非常時のリーダーシップ(初動)

だいたい10年に1回くらいのペースで、自分の足元から揺らぐような大きな出来事が起こる気がする。

3.11の時、私は「雇用されていた」ので、組織という器に守られ、自分のキャリアのことだけを考えていればよかった。3.11を機に「もっと安定した職に就きたい」と業界を離れていった人もいたし、私も、まぁそうだよね、と、そんな業界内の人の入れ替わりを見ていた。

そして今、新型コロナの感染拡大で、世界が目まぐるしく変化し、様々なことへの新たな対応が求められている。もはや、新型コロナの影響を受けていない人など、世の中に存在しないんじゃないかとすら思うが、私は今回初めて「経営者」という立場でこの非常時と対峙することになった。

そのことを考えると、また10年後、新たな危機が起こり非常時になった際、先頭で指揮をとることになるのは、「今はまだリーダーではない人」なのだろうと思う。

そんな、「非常時に指揮をとることになった未来のリーダー」に向けて、タイムカプセルのような気持で「非常時だからこそ求められるリーダーシップ(初動)」についてと、弊社の実践について、書いておこうと思う。

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非常時の初動において特に大事だと思われるリーダーシップの要素
1)トップダウン
2)徹底的に説明する
3)情報透明性
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1)トップダウンについて

通常であれば、弊社はなるべくボトムアップ型を目指しており、スタッフが答えを出すまで「待つ」ことも多いが、今は非常時なので、「トップダウン」に切り替えた。
情報が溢れていて、どれが正しいか分からない、その中から最善のものを見極め、スタッフの合意形成を行うには通常よりも時間がかかってしまう。この条件では「ボトムアップ」は不利だ
誰かが「決断」さえしてしまえば、あとは組織で、各チームで、それが最善の選択になるように動き、もしこれが失敗だと分かればすぐにプランBへの移行もできる。「決断」せずに、ずるずる引っ張れば、その間に組織やスタッフを危険にさらすことにもなる。
とにかく、迅速に意思決定する、このためにはトップダウンにならざるを得ない。そして、自分が決断する立場であることで生じる「責任」を恐れてはいけない。決断と責任はセット。これまでの歴史は、誰かの決断と責任で紡がれている。自分がその立場にあることを過剰に怖がる必要はない。リーダーとして今を適切に対処できれば、次世代に自然にバトンは渡っていくのだろうと思う。

2)徹底的に説明する

「トップダウン」という意思決定方法を選択をした場合に重要になるのが「徹底的に説明する」ことだ。
これ無しに、結論のみを共有しても、結論だけを聞いた人はなぜその選択になったのか納得感をもって受け入れることができない。
特に、非常時においては選択したものが間違いになることもあるし、二転三転せざるを得ないことだってある。そのときに、「なぜこの選択をしたのか」、「なぜ今これが必要なのか」、「この先にどういうシナリオを描いているのか」を徹底的に説明することがいつも以上に必要になる。それが見えないと、社会全体と、組織の両方に振り回される気持ちで、不安が増してしまうだろう。

3)情報透明性

「徹底的に説明すること」と似ているが、今ある情報や数字をなるべく見えるようにしておくことも大事だ。バックオフィスでは今何の準備をしているのか、融資がいくら入ったのか、そういうことも全部共有する。
とにかくスタッフが心配なのは「自分のキャリアはどうなるのか」「この会社は大丈夫なのか?」ということだと思う。キャリア選択は新型コロナの影響があってもなくても常に考え続けるものではあるが、後者に関してはなるべく情報透明度を上げることで疑心暗鬼にならずに済むのではと思う。
業界で起こるさまざまな支援や提言等の動きも、なるべく拾って共有することも大事だ。

以下は、10年後の非常時リーダに向けて、2020年のsyuz'genの初動を記録しておくものである。

(3月15日頃~バックオフィスチーム:今後によっては政策金融公庫に融資申し入れる必要があると準備開始)
3月19日(木)夏の案件(プロジェクトA)の中止が決定。
(バックオフィスチーム:政策金融公庫に融資申し入れ)
3月20日(金)深夜 夏の案件(プロジェクトB)の中止が決定。
(これから何が起こるかのワーストシナリオを描く)
3月21日(土)社員全員に、次の社内定例(毎週水曜)は全員参加するように連絡。
3月25日(水)社内定例でワーストシナリオを共有し、社員全員と面談日程を決める。
3月26日(木)夏の案件(プロジェクトC)の延期が決定。
3月27日(金)~29日(日)社員と個別面談(オンライン有)
4月1日(月)リモートに切り替え/バックオフィスチーム:雇用調整助成金取得に向け準備開始
<4月7日(火)新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の発出>
4月11日(土)社員自身や家族が新型コロナに罹患した時の対応マニュアルを作成(15日の社員定例で共有)
4月15日(水)政策金融公庫からの融資が振り込まれる
(いまここまで)

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