傷だらけのレコードによる時間差攻撃。Nirvana「Incesticide」
「90年代洋楽の最高傑作!」みたいな感じで持ち上げられがちな、Nirvanaの「Nevermind」。
正直に言うと、私はこのアルバムがそれほど好きではない。
もちろん楽曲は優れているし、完成度は非常に高いと思う。みんなが評価するのもよくわかる。
ただ、このアルバムの「優秀さ」故、私はNirvanaの良さに気づくのが遅れてしまった。
◇
Nevermindを聴いた当初、世間で大絶賛されている理由がよくわからなかったし、「普通のロックだな」という感覚しかなかった。
当時の人々には新鮮だったかもしれないけど、その影響力の大きさ故、私のようなサブスク世代(笑)にとってはある種スタンダードなロックと化してるとこもあるからしょうがないとは思う。
私がNirvanaの良さに気づいたのは、Nevermindを初めて聴いてからだいぶ後のこと。
きっかけは、ある中古レコード屋の激安ワゴンにNirvanaのコンピレーションアルバム、「Incesticide」が290円でぶちこまれていたことだった。
(画・緑色三号)
ただでさえぼったくり営業をしていた中古レコード屋が290円のワゴンにぶちこんだNirvanaのアルバムである、レコード盤の状態は悪いに違いないと確信したが興味本位で買ってしまった。
帰宅後、どんな状態で保管したらそうなるんだよっていうくらい傷まみれの盤面に肩を落としながら、レコードプレーヤーの針を落とす。
「Nevermind」に収録されている曲群と比べて、明らかに「暗い」、そして「荒い」曲たち。
まさにアンダーグラウンドの音楽だ、と思った。
そこで私はやっとNirvanaの魅力に気づいたのであった。
◇
まんまとNirvanaにはまった私。当時多感な時期だったこともあって、Kurt Cobainについて調べ、勝手に同情・共感したりしていた。同時に、楽曲への理解が深まったように感じたり。そういう人は世界中に多くいるだろう。
Kurtの死後に発表されたYou Know You’re Right※とか、なんか暗い影を感じさせざるを得ないし…
(※私はこの曲のMVが大好物。楽器破壊映像が好きなので……)
Nirvanaって「Kurt Cobainという人」なくして語れない感じがする。彼の自殺という大きな事件があるから余計に。ファンの余計な拡大解釈みたいなとこも少なからずあると思うけども。
そういうわけで地味なコンピアルバムとしてあまり取り上げられない「Incesticide」が、私のイチオシのアルバムだったりするわけだ。
これからNirvanaを聴いてみようかな、という人にはライブ盤の「From the Muddy Banks of the Wishkah」がオススメ。
高校時代、一緒にバンドやってたドラマーにCD貸したら、「一曲目の絶叫で怖くなって聴けない」って言われたけど皆さんは耐えてくれ。頼む……
このライブ版はインディーズ時代の曲も多めに収録されていて、Nirvanaの魅力を余すところなく堪能できる。実質ベスト盤。
もちろんインディーズの頃のアルバム「BLEACH」、セカンドアルバムの「In Utero」も良いよ。わたしは後者が好き。
機会があったら聴いてみてネ。
〇余談〇
中学の頃、「ある人物を題材に1分間スピーチしてください、それを外国人の先生にも聞いてもらいます」みたいな課題があって、私はニルヴァーナのカートを題材に選んだ。
「私は彼のファンで、素晴らしい音楽を作り続けてほしかったけど若くして自殺してしまって悲しい」というような内容にした。もちろんちゃんと「カート・コベイン」って発音したぜ。
発表したら、外国人先生が「he killed himself」というフレーズにウケて笑っていた。田舎の中学生ごときのクソガキが「kill oneself」という言い回しをするのがおもしろかったのだろうか?もしかしたら、その先生は「自殺ではなくCourtney Loveが殺した説」の支持者だったのか…!?
その外国人先生はロックに理解がある人で、Bob MarleyやKings of LeonのコピーCD-Rを貸してくれたりした。
いい人だけど、コピーのCD-R貸すってあんまりよくないな……
あと、Kings of Leonって極東の中学生にお勧めするバンドにしては渋すぎるのでは!?!?!?!
余談、以上。
★この記事は、私が個人ブログで公開していた記事を加筆修正したものです。
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