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36.凪いだノワール

昨日も行ったのに今日も買い出し行かなきゃいけないの納得がいかぬ。
と、不服を訴える私が今日は出現しました。買い出しに行く必要があるし今から行きたいんだけど、内なる私が納得いかぬ、行きたくない。って言ってる。そしてうだうだしてしまう。うだうだしてると時間を浪費する事に焦る自分も内側に現れる。そうすると余計にもやもやぐるぐる不安定になって動く事が難しくなる。
という事が私はとてもとても多いので、最近は『今考え事が始まったな』と気づいた時に頭の中をメモに書き出す事を始めました。病院でIQテストを受けたのですが、私は普通の人よりすごく多くの情報に気づいて考える事ができるけど、頭の中で整理できる量は平均値。なので頭から出して整頓した方がやりやすい、と気づいたのです。メモに書き出してみるとそんなに焦るほど時間がない訳じゃないってわかったり、昨日は重たいお米だけ買ったけど今日は今日で無いと困りそうなものばっかりだなってわかったり、そういえば紅茶に添えるお茶菓子を買いたいというわくわくする計画がなかったっけと思い出したり。こうやって整頓できると、さっきまでのもやもやぐるぐるがすーっと引いていきました。このもやもや、実は登場頻度が高いので、そういう時に切れるカードが一個増えたのすごく楽だなぁ。

動きやすくなったので買い出しに行きまして。お楽しみのお茶菓子も買ってきました。今日はこの紅茶にお菓子を合わせたいなと思っていたのです。


凪いだノワールフィーユブルーのブレンドティーです。
いつ買ったと思ってんねんこれえええええ!!!!自分で自分にツっこんでしまうぐらいに開封まで長く長く置いてしまった……。半年?1年弱?1年は経ってないと信じたいんだけど。
これはVeilという漫画とのコラボ紅茶でして、オレンジの体温というフレーバードティーとセットで販売されている紅茶です。めぇちゃくちゃおしゃれな装丁のセットでして、その写真は是非オレンジの体温のレポnoteで見てほしいな。茶葉名になってるオレンジの体温というのはコミックス1巻のタイトル、凪いだノワールというのはコミックス2巻のタイトルなんです。なので折角ならコミックス2巻を読んでから飲みたい……!などと思ってたらコミックス買うタイミングがずれにずれて結果こんなに開封が遅れました。普段私、あんまり本に予算割かないから……。
買って読むとやっぱり面白くて、『彼女』と『彼』の日々をたっぷり楽しめまして。満を持して茶葉開封!です!

袋を開けるとすっきりとした香り。おお、奥ゆかしい。香りの主張や特徴がほとんどないです。ほのかにアッサムっぽい茶葉の香りがするかな……?ってぐらい。香り控えめで品が良いな~って思っていたら、お湯に落とした瞬間じゅわっ、と旨味の濃い香りがして驚きました。一瞬新しい香りがした!でもそれは一瞬だけで、淹れてる間ずっと香ってる訳でもないんですよね。なんだこれは……香り方が新しくてもう面白いぞ……。
淹れた後の香りは……え、英国~~~~~!!!!なんか、伝わりますかこの。いかにも紅茶!!英国!!ブリティッシュ!!!って香り。べっこう飴っぽい甘みがほのかに混じる、紅茶らしい茶葉の香り……はああああ紅茶だ。久々にTHE・紅茶!!!!を香りで浴びてる。アガる。そしてこの香りが既にブリティッシュで皮肉屋な『彼』に似合うなぁ……では一口。

……おあああ。うーーーまぁ……!!!いやうんまい。ちょっと噛みしめちゃうこれ。久々に紅茶の『美味さ』を真正面から浴びているわ……。
めちゃくちゃ、めちゃくちゃ紅茶らしい紅茶です。旨味重みはそこそこ、渋みと苦味がはっきり。そこに飴色の印象な甘みが溶け込む事で旨味へと繋がっていくような、英国感たっぷりの味わい。それが美味しい!控えめだけど茶葉を感じる香りがすごく落ち着くし、それと一緒に味わうしっかりめの味わい……美味いなぁ……紅茶だなぁ……。
けどなんか、それだけではない複雑さが奥の方にちょっとある気がする。私の舌がそれを拾うには渋みと苦味がちょっと邪魔なので、ミルクを足してみましょう。軽くひとたらし……。……おお。ミルクを入れると表情が一変しました。すっと軽やかな旨味……!いやでも旨味がごりごり濃い訳でもないんですよね。自然に、素朴に垣間見える旨味と、茶葉の香りが言葉に表しきれない味わいを生み出してる。はっきりとわかりやすい美味しさではないけれどなんだかすごく魅力がある。
この味の変化がすごくこう、『彼女』に揺らされた時の『彼』だなぁって噛みしめてしまいました。なんとなく普段の『彼』って型を纏ってるというか、鎧って程じゃないけど厚いコートみたいに自分と相性の良い属性やラベルを纏ってる印象があって。それが『彼女』と触れ合う度に少し揺らいで、なんのラベルもつかない『彼』が垣間見える印象があります。ラベルがつかない故に社会生活では扱いきれず持て余されてしまう部分。それ故に奥にしまってあるけど、でも目の見えない『彼女』が感じ取ってる部分。ミルクティーにして飲むと、そんな『彼』の姿をふっと思い出してしまいました。すごいな……オレンジの体温もかなり『彼女』を感じたけど凪いだノワールもかなり『彼』だ……面白すぎる……。

ついついミルクティーで飲みきってしまいそうになりますが、ここでお茶菓子の出番。
もりもとのフィナンシェ。どうやらオンラインだとセットでのみ売ってるらしく単体のページがないですね。バターとチョコレートの2種類があるんですけど、これは見た目通りチョコレート!焼き菓子が欲しくてもりもとに寄ったら棚にこれが並んでて一目惚れしました。ちなみにもりもとというのは北海道にのみ店舗展開してるお菓子屋さんですね。私にとっては結構馴染み深いお店だったりします。ハスカップジュエリーとか超美味しいですよ。ではフィナンシェを一口……。

……んー!ふわふわでうまー!かなり甘くてミルキーなフィナンシェです。たっぷりと練り込まれたココアがうますぎる……!舌が慣れてくるとココアの味わいにじわっとバターの風味が溶け込んできてそれがまたうんまいです。舌に馴染む味だなぁ。そこでお茶を一口飲むと……うお!?ミルク入れてないのにぐっと飲みやすくなる!!渋み苦味が奥に行って、甘みがぐっと前に来ます。これもまた新しい表情……!ミルクティーにした時とはまた違った美味しさがあります。こっちは素って程じゃないけど、ちょっと淑やかで色気のある表情が垣間見えたみたいな感じ。
その後にフィナンシェを食べてもあまり味の変化はないですね。軽い食べ心地だけど結構味のはっきりしたフィナンシェだから、合わせるものに影響されにくいかも。これ単体でぱきっと完成してる。ただこれと一緒に飲むと、お茶が格段にうまい……。大概はお茶がお菓子をブーストするんだけど、まさかのお菓子がお茶をブーストするパターンだこれ。ミルクティーも美味しかったけどこの飲み方も好きだなぁ私。

美味しかった……。凪いだノワールに合わせるならもう少しばりっとした焼き菓子の方が良かった気もするけど、これもこれで面白くて美味しい。ベストマッチって訳じゃないけどこの組み合わせだからこそな新しい景色が見えてくる、って事が結構あるからペアリングは面白いなぁと思います。
一回コミックスを読み終えてから紅茶を飲んだんですけど、飲むともう一回コミックスが読みたくなる!ちょっと後で読み返そうかな。そのぐらい私の中の『彼』のイメージに合致する味だったんだと思います。紅茶から思い出した彼の表情を、ページをめくってもう一回見たくなる。そして多分本を読んだら、また紅茶が飲みたくなるんだと思います。次はうんと濃く淹れてミルクたっぷり入れてみようかな~。

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