駅から徒歩30秒の場所。
1階は道産の食材を使った食事を提供する「bokashi Dining」、
2階にはコワーキングとイベントスペース「bokashi Base」があります。

当日来てくださったお客さまは、総勢22人。
内装建築をされている方、エコビレッジの運営の方、
大学で生徒さんと協働でインターンを運営されている方、など
自身の生業や活動に対して想いをもった、
すてきな方々に出会うことができました。

その後18時半より開催された
「bokashiの水曜よるごはん」。
bokashiスタッフのおはぎさんが作ったごはんを囲みつつ、
毎回変わるテーマについて語りあい
皆でテーマを「ぼかして」いく。

そんなすてきな会を
bokashiでは毎週水曜に開催しています。

この日はまたたび文庫コラボということで、
『北海道の食』という本を中心に
テーマとレシピを考案しました。

本書は、むかしの北海道の庶民の食事を聞き書きし
当時の人々の生活をまとめた資料本。

本書内でよく出てくる「三平汁」をテーマに、
昔の北海道の食や
いまの食文化についてぼかしあいました。

三平汁とは、
明治後期~昭和初期の漁民が主に食していた汁物のこと。
その時期にとれる魚と、
余りものの野菜を入れて煮込んだ塩汁です。

現金収入のすくない当時の漁民にとって、味噌やお米は高価なもの。
一日三食のあいだにコメは夕食のみ。
コメなしでおなかを満たすため、
三平汁には馬鈴薯がたくさん入っていたのだそう。

そういった話をしつつ三平汁をいただくと、
寒い冬、空腹に耐え生活をしていた人々の姿が思い浮かぶよう…

というと大げさですが
ちょっとした知識をスパイスに
思い出にのこる食事になりました。

本からまとめた三平汁トークのあとは、
参加者14名の方の自己紹介や、
自分の出身地の食文化について、
ざっくばらんに話す会。
沖縄、関西、北海道それぞれ、
正月のおせちどんな感じ?など。

個人的には、北海道には大晦日からおせちを食べる文化がある
という話が面白かったです。

総勢14人で、「三平汁」はきれいに完食。
その後もまたたび文庫の本棚を通して
参加者どうしが関心ごとについて
語りあうなど、話は尽きず…
おもしろい風景をみることができました。

本を通して獲得できるのは
あくまでも
「誰かの得た知識や経験」の追体験。

それも面白いのですが
やはり、自分の体で得た経験こそ
鮮烈なものとして心に残ります。

水曜夜ごはんで食べた三平汁の味を通して
半世紀以上まえの北海道の庶民の生活・自然や農環境が
グッと身近に感じられるようになりました。

本は、そのようにして得た経験を
より深くインプットする手段である
という確信が深まった一日でした。

本だけではなしえない
好奇心の扉をひらく体験をお届けできた
「bokasi水曜夜ごはん」とのコラボ。

今後も月1回、継続して開催予定です。

次回は1/18(水)!
またたび文庫の一日本屋とともに
「水曜夜ごはん×またたび文庫」も開催予定です。
ぜひ、覗きにきてください。

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